医療法人社団 良俊会 ふくの若葉病院

            看護師  川原 絹代

 [目的]

   身体拘束廃止委員会の発足以来4年が経過した。これまでの取り組みを振り返り、今後の課題を明確にする。

 [方法]

   1.平成13年と平成16年における患者の拘束状況を把握した。

   2.同時に身体拘束に対する看護・介護職員の意識を調査した。

   3.拘束廃止によるリスクを軽減する、用具の効果について検討した。

 [結果1] 拘束状況の比較

(各年度の平均数値)

 [結果2] 職員の意識の比較

(必要がない・場合により仕方ない・してもよい)

 [結果2] 職員の意識の比較

(「必要がない」という回答数)

 [結果3]

   リスク軽減用具の効果

1.100床全てを低床電動ベッドに切り替え、必要時、衝撃吸収マットを併用することが、転落した場合の傷害防止に役立っている。

低床電動ベッドと衝撃吸収マット

2.「椅子からの起立お知らせセンサー」および「ベッドからの離床お知らせセンサー」はこれまで10名に使用し、職員が気づかない間に患者が移動するのを防止できた。

離床お知らせセンサー
「まった君」
マットに足をのせると、ナースコールが鳴る

   

介助時に切った電源の入れ忘れ防止策   ON OFF カード

   

椅子からの起立お知らせセンサー

「あゆみちゃん」

立ち上がると音楽が鳴る

3.離院防止目的の「お守りセンサー」は、これまで1名に使用し、離院を未然に防ぐことができた。

お守りセンサー

離院しようとすると、玄関でアラームが鳴る

 [まとめ]

1.4年前と現在の患者の拘束状況を比較したところ、車椅子のベルト固定・ベッド柵4本使用がほとんどなくなった。ミトン装着をなくすことが今後の課題である。

2.職員の意識変化について、「必要がない」という回答数は、車椅子のベルト固定が約20%から90%に増加した。ミトン装着・ベッド柵に関しては、「必要がない」との回答が極めて少なかった。これより、身体拘束の全面廃止を当院の重要課題としていく。

3.当院で使用しているリスク軽減用具は、患者の安全確保に効果があった。しかし電源の入れ忘れなど、慣れから起こる事故を未然に防止するために、マーキングや表示などで、職員の注意喚起がまだ必要である。

病 院 概 要

  病 院 名 ふくの若葉病院
日本医療機能評価機構認定病院(H16.3)
開  設 平成12年4月1日
病 床 数 療養病床100床
医療保険適用45床
介護保険適用55床
併設施設 通所リハビリテーション 20名
職 員 数 医師3(常勤2・非常勤1)
看護職29、介護職40、その他17
患者状況 平均年齢 86.6歳
要介護度  医療:3.0
介護:4.5
  認知症老人の日常生活自立度 ランクV以上
(厚労省基準) 医療28名( 62%)
      介護55名(100%)