<アンケート調査を実施して>

  
富山県
医療法人社団 良俊会 ふくの若葉病院
今井栄子(介護支援専門員)
松本葉子(社会福祉士)


目的と方法

 在宅復帰する際の阻害因子は何か
また在宅介護を継続していく為に最も必要な援助は何かを知り、今後の在宅療養促進の指針とする。
当院から在宅復帰した患者とその家族にアンケートを実施した。

アンケート回収率

在宅復帰患者   (22名/43名)51.2%

在宅復帰患者家族(21名/48名)43.8%

入院患者の概要

介護病床55床  平均介護度4.8

医療病床45床  平均介護度1.1
           (未認定者含む)

退院患者状況  (13年・14年・15年)
     退院延べ人数・・・・210名

在宅復帰患者の状況

*アンケート結果

【家族解答】
 Q 在宅復帰は誰の希望か
A   1.本人と家族の希望 …70.0%
 
 Q 在宅復帰での心配事の有無
A   1.特に心配はなかった …52.4%
 2.心配なことがあった …47.6%
 
 Q 心配事の内訳           (複数回答)
A   1.本人の具合が悪くなった時 …35.0%
 2.介護者が一人または高齢 …32.5%
 
 Q 心配事の解決方法     (複数回答)
A   1.行政窓口 …50.0%
 2.ケアマネージャー …37.5%
 3.病院職員 …25.0%
 
 Q 実際に在宅介護を開始して
A   1.色々あるが何とかなった …70.0%
 
 Q 主介護者は誰ですか
A   1.配偶者 …47.6%
 2.子ども及びその配偶者 …52.4%
 
 Q 在宅療養で最も困ったこと (複数回答)
A   1.介護者のストレス …30.2%
 2.食事関係 …16.3%
 
 Q 在宅療養後の患者の変化
A   1.精神的に安定 …33.3%
 2.依存心が強くなった …29.6%
 
 Q 在宅療養を継続するための希望(複数回答)
A   1.具合が悪くなった時の入院 …33.3%
 2.希望日のショート利用 …27.1%
 
 Q 退院前カンファレンスが理解できたか
A   1.まあまあ理解できた …71.5%
 
 Q 退院前カンファレンスが役立ったか
A   1.役立った …42.9%
 2.どちらでもない …42.9%
 
 Q 今後の在宅介護について
A   1.このまま続けたい …26.3%
 2.もう少し努力したい …36.6%
 
【患者解答】
 Q 在宅に戻ってどうか
A   1.よかった …81.8%
 
 Q 在宅に戻ってよかったこと
A   1.自分の家で安心 …40.6%
 2.家族と一緒で嬉しい …28.1%
 
 Q 在宅に戻って困ったこと
A   1.手足が思うように動かない …20.6%
 
 Q 在宅を続けたいか
A   1.ぜひ続けたい …63.6%

ま  と  め

*退院患者の4分の1が在宅復帰したが、その70%は患者と家族双方の希望であった。自立度は80%がB又はAで、寝たきりCは3.9%にすぎない。

*在宅復帰を阻害する最大の因子は、主介護者が高齢または一人という介護力不足である。

*在宅介護を継続する際の心配事は、患者の具合が悪くなった時である。その時主に頼りにされるのはケアマネージャーや行政窓口である。

*現在、在宅介護で困っていることは、介護者のストレスと、患者が身体を思うように動かせないことである。

*家族や患者の63%が今後も在宅介護を希望している。それを継続するために、個々の患者のニーズに合った適切なケアマネージメントと在宅介護支援が必要である。