ボヌール

北日本新聞掲載-2003.4.10-

<県内>女性の菓子職人続々お目見え
 
男性の職人が厨房に立つイメージの強かったお菓子の世界で、女性のパティシエ=パティシエール(菓子職人)が急増している。近年のお菓子ブームに乗って、県内の洋菓子店にも張り切って腕を振るう女性の姿が目立つようになった。修業後、独立し、自分のショップをオープンさせる頼もしい若手パティシエールも続々登場している。

自分の店で優しい味
 
井口村宮後の菓子工房「ボヌール」。「お菓子を見ているだけで幸せな気分になれる」と、パティシエールの藤田幸さん(24)が早朝から一人で仕込みをしていた。

 藤田さんが店をオープンしたのは、一昨年8月。県内の高校を卒業後、大阪の製菓専門学校へ。卒業後、神戸の洋菓子店でも3年間修業した。

特産黒豆生かす
 学校ではケーキ・焼き菓子は一通り勉強したものの、現実は甘くなかった。「手を動かすのが遅い」と毎日シェフからきつい言葉が飛んだ。

 実家に戻り、シェフや家族の協力で開店の準備を始めた。店構えはフランスの田舎風のイメージで、店内外の装飾のほとんどが、藤田さんと家族による手作りだ。

 オープンして、もうすぐ2年。自家菜園で育てたイチゴを使ったケーキや、井口村特産の黒豆を使った「黒豆と抹茶のケーキ」なども並び、口コミで評判が広がっている。「デパートに並ぶケーキと同じ風にしたいと思っていない。村の人に気に入ってもらえる優しい味を求めたい」と目を輝かせる。


ガッツいっぱい 挑戦
客の好み掌握
 県内のパティシエールの先駆けとなった富山市清水町のパティスリー「プラリーヌ」の松井朝香さん(31)は、2年前から、母校の大阪の製菓専門学校で年1回の特別講師を務めている。
「今や学生の9割以上が女の子。夢を持って頑張っている子が多い」と話す。

 女性急増の背景には、消費者のニーズの多様化がある。おいしいヒット商品が作れれば、小さな店でも経営は成り立つ。

 松井さんが修業を始めた10年ほど前、業界はまだ男性優位だった。朝早くから夜まで長時間にわたる作業。家庭で作るのと違って体力もいる。女性は結婚したらやめてしまうからと、仕込みやオーブンなどの重要な仕事は、男性に任せられることが多かった。
修業3年目で就職した東京の「ノリエット」は、都内でも人気のあるショップ。オープンの時に初のパティシエールとして入った。初めは戸惑いがあったというシェフも、松井さんのガッツに押された。「女性でも粘り強く食いついていけば、認められる」と手応えを感じた。

 帰郷し念願の自分の店を持って6年。客の好みを細やかに掌握するなど、ソフトな対応で店の基盤を築いた。「女性は体力的に男性と同じようにはいかないが、お菓子の創造に男性も女性もない。挑戦する気持ちが大切」と弟子や後輩たちにエールを送っている。






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