2018年10月

入院生活に音楽を取り入れた試み

ふ く の 若 葉 病 院
QOL向上委員会

 私たちは音楽を取り入れた様々な試みをしています。幼いころに口ずさんだ歌や人生の節目々に流行していた歌は、その当時の自分に一瞬で戻れ懐かしさに満たされます。さらに音楽を聴いてリラックスすることで筋肉の緊張が和らいで身体のこわばりがほぐれて疲労回復につながるだけでなく、右脳に働きかけて心を穏やかにしたり勇気づけたりもしてくれます。
 そのような効果を期待して、「ミニコンサート」「音楽の集い」「タッチング」と名付けた取り組みを継続的に実践しています。

1.ミニコンサート

 年に1〜2回、プロの演奏家や地域のグループなど招いてミニコンサートを実施しています。
今までピアノやヴァイオリン、琴や尺八、コーラスなど様々な演奏や合唱を楽しみました。

2.音楽の集い

 毎月2回程度、ボランティア(大江幸子氏)のピアノ伴奏に合わせて、童謡・唱歌・流行歌などを合唱しています。また、クリスマスや春休みの頃に大江先生の教室(幸トーンの会)に通っている小・中学生の皆さんによる「ピアノコンサート」も開催され好評を博しています。
平成30年9月末までの開催回数は238回、延べ参加者数は11,286人となりました。

3.タッチング音楽活動

 ハートヒア南砺・菊グループの方々の協力も得ながら週2回、午後の30〜40分間で3〜4人の患者さんのベッドサイドへ順に出向き、患者さん自身の好きな歌や季節の歌を歌いながら手や足をさすったり、軽く動かしたりしています。
 実施していく中で様々な発見がありました。例えば、意思表示が殆どないと思っていた患者さんがある歌のワンフレーズを一緒に口ずさんだり、好みの歌でない場合は眉間に皺を寄せて更に四肢を強張らせられて反応されたりするなどです。大部分の患者さんは歌い始めると穏やかな表情になり、四肢の緊張が和らぐのがさすっている職員の手に伝わります。また、患者さんの好みの歌がわかってくると、入浴中にも歌を歌いリラックスしていただいているケースや拘縮の強い方の爪切り時に応用しているケースもあります。
 また平成29年からは、富山県立大学工学部と金沢医科大学看護学科の協力を得て、脳波計測による脳内の活動変化や心電図、サーモグラフィによる変化を計測し、タッチング音楽活動の効果を科学的に検証する研究も始めました。
*当院の音楽活動を支えて下さっている、ハートヒア南砺・菊グループさんと、ピアノ演奏者大江幸子氏は、それぞれ平成28年と27年にその功績を認められ中日ボランティア賞を受賞しておられます。
 当院の方針のひとつである「個人の尊厳と生活の質を尊重する」ことを目標に音楽を用いたこれらの活動を今後とも継続し発展させていきたいと考えています。