音楽を媒体とした取り組み

ふくの若葉病院 QOL向上委員会

はじめに

 私たちは、当院の方針のひとつである「個人の尊厳と生活の質を尊重する」ことを目的に、平成18年度から音楽の癒しの力を入院生活に導入する試みを実施しています。音楽は右脳に働きかけて、心を穏やかにしたり勇気付けたりしてくれます。また、幼いころに口ずさんだ歌や人生の節目々に流行していた歌は、その当時の自分に一瞬に戻れて懐かしさに満たされます。

 そのような効果を期待して、「ミニコンサート」「音楽の集い」「タッチング」と名付けた下記の取り組みを実践しています。

1.ミニコンサート





 年に1〜2回、プロの演奏家を招いてミニコンサートを実施しています。
 写真はフルート(角家道子氏)とハープ(上田智子氏)の演奏会です。
 洋楽だけでなく筝や尺八の演奏会も企画してきました。



2.音楽の集い
 (集団音楽療法)




 平成18年9月から毎月2回程度、ボランティア(大江 幸子氏)のピアノ伴奏に合わせて、童謡・唱歌・流行歌などを合唱しています。
 毎回、最後の歌は「ふるさと」と決め、入院患者さん・デイケアの利用者さん・職員とで大合唱をしています。また、クリスマスや春休みの頃に大江先生の教室(幸トーンの会)に通っている小・中学生の生徒さん達による「ピアノコンサート」も開催され、好評を博しています。
 平成27年8月末現在までの開催回数は189回、延べ参加者数は9000人以上になりました。



3.タッチング
 (個別音楽療法)




 平成20年5月中旬から、音楽の集いに参加することが困難(1時間の座位保持)な患者さんを対象に開始しました。
 ハートヒア南砺・菊グループの方々の協力も得ながら、各病棟とも週2回、午後2時から3時の間の30〜40分間で、通常3〜4人の患者さんのベッドサイドに出向いて実施しています。内容は、患者さん自身やご家族から教えていただいた「元気なころに口ずさんでいた歌や好きだった歌い手さん」の情報をもとに、季節の歌を添えて2〜4人の職員が歌を歌いながら手や足をさすったり、軽く動かしたりします。
 実施していく中で様々な発見がありました。例えば、意思表示が殆どないと思っていた患者さんがある歌のワンフレーズを一緒に口ずさんだり、好みの歌でない場合は眉間に皺を寄せて更に四肢を強張らせられて反応されたりするなどです。大部分の患者さんは歌い始めると穏やかな表情になり、四肢の緊張が和らぐのがさすっている職員の手に伝わります。1回に3〜4曲歌いながら体に触れる関わり(タッチングの由来)ですが、実施する職員にとっても満足感が得られる得難いひとときになっています。現在は毎回のかかわりの状況を記録し、評価しながら進めています。患者さんの好みの歌がわかってくると、入浴中にも歌を歌いながら洗身しリラックスしていただいているケースや拘縮の強い方の爪切り時に応用しているケースもあります。
 患者さんのQOL(生活の質)向上のためにも、音楽を用いたこれらの活動を今後とも継続し発展させていきたいと考えています。

平成27年9月