長期療養型病院の院内感染への取り組み

         〜ハード面とソフト面から〜

富山県 医療法人社団 良俊会 ふくの若葉病院

介護士 ○河  合  信  朗
看護師   佐  藤  佐栄子
医  師   三  宅  早  苗

《はじめに》

開院以来感染防止に取り組んできた事をハード面とソフト面から紹介する。

取り組みの主眼


初年度  マニュアル作りとその啓蒙
2年目  マニュアルの尊守とその継続

《ハード面》

1.ナースセンター内水道蛇口のオート化
2.エアータオルの高性能機種への変更
3.経管用イルリガートルの殺菌灯付き保管箱の設置

《ソフト面》

感染予防対策で最も重視した点

1.標準予防策に基づくゴム手袋の使用
2.正しい手洗いの実施

感染の有無にかかわらず、全ての湿性生体物質を危険とみなして手袋を使用し、さらに手袋をはずした後も、必ず手洗いをする。

《正しい手洗いの実施と継続の為に》

ヨード反応を利用した手洗いチェックの実施

1.新人研修時
2.年2回全職員対象
3.抜き打ち検査(無作為)

悪い例 良い例

    

《細菌検査の実施と結果》

<場所及び検体> <頻度と対照菌> < 改 善 策 >
 クーリングタワー水   1回/年(レジオネラ)   2回/年 
 浴槽水   3回/年(レジオネラ+大腸菌) 
 コップ用スポンジ   2回/年(セラチア)   スポンジの吊り下げ乾燥と
   ローテーション使用
 シンク用スポンジ   厨房でのコップ洗浄の一括化 
 ナースセンター水まわり   2回/年   水道蛇口のオート化 
 手拭きおしぼりタオル   臨時   使い捨ておしぼりの導入 
 アルコールワッテ缶   臨時   セッシ使用・アルコールの
   継ぎ足し禁止 
 手洗い後の細菌検査   随時 

《啓蒙活動》

1.LANの利用
2.感染防止対策ニュースの発行
3.巡回指導と月1回の院内発表
4.意見箱(投書箱)の設置

《その他》

1.現場の声をふまえて年1回マニュアルを改訂
2.依託業者(清掃,洗濯)との定例会議

《考察及び今後の課題》

 当初、委員が現場の巡回指導を実施し、教育と啓蒙を行なって来た。開院3年目に入り、意見箱設置をきっかけに一人一人が認識を持って考えるようになり、職員の感染防止に対する意識が高まってきた。今後さらに評価を重ね、現場の意見を取りいれながらマンネリ化しないよう新たな試みと、決められた事の徹底を図っていく。