褥瘡予防への取り組み〜褥瘡プロジェクトチームの5年間のあゆみ〜

平成14年1月に褥瘡プロジェクトチームが発足して5年が経過しました。この間  1)褥瘡の予防と早期発見、2) 褥瘡の治療方法の統一とケアの向上、3) 職員教育について取り組んできました。その結果、最近は褥瘡治療を目的に近隣の施設から患者紹介を受けるようにもなりました。

1.褥瘡の予防と早期発見のために

1)大浦・堀田スケールの測定

入院当日にスケールを測定し、褥瘡発生危険度のアセスメントを行い、その結果に基づいて治療・看護・介護計画を立てます。スケールは定期的に見直し患者状態の的確な把握に努めています。

2)ベッドマットの選定

スケールの結果と褥瘡の有無により「マットの選定基準」(表1)に従って多種類のベッドマットから個々の患者に合った適切な物を選んでいます。

表1 マットの選定基準

  更に車椅子用として同じく数種類の除圧クッションを準備し選定しています。

3)ズレ防止対策

@ ベッドに印をつける

褥瘡発生の危険因子の一つはベッドを挙上し、また元の位置に戻す時に起こる体のズレです。これを防ぐ為に、ベッドを30度挙上した位置でベッドに標識をつけ、この高さ以上には挙げないようにしています。また、ベッド挙上前の水平仰臥位での頭部の位置も重要で、ベッドの屈曲部と体の屈曲部を一致させて仰臥した時の頭部の位置にも標識をつけています。印を付ける事により経験の少ない職員でも正しいベッド操作を行えるようになり、体のズレによる褥瘡は減少しました。

[30度以上にベッドを挙上しないための標識]

水平仰臥位で、ベッドの屈曲部と体の屈曲部を一致させた時の頭部の位置に赤テープで印を付けます(△)。2)その位置でベッドを30度挙上、頭側板とベッド台の対応する2点に青テープで印を付けます(↑)。

A二人で介助する

 身体のズレにより、ポケットができ易くなり、また、既存のポケットは拡大する危険があります。これを防ぐために体位変換やオムツ交換時は体を浮かせるように2人で行っています。

4)褥瘡の早期発見(ステージTでの発見)

  褥瘡を初期の段階で見つけるには、スタッフ全員の観察眼を養う事が重要です。研修の結果、入浴やオムツ交換時に介護職員から発赤段階で報告されるようになりました。

2.褥瘡治療方法の統一

  治療方法は、誰でも同じように行えること、又、出来るだけ安価な方法でしかも早く治すことを目標にチャートを作成しました。これは随時改訂し、現在は第3版を使用しています。

3.職員教育の効果について

褥瘡の予防ならびに早期発見のためには、スタッフ全員が褥瘡に関心を持つ事が重要です。そのためにすべての看護・介護職員を対象とした研修を実施しています。その内容は、ベッド挙上による体のズレの体験、エアーマットの適正圧のチェック方法の会得、体位変換枕の当て方などです。この内容をビデオに作成し、繰り返し研修できるようにもしています。研修を通して褥瘡への理解が深まり、それが早期発見、院内褥瘡発生率低下につながっています。なお、入院時の大浦・堀田スケールの測定は看護職員と介護職員が共同で行っています。「褥瘡ニュース」も年2〜3回発行し、職員教育の一翼を担っています。

「褥瘡ニュース」をご覧になりたい方はをクリックしてください。

4.まとめ

 急性期病院の在院日数短縮の結果、重症患者の入院が増え、褥瘡発生危険度の高い患者の割合も多くなっています。また、褥瘡治療を目的とした入院患者も増えています。そのため今後益々、予防と早期発見、早期治療が重要になります。5年間に蓄積した方法を検証しながらマンネリ化することなく今後も取り組んでいきたいと思います。