ワーワー(wah wah)、cry baby SUPER インダクターコイル断線修理とフットペダル調整
1987年前後に山野楽器で購入したイタリア・ペスカーラ jen 社の cry baby、ワーワー(wah wah)エフェクター、これまで使う頻度が少なくてしまいっぱなしだったが、最近になりギターを弾くようになってからこの cry baby を使うことが多くなった。
jen は、イタリア JEN ELECTRONICA がイギリスVOX社から1970年頃に独立し、自社ブランドによるクライベィビー'cry baby'を発売。この cry baby は1970年代後期より製造した'cry baby SUPER 250.422'。
jen cry baby SUPERの外観

jen cry baby SUPERの底板

それが突然、ワーのかかりが浅くなったり正常に戻ったりで動作が不安定になった。
- 調べてみる
ギター入力を cry baby にいれて、 cry baby 出力をアンプにいれて音が聴ける状態でひっくり返し、底のプレート板を外す。
抵抗、コンデンサ、コイル、トランジスタ等がのった小さなプリント基板が目にはいる。

回路基板に白色で大きめの丸い部品がコイルでインダクター。 このコイルがワーワー効果に大事な部品。これにちょっと触るだけでスピーカーから雑音がでた。
この部品(コイル)を指先でちょっと押してみたら、とつぜん「プー」と発振音が出て、cry baby は動作しなくなった。
不具合の原因はこのコイル素子。コイルの断線らしいがコイルの内部での断線かそうでないのかを調べるため、このコイル素子を基板から外す。

コイル素子の片方の端子にはコイル線がつながっているが、もう一方の端子へのコイル線は断線し外れている。

外れたコイル線の先とコイル線がつながっている端子にデジタルマルチメーターテスターの探針を当てると51オームの抵抗値表示。
インダクタンス 500mHのコイルの直流抵抗はこんなものなんだろう。
コイル内部の断線でなくて良かった。
これなら空中に突き出ているコイル線を空中で半田付すればつなぐことができる。
銅線7本束のアンテナ線の細い銅線を修理に流用することにした。

その細い銅線1本を、コイル断線部の端子に巻きつける。

端子に巻きつけた銅線を半田付し、巻きつけた銅線の一方と切れたコイルの細線を空中で半田付けする。

アンテナ線からとった銅線の直径をマイクロゲージで測ると18um、自分の細い目の髪の毛が10umだった。コイル線は髪の毛より細く太さは数umレベルの超極細線。
断線を修理したコイル素子端子を回路基板ボード裏から半田付ボードに半田付し、

ワーワー筐体内に戻しネジで固定、取り付けた。

- jen cry baby SUPER 250.422 の回路図
今回、jen cry baby SUPER 250.422 のプリント基板裏パターンをフリーハンドで書き、それに表の部品、抵抗、キャパシター、トランジスター、コイル等をつなげて、実体回路を書き写し、回路を読み取り図にした。

ワーワー効果を発生するこの回路、入力に対する出力をいつか計算してみたい。
- jen cry baby SUPER のフットペダル、ラックギアとピニオンギアのかみ合わせ設定
jen cry baby SUPER のフットペダルの中に100kオームの可変抵抗が入っている。
フットペダルにラックギアが取り付けてあって、ペダルをつま先からかかとへ踏み戻す時、その逆のかかとからつま先に踏み込む時にラックギアが上下にスライドする。
ピニオンギアが可変抵抗の軸に取り付けてあって、上下にスライドするラックギアのストローク長と、ラックギアとピニオンギアの最初のかみ合わせ位置の関係で可変抵抗の軸の回転範囲が決まり、抵抗値の変化範囲を設定する。
jen cry baby のフットペダルとラック・ピニオンギアの組み合わせで100kオームの可変抵抗からとれる抵抗値変化範囲は65kオームだった。

抵抗値変化範囲;0kから65kオームと35kから100kオームまでの2種の設定についてワーワー音を聴いてみた。
'35k~100kオーム'...ペダルつま先位置で35kオーム、かかと位置で100kオームの設定になる。ギターでAmコードを入力するとボワーンボワーン..とトンネルの中で高音がワーンと反響するような効果音。音が痩せている。かかとではウーと引っ込んだ感じの低音は少ない。
'0k~65kオーム'...ペダルつま先位置で0kオームになって、高音バックグランドノイズがシューンと増加、かかと位置で65kオームでウオーンと裏返った低音がすこし出るようになっている。かかと -> つま先 -> かかと ->.....と交互に続けるとビョイーンオーンビョイーンオーンと聞こえる。
今回、'1k~66kオーム'に設定した。フットペダルをかかと位置からつま先に踏み込んでいくとホワーンと低音域から高音域に周波数特性の山が移動していく。高音域の音は強く、繊細できれいだ。
ワウ効果は、cry baby の後にコンプレッションサステナーから、Uni-vibeのバッファー回路、ディストーションにつなぎいくつかの複合効果音でも確認する。
ペダルの踏み込み、踏み戻しで、ギター3番線5フレット音はギャワーンギャワーンと強く裏返り、1番線5フレット音もブイーンブイーンと裏返る。Amコード音はボワーンワーンで低音から高音に移動して行く。
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2019 6/12 uploaded