当院における終末期医療

 平成15年2月、角家病院長の要請で終末期医療プロジェクトチーム“ふくの若葉病院における終末期医療を考える会”が発足しました。
 開院当時から“療養病院においては終末期ケアが大変重要である”という病院長の考えが、具体的な形となって活動が開始された訳です。



終末期医療への取り組み

*基本方針

 人生の終わりの時を向かえ、その人にふさわしく、望んだとおりの生き方を全うするための終末期医療、看護、介護を提供する。
 そのために以下の権利を尊重する。

1)自己決定の権利

2)情報を得る権利

3)機密保持を得る権利

4)尊厳を得る権利

5)宗教的支援を得る権利


*終末期医療プロジェクトチーム

 私たちは先ず当院の在るべき終末期医療を検討し、終末期医療の指針を明確にするため、終末期医療プロジェクトチームを平成15年2月に立ち上げ毎月1回の定例会とし、マニュアルの作成及び見直し、事例検討、抄読会、エンジェルセットの見直し、職員への啓蒙活動などを行っています。
 構成メンバーは次のとおりです。

チーフ 介護支援専門員
サブチーフ 看護師
スタッフ 診療部長、看護部長、看護職員、介護職員各病棟2名
オブザーバー 院外から地域住民代表1名


*取組内容

1.終末期に対する意識調査の実施

1)目 的

 当院では、重症患者さんや末期癌患者さんの受け入れ数が増加するに伴い、死亡退院患者数が増加していることから、患者さんやご家族の死生観を把握することが重要であると考えています。「あなたは人生の最期をどのように迎えたいですか」と題し、患者さんやご家族に対して終末期に関する意識調査を実施しています。

2)実施方法

 自ら意思を伝えることができる入院患者さんには、プロジェクトメンバーが直接聞き取りを実施します。また、すべての入院患者さんのご家族を対象に実施しています。

3)内 容

 調査の集計結果は、次回のホームページ更新時に掲載を予定しています。


2.終末期ケア業務マニュアルの作成(平成15年11月)

1)目 的

(1)  当院で終末期を迎えられ、人生の最期が迫ってきている患者さんに対して、限られた時間の中で死を受容し、その方らしい生き方を全うするた為のケアを行う。
(2)  苦痛を取り除き、尊厳を持って安らかな死を迎えられるように支援する。
(3)  ご家族が悲しみを表出し、心安らかにお別れが出来る場や時間を提供し、必要な援助をする。
(4)  命の終焉を迎えられるまでの時間を、家族と共に充実した生き方として重ねられるように手助けする。
(5)  統一した看護・介護を実施する為に、終末期ケアプラン介護を開催する。

2)マニュアルの内容

(1)  職員の心得
(2)  終末期カンファレンスの開催
(3)  家族への対応
(4)  逝去時の対応、手順


3.終末期に関するアンケート調査

1)目 的

 患者さん及びご家族がより満足する臨終を迎えられる様援助するために、ご家族からのご意見やご感想を伺いマニュアル作成の基本とし、またその内容を基に当院の終末期医療の向上を図ることを目的としました。

2)アンケート調査の実施内容

(1)  「終末期ケアに関するアンケート」死亡退院されてから3か月後に随時発送しています
(2)  「終末期カンファレンスに関するアンケート」死亡退院されてから3か月後に随時発送しています
 詳細につきましては、ホームページ・終末期に関するアンケート調査結果を参照してください。


*最期に

 当院では病院全体で早くから終末期医療に取り組んでまいりました。その結実の成果として、平成18年4月、富山県が県下の全105病院(急性期、慢性期、国立、公立、私立全てを含む)を対象に行った「終末期医療の実態調査」において、「病院の方針を明確にし、マニュアルを整備している」と回答した病院が8病院しかありませんでしたが、その8病院(7.8%)の中の一つが当院であったという明確な事実があります。
 終末期医療プロジェクトが立ち上げられた当初は、メンバー自身が何をすればいいのか、その目的すらしっかり理解できない状態でした。マニュアルの作成から手探りでスタートしたチームでしたが、年を重ねるごとにその活動も具体化し、目標もはっきりして来るようになりました。そしてメンバーからプロジェクトチーム自身がもっと勉強しなければならないとの意見が出るようになりました。病院全体としても少しずつプロジェクトチームの活動が浸透してきており、終末期ケアの重要性が認識されるようになってきました。例えば患者さんが退院される時は、業務に支障のない職員はできる限り正面玄関に集まりお見送りするようになりました。またそのときに親しかった患者さんが一緒に正面玄関で最後のお別れをされることもあります。
 当院で最期を迎えられる全ての患者さんご家族に「人生の最後をふくの若葉病院で迎えることが出来てよかった。」と言って頂けるような終末期ケアを行いたいと思ってまいりました。
 そしてこれからも、患者さんが主役であり、寄り添うご家族の心が癒されるような終末期ケアを目指して行っていきたいと考えております。