旧譜その他      

  このウェブサイトは、ジャズの新譜のいいものを紹介するという目的で、作成したのだが、
 実際には、旧譜や他のジャンルの音楽も同時に聴いているため、その中でも、お薦めしたい、
 いいCDやDVDがたくさん出てきた。 そこで、新しくこのページを作成して紹介したいと思う。 


  しかし、世間で「名盤」といわれ、評価の定まったものは、他の人のサイトや著作を
 参考にしてもらうことにし、このページでは、できるだけ、よく知られていないが内容のよい
 ものを載せていきたいと考えている。 

             

  2007年1月7日

 ● 「スウェーデン生まれの、凄腕ジャズ・ギタリストたち」

 スウェーデン生まれの凄腕ギタリストはウルフ・ワケニウス(1958年生まれ)だけじゃない。

 その他の、私のお薦めジャズ・ギタリストの名を挙げると下記の4名となる。

 ○ PETER ALMQVIST(ペーター・アルムキュヴィスト)
    http://www.hmv.co.jp/search/index.asp?keyword=peter+almqvist
   この中では『DIG MYSELF AND I』がお薦め

  STAFFAN WILLIAMーOLSSON(ステファン・ウィリアムーオルソン)(1959年生まれ)
    
http://www.hmv.co.jp/search/index.asp?keyword=staffan+william+olsson
  
 この中では『SMILE』がお薦め

 ○ 
JOHAN LEIJONHUFVUD(ヨハン・レイヨンハフヴッド)
    http://www.hmv.co.jp/search/index.asp?keyword=johan+leijonhufvud
   この中では『HAPPY FARM』がお薦め

 ○ 
ANDREAS PETTERSSON(アンドレアス・ペテルソン)(1964年生まれ)
  
 http://www.hmv.co.jp/search/index.asp?keyword=andreas++pettersson
   この中では『GETTING CLOSE TO YOU』がお薦め

 スウェーデンからは、カナダオランダと並び、私好みのフルアコを使う正統派
 ジャズ・ギタリスト(もちろん、現代の新しい感覚も備えている)が、これからも、
 どんどん出てくるような気がしてならない。
 {
アイルランド生まれのルイス・スチュワート(1944年生まれ)は別格?}

 (ちなみにイタリア生まれのジャズ・ギタリストたちは、全般的にプレイが雑な傾向があり、
 何度も期待を裏切られたせいもあるが、お薦めのギタリストの名を挙げづらいのが残念だ)

 (’06年)7月30日

* 「サンタナ」の初期作品を聴く

 最近は、LP発売当時良く聴いていた「サンタナ」の作品を、この4月から紙ジャケ、
 
リマスターで再発されたCDで、いくつか聴いていた。

 それらの作品は、1969年録音『サンタナ』(3曲のボーナス・トラック付き)
 1970年録音『天の守護神』(3曲のボーナス・トラック付き)
 1971年録音『サンタナV』(レガシー・エディション)
 1972年録音『キャラバンサライ』

 なのだが、いずれもマイルス・デイヴィスの『ビッチズ・ブリュー』と並んで、友達とワイワイ
 言いながら一緒に聴いた懐かしい作品である。

 今聴いても、ラテンの風味を十分に生かした、これらの作品は本当にノリがいい。

 体質的に、私は北欧系でなく、ラテン系であることを再認識させられた。
 (パーカッションの生み出すリズムが大好きなので)

 この時代の音楽に興味のある方には、お薦めの諸作品である。

    6月10日

 * これは、チック・コリアの近年の最高作品やぁ

      
2005年?  LA
 
 『THE ULTIMATE ADVENTURE』  CHICK COREA  STRETCH RECORDS
                                                   (輸入盤)
 
この作品は、私のサイトと相互リンクしている、工藤さん、naryさんのお二人が、以前から
 高く評価されていたもの。

 私自身は、一部をデジタル・ラジオで聴いていたり、トータル・アルバムで曲数も多く、
 個人のアドリブ・ソロが十分に味わえないのではないかと思い、購入に迷っていた。

 
しかし、ジャズ・フュージョン音楽に対する高い見識を常に信頼している、お二人の意見に
 従い、
思い切って聴いてみることにした。

 これがいい。 実にいい。

 以前から好きだった’70年代の『妖精』や『マイ・スパニッシュ・ハート』の作品世界を
 思い起こさせるだけでなく、それ以上のイマジネイションの広がりを感じさせる、優れた作品
 だったのである。

 変化に富んだリズムを叩き出すスティーヴ・ガッド、ヴィニー・カリウタ、トム・ブレックライン等の
 ドラムや、アイルト・モレイラ等のパーカッションのプレイを曲想に合わせてうまく使い、
 ヒューバート・ロウズやホルヘ・パルドの情感豊かなフルート・ソロも十分に楽しめる。

 もちろん、チック(最近は、やや太りすぎが心配)のピアノやキーボードのプレイも、近年になく
 張り切った素晴らしいもので、このスパニッシュ・フレイバー溢れる作品は、チックの近年の
 最高作品と言い切っても良いだろう。

 音の方も、各楽器の音が、存在感のある音で、ニュアンス豊かに録音されている。

 終わりに、改めてnaryさんと工藤さんという、「耳利き」のお二人に感謝し、その感性の
 素晴らしさを称えたい。


   5月12日

 * たまには、こういうのも

      1976年6月 ピッツバーグ

       『IF』  NATHAN DAVIS  PーVINE RECORDS(国内盤)

  ネイザン・デイヴィス(ts、as、ss、fl他)、ジョージ・コールドウェル(p、elp)
  エイブラハム・ラボリエル(elb)、デイヴ・パラマー(ds)、ウィリー・アモアク(per)

 ネイザン・デイヴィスのこのCD、帯の紹介文によると「レア・グルーヴ」の名盤で、しかも
 世界初CD化作品らしい。

 どちらかというと、普段メインストリームのジャズ(といっても幅広いが)を主に聴いている
 私自身だが、「レア・グルーヴ」や「クラブ・ジャズ」に対して偏見がなく、「踊るためのジャズ」
 にも、まったく抵抗はない。 (4ビートの曲でも、カッコ良くないと思うが、自己流で
 踊ることも多い)

 一応そのフィールドで高評価の作品は、2004年に刊行された『ジャズ・ネクスト・スタンダード 
 500 クラブ・ジャズ・クラシックス』小川充監修 リットー・ミュージック という本を参考に、
 CD化されたものの中でよさそうなものを、ネットで少しずつ注文してきた。
 (フリー系や頭でっかちのジャズよりは、はるかに体にいいので)

 ただ、当たりが少ないのが、難点といえば難点。

 ややもすると、ファンキーなリズムの面白さや、曲の雰囲気のよさに重点が置かれすぎ、
 肝心のミュージシャンのアドリブ・ソロの部分が今一歩のものが多いのである。

 しかし、この作品は例外。

 1937年カンザス・シティ生まれで、’60年代はヨーロッパで活躍した後、アメリカに
 戻ったネイザンが、’76年に自身のレーベルから発表したこの作品、テナー、ソプラノ、フルート
 などによるアドリブ・ソロや、作曲面(8曲すべて自作)での力の入れようが、ひしひしと感じられる
 好作品だ。

 アドリブについては、しっかりしたテクニック(後で音楽教師もしていたくらい)を使った、
 うねる荒波のようなものといえば、いいだろうか。 全曲にわたり、味わいのあるソロが聴ける。

 (ちなみに、’60年代中頃の彼の代表作と言われる『ハッピー・ガール』や『ザ・ヒップ・ウォーク』も
 以前聴いたが、残念ながら、もう一つグッとくるものが不足していた)

 デビューまもないエイブラハム・ラボリエルのエレベもよく歌っているし、リズム・セクション一体
 となった躍動感のあるファンキーなリズムも文句なし。 聴いていて実に楽しい。

 ’70年代のジャズの代表作品の一つといっていい作品だろう。

 ついでに、同じ年に録音された前作『スイート・フォー・ドクター・マーティン・ルーサー・キング・
 ジュニア』について言うと、この作品を高く評価する人もいるが、非音楽的要素が多く、
 各ミュージシャンのアドリブ・ソロが十分に聴けないなど、私には不満の残る作品だった。

    4月3日


 * こんなん、出てました

      1991年7月24、25日 NYC    

   『Megawatts』    Jeff”Tain”Watts       Sunnyside (輸入盤)

JEFF”TAIN”WATTS(ds)、CHARLES FAMBROUGH(b)、KENNY KIRKLAND(p)

 このちょっと見、ダサいジャケットの作品、外見とは裏腹に、中身は素晴らしいピアノ・トリオ
 作品なのである。

 実はこの作品、1991年に『サンダー・アンド・レインボウズ』という名で、J.F.K.名義
 発表され、2004年に再発されたもの。

 リーダーはジェフ・ワッツとなっているが、実質的にはケニー・カークランドのピアノ・トリオ作品
 として楽しめる好作品なのだ


 とくに、この作品で強調したいのは、全9曲収録のうち半数近くを占めるファスト・テンポの
 曲での、カークランドはじめ三者の作り出す圧倒的なスウィング感

 それらでは、故・エルヴィン・ジョーンズにも共通する、ゴムまりのような弾力性と伸縮自在の
 リズム・フレイズを叩き出すワッツのドラミングに煽られた、カークランドの新鮮なフレイズを
 駆使した切れのいいプレイが堪能できる。

 1998年に、43歳で惜しくも亡くなったカークランド。 サイドメンでのプレイはマーサリス
 兄弟のバンド、スティングのバンドその他、いろいろなバンドの作品で聴くことができる。

 しかし、トリオものは少なく、とりわけリーダー作はGRPレーベルでの1991年収録の一枚
 (多くの共演者を加え、彼の幅広い音楽性が楽しめるもの)しか、残さなかった。

 はっきり言って、近年のヨーロッパのピアノ・トリオものでも、これほどファスト・テンポで
 体が揺れるほどスウィングするものは、めったにない。 (ファスト・テンポの一曲目
 「ブラック・ナイル」での、『朝日のごとくさわやかに』のメロディの引用も余裕の現れ)

 カークランドの実力を再認識できる作品としても、お薦めの作品である。

 なお、このトリオの三人、ほぼ同時期のチャールズ・ファンブローの初リーダー作
 『ザ・プロパー・
アングル』でも共演しているし、その他のバンドで共に演奏することも
 多かったようだ。

 それが、この作品のまとまりのよさに、つながっているのだろう。

    3月4日


 * グロスマンの吠えるテナーは最高!

      1975年6月(7曲目のみ)、 1976年4月、6月 NY 

  『TERRA FIRMA』  STEVE GROSSMAN        究体音像製作所(株) 
 (テラ・ファーマ/スティーヴ・グロスマン)     (このCDは、2月22日に国内初CD化)
 Steve Grossman (ts)Jan Hammer (el-p,moog synth.)Gene Perla(el-b,kb)Don Alias
 (perc,g)

 黒澤映画での「三船敏郎」演じる「用心棒の素浪人」。 それが、私のグロスマン(1951年
 生まれ)に対するイメージだ。

 若くしてマイルズ・デイヴィス(彼のバンドでは主にソプラノ・サックスを使用)やエルヴィン・
 ジョーンズのバンドという、60年代末と70年代初めの代表的なジャズ・バンドに抜擢され、
 そこで大きく成長したグロスマンのこの作品は、PMレコードからは初リーダー作
 『サム・シェイプス・トゥ・カム』(1973年録音)
に続くリーダー作品となる。

 初リーダー作と同じメンバーとはいえ、演奏内容は、より緊密さを増し、躍動感のあるリズム
 (2曲のみ4ビート)に乗り、グロスマンの吠えること、吠えること。

 アウト・フレイズやフラジオ・ノートを効果的に使い、ライヴと異なり、ややコンパクトながら、
 「嵐のようなアドリブ・ソロ」がこのCDでは楽しめる。

 この後は、ヤン・ハマーを除いた3人が「ストーン・アライアンス」という歴史に残るグループを
 結成し、より深化したサックス・トリオを中心とする、一風変わったフュージョン音楽を
 追求していくことになる。

 (昨年は、新たな3枚のライヴ作品の出現や、旧譜の再発で、「ストーン・アライアンス」
 ファンの私には、たまらない年だった)

 「ストーン・アライアンス」の解散後、80年代の中頃から、グロスマンは突然、コルトレーン・
 スタイル一辺倒から、50年代のロリンズ・スタイルも加味したサックス奏者に変身して、
 日本を含め世界中いろいろな場所でレコーディングに励むようになり、その存在は
 残念ながら、ややマイナーなものになってしまった。
 (しかし、私を含めサックス・ファンの間での彼の評価は、きわめて高い。)

 近年の作品では、プレイに荒さが目立ち、ちょっと健康面も心配だが、彼こそは最後の
 ジャズマンらしいジャズマン(破滅型?)。

 同年代のミュージシャンでもあり、今後も目が離せそうもない。


    1月24日

 * 以下の2枚のCDの関係は?

      1951年、1952年、(シカゴ)、1955年(NYC)

 『THE LEGENDARY OKEH & EPIC RECORDINGS』 AHMAD JAMAL
 (ザ・レジェンダリー・OKEH&EPIC・レコーディングス/アーマッド・ジャマル) 

                                    ソニー・ミュージックエンタテインメント

  アーマッド・ジャマル(p)、レイ・クロフォード(g)、 エディー・カルホーン(b、1〜6)
                                イスラエル・クロスビー(b、7〜21)


      1964年1月28日 ロス・アンゼルス

  『POSSUM HEAD』  LOU DONALDSON
  (ポッサム・ヘッド/ルー・ドナルドソン)  ユニバーサル・クラシックス&ジャズ

  ルー・ドナルドソン(as)、ビル・ハードマン(tp)、ジョン・パットン(org)、
  レイ・クロフォード(g)、ベン・ディクソン(ds)、クレオパス・モペディド・モリス(cga)

 今回のレヴューは、少し変則的なものになることを、まずお断りしたい。
  
 今回紹介の2枚のCDは、いずれも、この一、二ヶ月に日本で発売されたものなのだが、
 偶然サイドマンに、私が気になるギタリスト、レイ・クロフォード(1924〜97年)が
 メンバーとして入っていたのである。

 これが思いの外、よかった。

 彼については、’61『スムース・グルーヴ』、’78『ダブル・タイムス』という2枚の作品
 (リーダー作は、これですべて)を聴いていた。
 これらは彼のアドリブ奏者としての特徴がよくわかるものなのだが、正直それほどグッと
 くるものではなかった。
 その理由として、とくに代表作と言われる『スムース・グルーヴ』での、ギター・チュ−ニングの
 甘さ(低音弦に顕著)とギターの音色の硬さが、あまり好ましく感じられなかったことが
 あげられる。
  

 でも、今回紹介する2枚のCDを聴いて、彼に対する認識が変わった。
 とにかく、バッキングがうまいのである。 変幻自在のコード・ワーク、打楽器の音をギター
 (フルアコ)から出す工夫、リズム感のよさ、久しぶりにギターの「バッキングの
 芸術」を堪能できた。


 また、2枚のCDとも、彼は遠慮深いのか、時間の関係か、アドリブ・ソロは半数の曲でしか
 取っていないのだが、これもスピード感や構成のうまさもあり、なかなかよかった。

 もちろん、最初の作品は、アーマッド・ジャマル・トリオのデビュー当時の音源を集めた
 もので、マイルズ・デイヴィスが参考にしたと言われるスタンダード曲の編曲や、間を生かした
 アドリブなどが味わえる大推薦盤。 音質も良好。
 (その後ジャマルは、だんだん筋肉マン的、音数の多い普通のピアニストになっちゃった)

 そして、ルー・ドナルドソンの作品は、オルガンのジョン・パットン(’62から共演)を含む、
 リラックスしたアルト・プレイが楽しめる好盤である。
 とくに、ルーのアルトの音は、ゴムのような弾力があり、暖か、かつブルージーで、
 私のもっとも好きな音。 アルトの音は、こうじゃなくちゃね。

    2006年1月4日

 * 噂のイタリアの新鋭トランペッター「ファブリッツィオ・ボッソ」を聴いてみた

       2004年10月12.13日 ローマ

 『ROME AFTER MIDNIGHT』 FABRIZIO BOSSO QUINTET
                                           サウンドヒルズレコード

 ダニエル・スカナピエコ(ts)、マイク・メリロ(p)、マッシモ・モリコーニ(b)、
 ロレンツォ・トゥッチ(ds)

  
イタリアのジャズは、以前からギターものは一応めぼしいものは聴いていたが(ジャズ・ギター
 好きとしては見逃せないので)、なかなか、これといったものがなかったため、しばらくご無沙汰
 だった。

  でも、あまりに近年いろいろなジャズ関係のサイトやブログでボッソの評価が高く、彼の参加
 作品は軒並みよく売れているらしいこともあり、まずは彼の
日本デビュー作で2004年発売の
 
「ローマ・アフター・ミッドナイト」をじっくり聴いてみることにした。

  聴いた後の感想としては、まず、彼は近頃希な元気ハツラツとしたプレイをする
 トランペッターで、その歌心あるアドリブ・フレイズにも、魅力十分のものがあるということが
 あげられる。
 
  クリフォード・ブラウン、リー・モーガン、フレディ・ハバードその他いろいろなトランペッターの
 研究を踏まえた、その楽器コントロールも非凡で、吹き出したらどこまで行くのか、こちらを
 不安がらせるほどの勢いながら、最終的にはうまく解決するという、曲芸的なプレイも
 なかなか聴かせるものがある。

  ハード・バップを基本とするそのサウンドは、最初やや軽さを感じさせたものの、これも
 現代感覚の反映と考えると、後にはヨーロッパ・ジャズの一つの個性として認めるべきなのかも
 しれないと思うようになった。

  作品全体を考えると、ピアノのマイク・メリロの、短い音を無理矢理フレイズに詰め込もう
 とするプレイが好みではないのがマイナス点だが、選曲のセンスのよさと勢いのよさで
 十分合格点を付けられると思う。 今後の活躍に期待が持てる。

  最後に、テナーのダニエル・スカナピエコのプレイが表現力豊かで、私好みのものだった
 ことを付け加えておきたい。

    11月19日

 * 80年代のジャズ・ピアノ・トリオ作品のお薦めはこれ

       1989年7月25,26日 NY

   『ODD AND BLUE』                     ピー・エス・シー (国内盤)
                   
LAURENT DE WILDE(ローラン・ド・ウィルド)(p)
                    
IRA COLEMAN(アイラ・コールマン)(b)      
                   JACK DE JOHNETTE(ジャック・ディ・ジョネット)(ds)


        1989年9月20,21日 パリ

 『OCEANS IN THE SKY』       ユニバーサル クラシックス&ジャズ(国内盤)
                     
STEVE KUHN(スティーヴ・キューン)(p)

                       MIROSLAV VITOUS(ミロスラフ・ヴィトウス)(b)
                     ALDO ROMANO(アルド・ロマーノ)(ds)

  ここしばらく、私には珍しく、80,90年代に発表されたジャズ・ピアノ・トリオの作品で、
 よさそうなものを購入して、集中的に聴いていた。

  その中で、今回は上記の2作品がグッときた。 両方とも、偶然1989年の録音だが、
 再発リマスターによって、音質も向上しているらしい。
 (この年代のピアノ・トリオ作品は、いい音で聴けることがまず大事)
   

  内容はというと、両方とも、よくある三者平等のピアノ・トリオではない。

  1960年フランス人の両親から生まれ、アメリカで修行したローラン・ド・ウィルドの作品は、
 とにかく切れ味鋭いドラミングで暴れまくるジャック・ディ・ジョネット、1938年生まれの
 スティーヴ・キューンの作品は、スコット・ラファロばりのピアノのメロディに対するスリル
 満点の切り込みを行うミロスラフ・ヴィトウスが作品の目玉ともいえるほど、ある意味
 ピアニストのリーダーたちを食っているのである。

  もちろん、リーダーたちも、そのプレイに触発され、緊張感とスウィング感をより感じさせる、
 凄みとコクのあるプレイをしている。

  2作品とも、変化に富んだ曲が選ばれ、何度も聴き返すことのできる作品になっているのも
 うれしいところ。

  あまりにメロディー重視で、途中でだれる感のある近年のヨーロッパものピアノ・トリオよりも、
 これらのような作品を支持したい。

    10月20日

 * 紅葉の季節には、ジミー・ヒース(ts)の「名盤」を

        1964年 春 NYC

   『ON THE TRAIL』  JIMMY HEATH QUINTET  ビクターエンタテインメント

  最近まとめ聴きしているブルーノート・レーベルからとも思ったが、今回は「ブルーノート」、
 「プレスティッジ」と並ぶ、ジャズ黄金時代のレーベル「リヴァーサイド」からのお薦め盤を
 紹介したい。

  それは、ジミー・ヒース『オン・ザ・トレイル』という作品だ。

  ジャズ界で有名なヒース三兄弟の次男として1926年に生まれ、40年代から音楽活動を
 してきた彼だが(40年代後半には、ジョン・コルトレーンとも演奏している→その当時は
 ジミーの方がうまかったらしい)、いろいろあって、リーダー作は1959年に、
 「リヴァーサイド」レーベルから、やっと出せることになったのである。

  本作品は、それから6枚目のリーダー作で、唯一のワン・ホーンによる作品であり、
 何といってもサイドメンが凄い。
  ケニー・バレル(g)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、弟のアル・ヒース
 (ds)なのである。

  LPを持っていたので、この作品の素晴らしさは、すでに知っていたのだが、9月にCD
 (1500円)となって再発されたことがわかり、買い直すことにした。
 (どうもLPは、聴くまで面倒なのと、音の劣化がいやなあまり、何度も気楽に聴くことが
 できないので)

  いざ聴いてみると実にいい。 サイドのメンバーのプレイも躍動感に満ち、とくにジミーの
 自信に溢れたテナー・プレイには感心させられた。

  60年代の半ばらしく、ソロ・フレイズも「パターン」や「替え指」を使ったりした、
 より新しさを感じさせるものになっており、その後の「スティープル・チェイス」レーベルなどの
 ものと違い、テナーの音も太くて元気バリバリ。

  また、50年代のギブソンESー175を使った頃のプレイが大好きなケニー・バレルも、
 この作品では久しぶりにホーン・ライクな充実のプレイをしていて、もう言うことがない。

  音も、レイ・ファウラーによって、ジャズらしい各楽器の音がズンズン前に出てくる迫力の
 あるものを聴くことができ、20bitK2スーパー・コーディングの効果にも侮れないものがある。

  ジミーのオリジナル3曲(マイルズの演奏で有名な『ジンジャーブレッド・ボーイ』が聴ける)、
 スタンダード4曲、全7曲とも名演ぞろいで、40分近く、あっという間にノリノリで聴き通す
 ことができる、これぞ『名盤』である。

    9月28日

 * BLUE NOTE 決定盤1500シリーズについて

  旧譜については、東芝EMI(この会社は、まだ性懲りもなく、「セキュアCD」なるCCCD盤を
 出そうと画策している最低の会社)の、BLUE NOTE決定盤1500シリーズのCD
 (これは通常のCD)を集中して聴いているため、この頃あまり他のものを聴くことができなく
 なっている。

  LPでしか持っていなかった作品を、この機会にCDで聴こうとしたのだが、久しぶりに
 まとめて聴くと、やはりブルーノートというレーベルは、内容、音、ジャケット・デザイン、
 すべてにおいて素晴らしい。
 (といっても、アルフレッド・ライオンがプロデューサーだった’67年頃まで)
 (近年はブルーノート・レーベルからのヨーロッパ盤は、ほとんどCCCDなので、US盤がお薦め)

  とくに、今やブルーノート・レーベル専門家といってもいい小川隆夫氏による『ブルーノートの
 真実』発行・東京キララ社、発売・三一書房 という本を読んでから、ブルーノートの音楽を
 聴いたため、余計に楽しめた。
 
  このレーベルについては、これまで多くの人がいろいろ書いているので、ことさら付け加える
 こともない。
  でも、少なくともジャズについて何か語ろうとする人は、できるだけたくさん、このレーベルの
 音楽を聴いたほうがいいとは断言できる。

  最後に。 
  あるブログによると、このシリーズは24bit・デジタル・リマスタリングながら、音の迫力は
 US盤の「RVGエディション」の方が上らしい。


    8月4日

 * 暑い日には、ジョアン・ドナート(p)のホットなジャズ・サンバを

       1963年 ブラジル

  『A BOSSA MUITO MODERNA DE DONATO E SEU TRIO』 
    (ボッサ・ムイト・モデルナ)  JOAO DONATO(ジョアン・ドナート) ユニバーサル
                                           (’02に日本初CD化)

 
 1934年、ブラジルのアクレ州リオブランコで生まれたジョアン・ドナート、今まで何枚かの
 CDやLPでその音楽を聴いてきた。
 {’63
『サンボウ・サンボウ』、’65『ニュー・サウンド・オブ・ブラジル』、’65『バド・シャンク&
 
ヒズ・ブラジリアン・フレンズ』、’73『ケン・エ・ケン(紳士録)』、’74『ルガール・コムン』(この
 作品は、いい曲が満載の名作)}

  実際の演奏姿を見たのは、10年前の「小野リサ」とのライヴ映像で、当時、60歳を超えて、
 もうベテランだった彼の、ひょうひょうとした姿と、味わい深いシンプルなピアノ・プレイが
 印象的だった

  そんな彼だが、最近になって聴くことの出来た今回紹介する2作目のリーダー作を聴くと、
 その印象とあまりに違うアグレッシヴなピアノ・プレイに驚きを覚えたのである。

  メンバーは、’63年の初リーダー作
『サンボウ・サンボウ』と同じ、
セバスチャン・ネト
 ベース、
ミルトン・バナナのドラムズ、アマウリィ・ロドリゲスのパーカッションとなっているが
 聴き比べると、断然2作目のこの作品のほうがいい。

  とりわけ、ミルトン・バナナの生きのいいリズミカルなドラミングが素晴らしく、
 ジョアン・ドナートのリズム感抜群のピアノ・プレイも、’63年としては高レヴェルのもので、
 いろいろなジャズ・ピアニストの影響をうまく、ブラジルの音楽と融合させ、グルーヴ感に
 満ちあふれた作品となっている。

  ミュージシャン好みの7曲の自作曲、3曲のトム・ジョビンの曲をはじめ、全12曲とも
 出来がよく、合計約34分の最後まで、ノリノリで聴き通すことのできるジャズ・サンバの
 名作と断言したいと思う。

  最後に、録音状態はモノラルながら、意外に各楽器の音が、鮮明かつ迫力ある音で
 聴けることを付け加えておきたい。

    7月7日

 * 「ザ・ジャズ・クルセイダーズ」のリマスター・ライヴ作品に注目

       1966年7月4日(4,5)、10月8日(1,2,3)
             1968年7月19日(6,7→未発表、計約21分

 「THE FESTIVAL ALBUM」  THE JAZZ CRUSADERS (PACIFIC JAZZ)
                                   BLUE NOTE RECORDS(USA)

  ブルーノート・レコーズからは、相変わらずコンスタントに、リマスター・CDがリリース
 されている。 (ただ、ヨーロッパ盤はCCCDなので、ご注意を)

  6月は、アール・クルー(g)の’76、’77「EARL KLUGH+3」’76「LIVING INSIDE
 YOUR LOVE+1」、そしてザ・ジャズ・クルセイダーズの’66、’68「THE FESTIVAL 
 ALBUM+2」が、ロン・マクマスターによる24ーbit・リマスターで発売された。

  それらの中では、デイヴ・グルーシンが関わったアール・クルーの2作品も、ご機嫌な出来
 なのだが、今回は、以前の記事でも扱った 60年代の「ザ・ジャズ・クルセイダーズ」のライヴ
 作品をとりあげたいと思う。

  70年代になって、「JAZZ」を取ってからの「ザ・クルセイダーズ」も、ファンキーさが
 増していて、いいとはいえ、60年代の「ザ・ジャズ・クルセイダーズ」は、西海岸の新主流派
 といった趣があり、なかなか聴き逃せないのである。

  今回紹介した作品は、LPの形で出ていたニューポート・ジャズ・フェスティヴァル(2曲)、
 パシフィック・ジャズ・フェスティヴァル(3曲)に、未発表の’68年のシェリーズ・マン・ホール
 でのライヴ(2曲)を加えたものとなっていて、この時代の彼らの「熱さ」がビシビシと
 感じられる優れたライヴものである。 (早いテンポの曲が多いかな)

 今まで、ジャズ・ジャーナリズムでは、あまり評価されていない60年代の「ザ・ジャズ・
 クルセイダーズ」だが、私を含め、知人にもこの時代の彼らのプレイを、好きな人が
 いることも事実。

  ウィルトン・フェルダー(ts)のファンキーなコルトレーンといった感じのプレイや、
 ジョー・サンプル(p)の、今では考えられない流麗なモーダル・プレイも、好感の持てる
 もので、もし興味があれば、聴いてみられることをお薦めしたいと思う。

  なお、フェルダーとサンプル以外のレギュラー・メンバーであるウェイン・ヘンダーソン(tb)と
 スティックス・フーパー
(ds)に加え、この作品では、1,2,3曲目はジミーボンド
 4、5曲目はハービー・ルイス、6,7曲目はバスター・ウィリアムズがベースを担当している。

  リマスターにより、60年代のライヴ録音とは思えない、しっかりした音が聴ける
 ということも付け加えておきたい。



    6月24日

 * 蒸し暑く、過ごしにくい季節に、こんなCDは?

       1970年

  「BOSSA RIO(サン・ホセへの道)」 BOSSA RIO(ボサ・リオ) ポリドール株式会社

  最近出版された『決定盤 ボサ・ノヴァCD100選』 柿木央久著 を読んでいて、
 ちょっと懐かしい2枚のCDを発見した。

  それは、セルジオ・メンデスとブラジル’66『ライヴ・アット・EXPO’70』と、その弟分
 ともいうべきボサ・リオ『サン・ホセへの道』というCDである。

  実は両者とも、実際のライヴを、私は高校生の頃、大阪万博で聴いている。

  それまで、ヒノテルやプーさんのライヴは聴いていたが、外国のミュージシャンのライヴを
 聴くのが初めてだった私にとって、とても新鮮な体験だったことを思い出した。

  そこで、2枚のCDをネットで注文し、さっそく聴いてみたのだが、意外に今の耳で聴くと
 ボサ・リオのもの(CDではこの1作だけ)が、とりわけ楽しく聴くことができたのである。
 
  セル・メンの方は、ライヴということもあって、プレイにちょっと荒さが目立つのに対し、
 ボサ・リオの方は、ジャズ・ピアニストでもあるマンフレッド・フェストのピアノやオルガンの
 プレイを、うまく全体のサウンドに生かし、男女2人のボーカルのバランスや音程の正確さも、
 上だったからである。

  近年は、どちらかというと、アメリカ経由のものより、ブラジル本国産の音楽に興味を向け
 がちだったのが正直なところ。

  でも、セル・メンやボサ・リオのように、ブラジル人ミュージシャンがアメリカのポピュラー
 音楽の要素をうまく自分たちの音楽に取り入れて作り出した、新しいリズミカルな音楽も、
 今聴くと面白く聴くことができ、あまり古さを感じさせないのも意外だった。

  終わりに、曲名は次のとおり

 1 サイウパ(ジェルジ・ベン) 2 サン・ホセへの道 3 波 4 デイ・バイ・デイ
 5 トゥディ、トゥモロウ(カエターノ・ヴェローゾ) 6 ビートでジャンプ 7 ナナ 
 8 オールド・デヴィル・ムーン 9 帆船(エドュ・ロボ) 
 10 ジェントル・レイン(ルイス・ボンファ) 11 塩の歌(M・ナシメント)

    6月18日

 * 『JAZZベース』ージャズ批評編集部・編ーは、新たなCD購入に役立つ本だ
   
  ジャズ批評社から今までに発売されたものは、「季刊」のもの、「ジャズ批評ブックス」も含め、
 ほとんど保管してあるし、ずいぶんCD購入の参考にもしてきた。
 (「スイングジャーナル」や「JAZZ LIFE」とともに)
 

  そこで、この6月に発売された、ジャズ批評ブックス『JAZZベース』¥2000についてである。

  内容はというと、季刊ジャズ批評(106号「特集ジャズ・ベース」)の改訂版なのだが、
 新たな記事や、広い分野(エレクトリック・べース奏者も含め)からの面白い推薦盤もあり、
 さっそく何枚かのCDをネットで注文してしまった。

  旧譜中心とはいえ、現代のジャズ音楽における、世界中のベース奏者の個性的なプレイや
 音楽を、より楽しもうという人にとっては、お薦めの本といえる。

  ところで、余談だが、相互リンクしていただいている工藤さんはじめ、私がよく見る
 ジャズ関係のサイトやブログを作成している人に、ベース経験者が多いのはなぜだろう。
 (知的に音楽を分析できるから?)

 (実は、私も、かつてフェンダーのエレクトリック・ベースに無謀な挑戦をしたが、指が大変な
 状態になるなど、難儀した記憶がある。 大きな手と、強い握力の必要性も痛感したな。)
 
 2006年1月10日追記

  
その後、季刊から隔月刊になった、『ジャズ批評』はジャズ大衆化路線に編集方針を
 かえたようだ。 はたしてこれが吉に出るか凶に出るか。 しばらく様子を見ることにしたい。


     5月24日

   * この夏、お薦めのボサ・ノヴァ作品は、これに決まり

        2004年11月、12月

  「RIVE GAUCHE RIO」 (リヴ・ゴーシュ・リオ)   CELSO FONSECA 
                             コロムビアミュージックエンタテインメント


  これは、1956年、リオ生まれのセルソ・フォンセカによる新譜。
 (4月20日、日本先行発売、2曲のボーナス・トラック付き)

  80年代からスタジオ・ミュージシャンとして有名になった彼、ギタリスト、コンポーザー、
 アレンジャー、ボーカリスト、そしてプロデューサーと、きわめて多才な人物である。

  この作品は、作詞家ホナウド・バストスと共同名義の名作’01『ジュヴェントューヂ/
 スロー・モーション・ボサ・ノヴァ』、ソロ名義の’03『ナチュラル』に続くもの。 

  以前私は、『ジュヴェントューヂ』を「絹ごし豆腐」、『ナチュラル』を「木綿豆腐」に例えた
 ことがあるが、それにならうと今度の作品は「ごま豆腐」ということになろうか。

  弾力があり、中味は栄養たっぷりというわけで、この作品は最近のボサ・ノヴァ作品の
 中でも出色の出来である。

  カエターノ・ヴェローゾを彷彿とさせるボーカルは、ますます、うまさと洗練さを加え、
 聴くものをリラックスさせるという点でも文句なし。
  また、全14曲にわたり、ボサ・ノヴァのリズムだけでなく多彩なリズムを使い、
 特に、私が好きなエレクトリック・ピアノの音を、本当にうまくサウンド作りに
 生かしている。
  
  アントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルトの音楽や、ジャズ、ロック、そして
 彼の音楽の特徴である映像性に影響を与えた映画音楽を、自分の音楽の中にうまく
 消化したセルソ・フォンセカ。
 なかなか、侮れないミュージシャンである。

  この夏を”クール”に過ごしたい人には、マスト・アイテムの1枚だろう。

 おまけに、最近発売されたボサ・ノヴァ関連の推薦本を。

 『BOSSA NOVA ボサノヴァ』 BKブックス(林伸次、保里正人)編 KTC中央出版
                                               2004年8月刊

 『決定盤 ボサ・ノヴァCD100選』 柿木央久  河出書房新社  2005年5月刊  

     5月17日

   * ジョン・マクラフリン(g)の「マイ・ゴールズ・ビヨンド」を聴く

        1970年

 「MY GOAL’S BEYOND」  JOHN McLAUGHLIN   DOUGLAS

  入手困難だったジョン・マクラフリンの70年録音「マイ・ゴールズ・ビヨンド」
 今年の1月に、UK輸入盤CDとして発売されていることを、ひょんなことで知り、
 (HMV)でさっそく注文した。 

  ジャケットは、LPよりずいぶん地味めになったが、内容は今聴いても感動もの。

  2曲の、インド音楽の影響の強いコンボによる作品(デイヴ・リーブマンのフルートと
 ソプラノ・サックスのソロが絶品)と、8曲の、多重録音も含めた、彼のアクースティック・
 ギターによる作品の、全10曲(合計約42分)の内容で、CD化され驚くほど音が
 よくなっている。

  とりわけ、アクースティック・ギターを弾くときの、マクラフリンのピッキングの強さは
 どうだ。
 スピーカーの前で、ときどきビックリして、椅子から飛び上がりそうになるくらいの
 凄まじさだ。

  60年代後半のイギリス時代から、マイルズ・デイヴィス、トニー・ウイリアムズ、
 ミロスラフ・ビトウス、ラリー・コリエルらと共演していた70年の頃の彼の演奏は
 今改めて聴いても、私の心にズーンと染み込むものばかり。

  この頃の作品が、もっと再評価されてもいいのではないかと、よく思う。

  なにしろ、アフリカの「ビクトリアの滝」のごとく流れ落ちるフレイズの中の一音一音が、
 桁違いの説得力を持っているのだから。


  また、ジョー・ファレル(ts、ss、fl)の70年録音「コラージュ」でも聴ける、彼の名曲
 『フォロー・ユア・ハート』が、アクースティック・ヴァージョンで聴けるのもうれしい限りだ。


  未聴の方はぜひ。

 追記  しかし、70年録音のマクラフリンのリーダー作『デヴォーション』は、
      ラリー・ヤングなど、メンバーの割に演奏にハプニングがなく、避けた方が
      いいだろう。

     4月15日

   * アイルト・モレイラの幻のアルバムの初CD化

        1970年 NYC
   「NATURAL FEELINGS」  AIRTO    SKYE
   「ナチュラル・フィーリングス」 アイアート・モレイラ   ミューザック

  70年代初期のマイルズ・デイヴィスの音楽や、チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」
 ファンにとって、見逃せないCDが、3月23日に日本のミューザックより発売された。

  この作品は、「リターン・トゥ・フォーエヴァー」誕生前の録音で、ブラジル北東部をはじめ
 いろいろな伝統的リズムをベースとした、この後アイルト(この表記が原音に近い)を中心に
 作り出すブラジリアン・フュージョン音楽の先駆けといってもいい作品である。

  内容はというと、アイルトのパーカッション・プレイが変に目立ちすぎることもなく、ボーカルや
 いろいろな楽器のソロも織り交ぜ、変化に富んだ飽きのこないもの。
  特に私のアイドル・ミュージシャン、エルメート・パスコアルのキーボードのみならず、個性的な
 素晴らしいフルート・ソロ(3曲)が聴けるだけでも得した気分。

  トータル・タイム37分くらいと、70分近くある最近のCDと違い、楽に聴き通すことができ、
 各曲もリズミカルな乗りのいいものが多いので、ブラジリアン・フュージョン・ファンには、
 今のうちに購入しておくことをお勧めしたい。 音質面も標準以上なので安心を。

  奥さんのフローラ・プリン(この表記が原音に近い)をはじめ、ベースはこの頃のアイルトと
 よく共演していたロン・カーター、マニア好みのマルチ・楽器奏者のシヴーカも参加している
 力の入った好作品である。


     4月3日

    * ヴァン・ゲルダーさんは困った、罪つくりの人だ

  今回の情報は、特に「ブルーノート」・レーベル・ファンに限られるかもしれない。
 
   ルディ・ヴァン・ゲルダー。  ジャズ録音のエンジニアの第一人者として、50年代より
  今日まで、バリバリの現役のこの人、困ったチャンである。

  よりによって、私が最も音がいいと感じ、最終決定版と思っていた国内盤で
 「24bit・by・RVG・紙ジャケ」として出されたもののうち何枚かを、US盤
 「ザ・ルディ・ヴァン・ゲルダー・エディション」(24bit・リマスター)としても、
 近年少しずつ出しているようなのである。 (以前から「ザ・ルディ・ヴァン・ゲルダー・
 エディション」の音がいいのは知っていたが、今回は話が別)

  これが同じ24bit・リマスターなのに、新しく出たUS盤の方が、音質が明らかに
 向上しているからたまらない。

  具体例を挙げよう。
  この3月、私の長年のアイドル、ウエイン・ショーター(ts)の『ナイト・ドリーマー』
 (何度買い換えたか、もう!)という作品が、「ヴァーゴ」という曲の別テイク付きという
 ことで、「ザ・ルディ・ヴァン・ゲルダー・エディション」として発売されていたのである。

  まあ、同じRVGによる24bit・リマスターだ、音質面で変わりなくても、ボーナス・トラック
 付きだから一応買おう、と思ってネットで購入し、念のため98年に出た国内盤
 「24bit・紙ジャケ」のCDと聴き比べてみた。

  ありゃ、まあ。 明らかに今度出たUS盤の方の音がいい。
 この作品のLPの形の時から聴こえにくかったレジー・ワークマンのベースの音が
 倍音たっぷりの存在感のあるベースらしい音で聞こえるではないか。
 他の楽器の音や、全体の音場の迫力も違いすぎ。

  こりゃ、まいった。 国内盤「24bit・by・RVG・紙ジャケ」で持っていた作品も
 特別な愛聴盤の何枚かは、US盤「ザ・ルディ・ヴァン・ゲルダー・エディション」に
 買い換えなくてはならなくなった。

  デジタル技術の進歩が、その音の差の原因だと思うが、RVGは本当に私のような
 「ブルーノート」マニアにとって困った(?)人である。

 追記  マニアの人には、ブルーノートのサイトに早速行けるよう
      下にクリックできるようにしましたので、ご確認を。

     BLUE NOTE RECORDS のサイト」

  さらに、ハービー・ハンコック(p)の爽やか名盤「スピーク・ライク・ア・チャイルド」も、
 3曲のボーナス・トラック付きで「ザ・ルディ・ヴァン・ゲルダー・エディション」として
 出ていたため、いっしょに買ってみた。
  これも以前のCDと比べると、LPの時から気になっていたロン・カーターの
 大げさすぎる不自然なベースの音が改善されていて、お薦めである。

     3月6日

    * ジャズ・ロック史上に燦然と輝く名作


       1969年5月26.28日  NYC

    「EMERGENCY!」 THE TONY WILLIAMS LIFETIME 
                      ユニバーサル・クラシック&ジャズ (2月2日発売済み)

  
この作品、2枚組LP{全8曲}の国内盤で出たとき、本当に音が悪かった。
  (当時、ポリドール・レーベルの日本盤は総じて音が悪かった記憶がある。)

  
  発売後すぐに買って聴いたのだが、とにかくギター、オルガン、ドラムズすべての音が
 歪みに歪んでいて、まるでノイズのかたまりを聴いた感があった。

  でも、その頃のマイルズ・デイヴィスの音楽やニュー・ロック(懐かしいフレイズだ)を好んで
 聴いていた私にも、この作品の凄さはすぐに分かった。

  とにかく、全体を覆う暗い曲調、のべつ叩きまくるトニーのドラミングと頼りなげなボーカル、
 切れまくるマクラフリン(当時はマクローリンと表記されていた)のギター、
 摩訶不思議なサウンドを奏でるラリー・ヤングのオルガンと、まさに異次元のサウンドが満載。

  久々に、紙ジャケで日本盤が発売されたので、全8曲(計70分)を集中して聴いてみると
 シンバルの音に顕著だが、以前’97年に発売されたUS盤2CD「スペクトラム:
 ズィ・アンソロジー」より音質も向上していて(24ーbitリマスター)、よけいに
 この作品を深く味わうことができた。

  限定盤とのことなので、もしCDで聴きたい方がおられたら、この日本盤の早急な購入を
 お薦めしたいと思う。

  なお、この後の「ライフタイム」の作品は一曲一曲の長さも短くなって、ポップ化してしまい
 好事家を除いて、あまりお薦めできかねる出来のものが多い。

  コロンビア・レーベルでのアラン・ホールズワース(g)との作品はよかったが。

  また、マクラフリンについては、同時に発売された’68年録音の『エクストラポレイション』
 という作品は本当に名盤であり、当時UK盤LPを苦労して通販で買い、
 聴いて吹っ飛んだことを憶えている。

 あの頃の彼のプレイには、スリルと輝きがあったが、今はどうだろう?


     2005年1月25日

   * 通好みのトム・ハレル(tp、flh)の代表作は?

  コンテンポラリー・レーベルでの初CD、1988年1月26−27日録音の「STORIES」
 ボブ・バーグ(ts)やジョン・スコ(g)ー3曲、 の好演もありいいのだが、涙を飲んで今回は
 以下の2作品にしたい。


       1989年3月22−23日 NYC
   
      「SAIL AWAY」  TOM HARRELL  CONTEMPORARY RECORDS

 TOM HARRELL(tp、flh)、JOE LOVANO(ts)ー5曲、DAVE LIEBMAN(ss)−3曲
 CHERYL PYLE(fl)ー1曲、 JOHN ABERCROMBIE(g、gsyn)ー5曲
 JAMES WILLIAMS(p)、 RAY DRUMMOND(b)ー9曲
 ADAM NUSSBAUM(ds)ー9曲

  上のCDは2003年にリマスターされたもので、未発表集「VISONS」より、新たに2曲追加され
 全部で10曲(T.T.80分近く)のお買い得品となっている。
  



       1990年4月8.9日 NYC

       「FORM」   TOM HARRELL  CONTEMPORARY RECORDS

  TOM HARRELL(tp、flh)、 JOE LOVANO(ts、ss)、 DANILO PEREZ(p)
  CHERYL PYLE(fl)ー1曲、 CHARLIE HADEN(b)、 PAUL MOTIAN(ds)

   1曲ボーナス・トラックが追加され、全6曲となっている。


  
1946年生まれのトム・ハレル。 日本のジャズ・ジャーナリズムでは、やや過小評価されて
 いるようだ。

  しかし、ネットのサイト(特に現役のプロやアマチュア・トランペッターのサイト)では、
 大変な人気なのである。

  私もあらためてサイドマンで参加した、彼の演奏の聴けるCDを調べてみて驚いた。
 本当にたくさんのCDがあるのである。

  一般的には、1979年、ビル・エヴァンズ作
『ウィ・ウィル・ミート・アゲイン』への参加が
 有名だろう。
  しかし、その後も現在まで、フィル・ウッズ・クインテット在団(84年〜89年)も含め、
 いろいろなコンテンポラリー・ミュージシャンの録音セッションに呼ばれ、実に堅実かつ
 安定したプレイを行ってきたのである。  (リーダーのプレイをあくまでも立てて)

  それらにも、いいものは多いのであるが、やはり彼の本来の姿や、やりたいことは、
 彼のリーダー作品に表現されているのは当然であり、私も遅ればせながら
 それらをできるだけたくさん聴いて、推薦盤を選ぶことにした。

  そこで、結論が上記のコンテンポラリー・レーベルでの2枚というわけである。

  この頃の彼は、トランペットのプレイのみならず、作・編曲面でも充実していて、
 今でもいろんなミュージシャンによって演奏されて有名な「セイル・アウェイ」他、
 数々の趣向をこらした名曲を、これらのCDで聴くことができる。

  トランペットのプレイは、M・デイヴィス、F・ハバード、L・モーガン等、 作曲面では
 H・シルヴァー、T・モンク、W・ショーター、H・ハンコック等のいい影響を受けていて、
 派手さはやや不足しているものの、ミュージシャン好みのセンスのよさが感じられる、
 飽きのこないプレイや曲が多く、これから評価が上がること確実なミュージシャンといえる。

  ただ、残念ながら、ライヴ映像から分かるように、若い頃からの精神的な病気と
 薬の副作用のため、年を経るごとに体の震えによる音の不安定さが目立つようになり、
 近年では2001年の『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』を除き、
 安心してプレイを聴くことが難しくなってきていることも事実である。

  彼もそのへんを考え、近年では作・編曲に、より力を入れているようだ。  

  彼の絶頂期に作られた上の2枚、ぜひ未聴の人は聴いてみて欲しい。 
 本当にいいアドリブ(柔らかな音色で、クリシェに頼らず、歌心にあふれ、
 オリジナリティのあるもの)が聴けると思う。  

  また、サイドマンの選択もよく、全員のベスト・プレイが満喫できる。

 追記
     その後、その他の80年代の彼の作品もいくつか聴いてみた。 その中では
    1985年12月22日録音のクリス・クロス・レーベルによる
    「MOON ALLEY」という作品を、サイドマンの好演(特にピアノのケニー・バロン)
    と共に、ハレルのソロも創造性と勢いがあり、推薦したいと思う。
    (自作の曲も名曲揃い)

    
     2004年12月22日

   * ゲイリー・バートン(vib)の掘り出し物CD


       1996年9月20ー22日 NYC

     「DEPARTURE」 GARY BURTON & FRIENDS  CONCORD JAZZ

  最近出版された、後藤雅洋氏の『ジャズ選曲指南』という本にも紹介されていたこのCD、
 日本ではあまり大きく扱われていないようだが、第一級の掘り出し物である。

  60年代初期から現在まで、長い演奏歴のあるゲイリー・バートンだが、当時からいろいろな
 パートナー(ラリー・コリエル、チック・コリア、ラルフ・タウナー、パット・メスィ
ーニ他)と組んで、
 高水準の作品をたくさん生み出してきた。

  私もよく調べてみると、「ダスター」以来、ずいぶん彼の作品を購入している。

  でも、このCD、上記の本で見て、買い逃していたことを知り、さっそく注文して聴いてみて
 びっくりした。
  ECM時代のクールさより、暖かさを感じさせるメインストリーマーとしての彼の姿が、
 この「デパーチャー(出発)」という、コンコードからのファーストCDから、はっきりと
 浮かび上がってきたからである。

  ヴァイブという、どちらかといえば、アーティキュレーションのつけにくい楽器を使って、
 ここまで歌心を表現できるプレイヤーはやはり限られる。
 (ミルト・ジャクソン、ボビー・ハッチャーソン,マイク・マイニエリ、ジョー・ロックくらいか?)

  また、「セプテンバー・ソング」、「ポインシアーナ」、「イフ・アイ・ワァー・ア・ベル」他、
 スタンダード曲を、テーマの部分はきちんとアレンジしながらも、中味の
 アドリブ・パートにおいては、彼自身だけでなくギターのジョン・スコフィールド(8曲)、
 ピアノのフレッド・ハーシュ等も、とてもリラックスした、いい味のソロをとっている。

  ジョン・スコのスタンダード・プレイを目当てに聴くのもいいし、全体の、いい意味で
 「さっぱりしたお茶漬の味」(後藤氏) のジャズ演奏を味わうのもまたいいと思う。


  ベースはジョン・パティトゥッチ、ドラムズはピーター・アースキンの最強メンバーである。


     12月16日

   * 気になるミュージシャンーーーエリック・ドルフィー

  昔から、彼の代表作と言われるLP (『惑星』、『アウト・ゼアー』、『アット・ザ・ファイブ・
 スポット』、『アウト・トゥ・ランチ』、
『ラスト・デイト』など)は、一応購入し、
 何度かは聴き返してもいた。

  でも、私にとってのフェイヴァリット・ミュージシャンとは、正直いえなかった。
 フルートやベース・クラリネットの演奏は、まあよかったのだが、馬のイナナキと例えられる、
 アルトの演奏がしつこく大げさな表現に感じられたのも、その原因だったのだろう。

  しかし、最近続々とコレコター泣かせの復刻ものを出している、LONE HILL JAZZ
 レーベルから発売されたドルフィーの2枚{マッコイ・タイナー(CDではラロ・シフリン・
 フィーチャーとなっているが実際はタイナー)とハービー・ハンコックとのもの}や、
 『アウトワード・バウンド:惑星』ー(リマスターでボーナス・トラック3曲付き) を聴いて、
 彼の素晴らしさに打ちのめされてしまった。

  昔の音の悪いLP (プレスティッジの国内盤はカッティングのレベルが低すぎたし、
 US盤は盤質が最悪で、ソリやノイズがひどかった) からははっきり分からなかった、
 パーカーの音楽語法を基本にしながらも、それを自分なりに発展、深化させようという
 彼の気概を、音質が向上したCDからは、よりはっきりと感じ取ることができ、
 とても感心させられたのである。 
  演奏技術的な面からも、リード・ミスなしで、ものすごく複雑な跳躍フレイズを軽々と
 駆使していることを強調しておきたい。

  (バックのロイ・ヘインズ(ds)の生み出すスウィング感もよかった)
  

     11月27日

  25日発売のDVD「マイルス・デイヴィス/マイルス・エレクトリック〜パフォーマンス・アット・
 ザ・アイル・オブ・ワイト」 ビデオアーツ・ミュージック を買った。

  やはり公式ものはいいね。 音、画質、内容すべてにおいて、ブートものを超えている。

  1970年8月29日、イギリス、ワイト島ミュージック・フェスティヴァルでのマイルズの
 ライヴの完全収録(38分)を中心に、ハンコック他いろいろなミュージシャンのインタビューも
 たくさん収録してある決定的DVDである。  (合計120分)

  この時期の他のライヴ(ブートを含め)と比べても、演奏がきっちりとまとまっていて、
 マイルズ初心者にも真っ先に薦められる優れもので、今後もどんどんこのようなDVDを
 出して欲しいね。

  ちなみに、私は日本アマゾンのサイトから購入したのだが、定価通りのHMVよりずいぶん
 安く買えたのはうれしかった。


     11月15日

  妻が買ってきた(といっても私の意向もあったのだが)、松任谷由美(ユーミン)
 11月発売の新譜CD 『VIVA! 6×7』 を聴いた。

  TVでは、最近のライヴのいくつかは、みていたのだが、久しぶりにユーミンの音楽を
 CDで聴くのは、また格別だった。

  正直、高校の頃より、デビュー作から何枚かは、細野氏らサイドメンや曲のよさもあり、
 ずいぶんLPで買って聴いていた。
  ユーミンの作る曲の中には、好みの曲がいっぱいあり、今でも口ずさめる曲も多く、
 コード進行においてもユニークな工夫がみられるのもその理由の一つである。

  今度の新譜は、全11曲の中には、TVのCMソングや映画の主題歌がいくつか
 あるのだが、他の曲の完成度も高いし、以前に比べ音程も安定し、歌詞の内容も
 よく聴き取れるように、ミックス面で工夫しているため、とても気に入った。

  アップ・テンポ、バラッド他いろいろなタイプの曲があり、そこはかとなく60年代のサウンドも
 聴き取れ、なつかしい気分に、しばしの間、浸ることができた。

  バック・ミュージシャンとしては、ドラムズのジョン・ロビンソン、ヴィニー・カリウタ、
 ベースのニール・スチュ−ベンハウス、ギターのディーン・パークス等も参加していて、
 メリハリの効いた力強いサウンドが満喫できる。

  プロデューサーのマンタ(松任谷正隆)氏も相変わらず、アレンジその他で、
 いい仕事をしている


     11月5日

  * ジョー・ファレル(ts,ss,fl, ob,)の再評価


  実は、最近アンドリュー・ヒル(p)のブルーノートの60年代後期の未発表CDがいくつか出て、
 その中でジョー・ファレルがいいソロをとっていたので、彼のプレイを集中的に聴いて
 みたのである。

  故エルヴィン・ジョーンズとの共演作、リターン・トゥ・フォーエヴァー、彼のリーダー作など、
 改めて聴くと、テナーだけでなく、個性的な音色のソプラノ、ふくよかな音が気持ちいいフルート、
 そして珍しいオーボエなどの楽器すべての演奏において、溢れる歌心と、きわめて高度な
 演奏技術が聴き取れた。

  どちらかというと、コルトレーン派の一員と見なされ、ストレイト・アヘッド・ジャズだけでなく
 70年代途中からは、時流に合わせフュージョンぽい作品(私は好きで集めていたが)を出し、
 1986年にガンで48歳で亡くなったため、現時点では、ジャズ・マンとしては巨人になり損ねた
 感じの彼である。

  でも、ミュージシャン仲間での評価は、今でも大変高いし、ライヴでは一度乗ると
 手をつけられられないレベルの演奏をしたらしい。

  
  さて、たくさんある彼のリーダー作の中では、次の2枚のCDを推薦したいと思う。


        1972年11月21日

  有名なCTIレーベルの作品の中では、2002年にリマスターされたUS盤
 「MOON GERMS」を第一にあげたい。

  音質も向上し、彼のソプラノとフルートの熱いソロのみならず、ハンコック、ディジョネット、
 S・クラーク等、メンバーのよさとあいまって、全曲高レベルのプレイが楽しめる。

  (日本盤の2000年に出た「アウトバック」も演奏内容はご機嫌なのだが、高音域が鮮明に
 聞こえないなど、リマスターが不十分である。)



        1983年11月15日  オランダ

  次に推薦したいのは、後期の83年録音のルイス・ヘイズ(ds)との双頭カルテット
 「VIM’N’VIGOR」 TIMELESSである。

  テナー、ソプラノのソロを中心に、ストレイトなジャズにおける彼のアドリブが堪能できる、
 有名ではないが、いい内容のCDで、サイドメンは、ロブ・ヴァン・デン・ブロエック(p)、
 ハリー・エムメリー(b)と、ちょっと地味めだが、有能なオランダのミュージシャン達である。

 追記

  ジョー・ファレルのライヴといえば、お客さん、いいのがあるんですよ!。
 どうも、未だに日本盤で出たり、CD化もされていないようなのですが、
 ”JAZZ A LA CARTE”というレーベルから1980年に出された
LPで、
 
「FARRELL’S INFERNO」なるライヴ作品なのです。
  
  カリフォルニアでの、吹きまくりの素晴らしいソロが聴けるもので、「インヴィテイション」、
 「枯葉」、「ムーン・ジャームズ」などの曲を、ヴィクター・フェルドマン(p)、
 ボブ・マグヌッソン(b)、ジョン・ゲリン(ds)らの腕利きミュージシャンと共に、
 ファレルが熱くプレイしています。

  実は、私は70年代初めのリターン・トゥ・フォーエヴァーの初来日公演で、ジョー・ファレルの
 生演奏を聴いたことがあるのです。

  その当時は、チック・コリアとアイルト・モレイラに注目していて、あまり強い印象は残っていない
 のですが、強いて思い出すと、 フルートとソプラノの音色の良さと、プレイ全体における余裕が
 あげられますね。

     9月11日

  * これは掘り出し物


        1975年12月10日 NYC

  「EASTERN REBELLION」 CEDAR WALTON  TIMELESS RECORDS

  このCD、あるサイトの管理人推薦のCDで、アマゾンでは手に入らず、HMVで3ヶ月かかって、
 ようやく手に入れたもの。

  シダー・ウオルトンという1934年生まれの、このピアニスト、 もう大ベテランであるが、
 最近も、若手と組んでリーダー作を出すなど、今も衰えを見せない、現役バリバリの
 テクニシャンである。

  サイドメンとしても、60年代から、アート・ブレイキーやアート・ファーマー、ミルト・ジャクソンの
 作品など、数多くの作品で手堅い活躍をしている。(ブルーノート・レーベルの作品でも聴ける)


  しかし、これといった代表作が、世間的にあまりはっきりしていないのと、ちょっと太りぎみの
 容姿で、ハッタリを嫌い、ハデさに欠けるため、やや通好みになりがちで、ずいぶん損をして
 いるのも事実である。  もっとも、同じピアニスト仲間での評価はたいへん高いのだが。

  作曲者としても、「ボリヴィア」、「ファンタジー・イン・D」、「OJOS・DE・ROJO」など、
 いい曲をたくさん書いていて、プレイも堅実、しかもアイデア豊かで、じっくり聴くと、
 聴きごたえ十分の演奏を常に行っている。

  私個人は、彼のリーダー作は、60年代後期のプレスティッジの数作、故ボブ・バーグ(ts)との
 スティープル・チェイスの作品、レッド・レーベルのものなどを聴いていたのだが、肝心のこのCDを
 聴いていなかった。

  1975年録音のこのCDは、この後何枚も続く、イースタン・リベリオン名での最初のもので、
 ウオルトンの張り切ったプレイもいいが、何と言っても目玉は、テナーのジョージ・コールマン
 素晴らしいプレイである。

  マイルズ・バンドでは、コルトレーンやショーターに比べられ、いいアドリブをしていても
 やや割を食っている感のある彼の、70年代の最高のプレイを、このCDで聴くことができる
 のである。


  ブルージーな感覚はそのままに、モード奏法もうまく消化し、ビリー・ヒギンズ
 サム・ジョーンズが作り出す、乗りのいいリズムにのって、隙のないダイナミックなアドリブが
 堪能できる。

  音的にも、シンバル音をはじめ、ジャズらしい音が聴け、この時期に目立つサム・ジョーンズの
 不自然なベース音も、ふくらみのある音で収録されていて、「ボリヴィア」と「モード・フォー・ジョー」
 という名曲も聴けるこのCD、大推薦の1枚である。

     9月6日

  * ジャズ・サンバを楽しもう

  ジャズ・サンバをいろいろ聴いてきた中で、今回はサンバランソ・トリオの以下の
 諸作を、お薦めしたい。
  このトリオ、 ドラムズにアイルト・モレイラ、ピアノにセザル・カマルゴ・マリアーノ
 70年代に活躍が目立った二人が所属した62年結成のピアノ・トリオで、3者のバランスも
 見事で、ジャズとしても、高水準のものだと思う。

  「サンブルース」 1964年
    「インプロヴィソ・ネグロ」 1965年
 ○ 「レインコントロ・コン・サンバランソ・トリオ」 1965年

  一曲、一曲の演奏時間の短さが玉に瑕だが、この時代のブラジル録音のわりには、
 ベースやドラムズの音も迫力のある音で収録されていて、乗りもいい。


     8月24日

  * 少し、涼しくなったので、スタン・ゲッツ(ts)の1950年代の作品を、いろいろ
    聴いてみた。


        1956年11月24日 ハリウッド

    「THE STEAMER+5」 STAN GETZ・4  VERVE MASTER EDITION

 
 1927年に生まれ、1991年に亡くなったスタン・ゲッツについて、現在はどのような評価が、
 なされているのだろう。
  
  60年代初期のボサ・ノヴァの演奏で、一般的には広く知られ、その後、チック・コリア、
 リッチー・バイラーク、ケニー・バロン等、腕利きのサイドメンを擁し、最後までインプロヴァイザー
 として、多くの質の高い作品を残して去って行ったスタン・ゲッツ。
  私の中では、高評価のジャズ・ミュージシャンとして、今も強く印象に残っている。

  70年代初め頃、一度東京で、生のプレイを聴いたこともその理由の一つであるが、現在でも
 どんどん未発表のライヴ作品や、映像が世に出てくるところをみても、彼のプレイを好む人が
 いかに多いか推測することができる。
  

  私自身は、ジャズ・ファンになりての頃、名盤といわれる50年の
「スタン・ゲッツ・カルテット」や、
 52年の
「スタン・ゲッツ・プレイズ」などの作品を聴いていたのだが、どうもその頃は、
 イースト・コーストの”ハード・バップ命”という頃だったこともあり、クールな彼のアドリブや
 サウンドには全面的に共感できなかった。
  でも、57年の
「スタン・ゲッツ&J.J.ジョンソン・アット・オペラハウス」での燃えに燃えた
 ライヴでのプレイには、感心してはいたのだが。
  
  さて今回は、近年、50年代の彼の作品が、新たにリマスターされて、どんどん発売された
 こともあり、いい機会だと思ったので、それらを聴いてベストなものを選んでみることにした。
  
  54年の
「スタン・ゲッツ・アット・ザ・シュライン」、55年の「ウエスト・コースト・ジャズ+7」
 55年の
「スタン・ゲッツ・イン・ストックホルム」、56年の「ザ・スティーマー+5」など、
  新リマスター、ボーナス・トラック付きのものを、じっくり聴き比べてみた。  すると、
 ”クール・ゲッツ”から”ホット・ゲッツ”への変化の過程が、録音年代順に聴き進めるうちに、
 はっきり聴き取れ、とても楽しめた。
 

  彼の、硬めのリードで、サブトーンを巧みに使ったテナー・サウンドは魅力的で、
 何といっても類い希な歌心と、楽器コントロールには、素晴らしいものがある。
  プレイ以外の私生活や性格に、いろいろな問題をかかえながらも、亡くなる直前まで
 プレイに情熱を傾けた彼は、やはりテナー・タイタンの一人といえる。

  本題に入ろう。  上記の作品の中では、私としては、56年録音の
ヴァーヴ・マスター・
 
エディション「スティーマー+5」を第一に推薦したいと思う。

  ワン・ホーンで、いろいろなテンポの曲においても、楽々とアドリブをかます彼のプレイに、
 もはや敵なし。

  リマスターによる音質の向上も著しく、各楽器のバランスの良さや迫力もより感じられ、
 トロンボーンやトランペット等のサイドメンがいない分、よけいに伸び伸びとしたプレイが
 聴けるのは、この作品の最大の魅力といえる。

  5曲のボーナス・トラックは、1曲の別テイクを除いて、あとは短い失敗のトラックで、
 これらは、おまけと考えてもいいと思う。
  特にピアニストの
ルー・レヴィの出来がよく、ソロに、伴奏にと、いい仕事をしている。

  今後も、ゲッツの50年代の作品を、いくつか購入する予定があるため、それらも
 聴いて、また、この記事の更新をしてみたいと考えているので、そのときは、よろしく。

  残りのサイドメンは、
ルロイ・ヴィネガー(b)、スタン・リーヴィー(ds)である。


 参考になる本

 『ジャズ批評119 スタン・ゲッツ』 ジャズ批評社 2004年4月刊

 『ジャズ・サックス決定盤』 小川隆夫著 音楽之友社 1994年刊

 『最新モダン・ジャズ決定盤』 岡崎正通、大和明著 音楽之友社 1994年刊
                  

     7月7日

  6月25日に紹介した、A・C・ジョビン作品の関連で、もう1枚、推薦盤をあげたいと思う。

  それは、1980年に、LPでは2枚組で発売された「テラ・ブラジリス」という1枚のCDである。

  クラウス・オガーマンの編曲では、ジョビン最後の作品になったもので、70年代の、やや重さを
 感じさせるクラシックの影響の強い「マチタ・ペレー」「ウルブ」と違い、ボサ・ノヴァのリズムも
 使い、彼の代表曲の数々が約71分近く聴ける、お買い得なものである。

  最初は野太くて違和感のある彼のボーカルも、何度も聴いていると、個性的でいい味に思える
 不思議な作品で、とにかく暑い夏に聴くのに最適なCDであると思うのでお薦めしたい。

    6月25日

   * 暑い時はボサ・ノヴァに限る


          1965,66,67年

     「COMPOSER」 ANTONIO CARLOS JOBIM   WARNER ARCHIVES

   いやぁー、暑い。 こんな時は、やっぱり音楽はボサ・ノヴァに限る、というわけで、このCDを
  まずはお薦めしようと思う。

   最近は、ジョビンをはじめ、ボサ・ノヴァのいいと思った作品を、LPから、CD(音質向上盤や
  ボーナス・トラック付きのもの)に買い換えて聴いているのだが、その過程で掘り出し物として
  見つけたのがこのCDである。

   ジョビンといえば、ジャズ・ファンには、CTIレーベルからリリースされた’67年の「波」
  ’70年の「潮流」「ストーン・フラワー」の作品が有名だと思う。

   しかし、今回推薦したのは、それ以前の1965年に録音した「ザ・ワンダフル・ワールド・オヴ・
  アントニオ・カルロス・ジョビン」と、67年録音の「ア・サートン・ミスター・ジョビン」の2作品を
  カップリングし、1995年にワーナーからリリースされたCDである。

   私個人は、前記の2作品を、90年代にディスカヴァリー・レーベルから出たCDで、すでに
  持っていた。 (両方とも収録時間が30分以下なのには驚いたが)
   しかし、最近「三月の水 アントニオ・カルロス・ジョビン・ブック」 岩切直樹著 彩流社
  という本で、この2作品を一緒にし、かつ6曲のボーナス・トラック付き(うち4曲は
  ポルトガル語版のもの)で、95年に発売された「コンポーザー」というCDがあることを知り、
  さっそくネットで注文し、聴いてみた。

   あっと驚くタメゴロー〜〜〜。(古〜)      こりゃー音がいい。

   ストリングスの音が前出のCDよりはるかに、はっきり聞こえ、広がりもあり、
  アメリカ盤の値段もリーズナブルだし、これは推薦しなくては、というわけで、このページに
  載せることにした次第。  (トータル・タイムも70分8秒)

   蒸し暑い夏をクールに過ごしたい方で、ジョビンの何かを、という方に、まず、このCDは
  どうだろう。

   内容は、ネルソン・リドルとクラウス・オガーマン編曲によるジョビンの自作曲(なかでは
  「ジンガロ」が最高)を、気軽に聴けるもので、ジョビン本人も不満が残ったというボーカルは
  別として、インストものは、なかなかリズムの切れもよく、リズム・セクションも極上である。

   ボサ・ノヴァはじめブラジル音楽は昔から好きで、LP時代から、いろいろなミュージシャン
  (ジョアン・ジルベルト、ナラ・レオン、ホベルト・メネスカル、カルロス・リラ、タンバ3、4、
  バーデン・パウエル、ジョアン・ドナート、ミルトン・ナシメント、アジムチ、エデュ・ロボ、
  イヴァン・リンス、ジャヴァン、エリス・レジーナ、マルコス・ヴァーリ、もちろんトム・ジョビン、

  エルメート・パスコアル、その他)の作品を集めては、聴いてきた。

   日本は、ブラジル本国よりボサ・ノヴァが好まれるようで、最近は、かつては手に入れにく
  かった60年代のボサ・ノヴァの名作もどんどん発売され、うれしい限りである。

 追記
    その後、岩切直樹氏は『愛と微笑みと花 アントニオ・カルロス・ジョビン・ブック2』彩流社
    という続編的本を出した。 ジョビンのファンの人は必読。
      

    6月18日

   * ジャズ・クルセイダーズ1967年のライヴ、これはお買い得


         1967年11月10ー13日  ザ・ライトハウス CA 
              
      「LIGHTHOUSE ’68」  THE JAZZ CRUSADERS    PACIFIC JAZZ

  ようやく、私らしい選択によるジャズの旧譜を紹介できそうである。
 このCD、4月にリリースされていながら、まだネットや雑誌で取り上げられていないようだ。

  70年代になると、ジャズをとってクルセイダーズとしてフュージョンの世界でビック・ネームと
 なったこのバンドの、’67年11月のライトハウスでのノリのいいライヴCDである。

  パシフィック・ジャズ時代のものでは、昨年、’65年録音のラテン・リズム中心の
 「CHILE CON SOUL」が、前出のCDと同じロン・マクマスターのリマスターで発売されて
 いる。

  しかし、今度リリースされた「ライトハウス’68」は合計、約27分の4曲のボーナス・トラック
 あり、演奏内容の良さと相まって、マニアならずとも見逃せないものとなっている。

  音も、この時代のわりには、24ビットのリマスターのせいか、迫力のある音で再生され、
 ライヴ録音とあって、各メンバー(ウエイン・ヘンダーソン、ウィルトン・フェルダー、
 ジョー・サンプル、バスター・ウィリアムズ、スティックス・フーパー)もリラックスして
 長めのソロをとっており、盛り上がること、盛り上がること。
  
  中でも、70年代になるとあまり聴かれないコルトレーンの影響も露わに、ハードにブローする
 ウィルトン・フェルダー、ハンコックに迫ろうかというセンスのいいプレイのジョー・サンプル、
 ロイ・ヘインズばりのスネアのおかずの入れ方のスティックス・フーパーと、聴きごたえ十分の
 ライヴ集といえる。

  3曲を提供しているベースのバスター・ウィリアムズの貢献も大で、ジャズ・ロックや
 速い4ビートの曲などで、堅実なベース・ラインを聴かせてくれる。

  この時代のジャズ・クルセイダーズの演奏をもっと聴きたくなったのだが、なかなかCDでは
 出ていないようで、とても残念である。

  マイケル・カスクーナ氏には、もっとがんばっていただきたいと思う。

 P.S.
      その後、ザ・ジャズ・クルセイダーズのパシフィック・ジャズの
’66年1月14ー16日録音
     CD、
「ライヴ・アット・ザ・ライトハウス’66」も念のため注文して聴いてみた。

      ベ−スがベテラン、
ルロイ・ヴィネガーに変わった他は、同じメンバーで、
     2曲(合計15分)のボーナス・トラック付きのライヴだが、内容的には、
     「ライトハウス’68」に及ばないと思った。
     


    5月30日

  
* ジャズ愛好家が聴いたブリティッシュ・ジャズ・ロックの魅力 
                                (主に70年代)


  約三ヶ月かかった、ブリティッシュ・ジャズ・ロックといわれる、私にとっては新鮮な
 ジャンルの音楽についての旅も、ようやく終わりに近づいたようです。

  そこで、この音楽の見当もつきはじめたので、一応の報告をしたいと思います。

  一部、ニュークリアス、キング・クリムゾン、ソフト・マシーンジェネシス等のバンドの音楽に
 ついては、発表当時、日本盤のLPで手に入れたものもあったのですが、今回すべてCDに
 買い換えて(以前より安くなっているのとリマスターによる音質向上とボーナス・トラックも
 あるため)集中して聴きました。

  おかげで、エレクトリック・ベースとエレクトリック・ピアノが改めて好きになりました。

  また、CDはすべて、アマゾンとHMVで購入し、現時点で最新の情報を利用しています。 
  (他の人のサイトは、やや古い情報が多いようです。)
 

  後で推薦盤を紹介したいと思いますが、まず簡単に、ブリティッシュ・ジャズ・ロック
 (主にカンタベリー系)の音楽について、その特徴を述べてみたいと思います。
 


             


 ○ リズム面について

   変拍子といわれる5拍子や7拍子等を、曲の中に自然に取り入れ、その上に乗るアドリブも
  クリシェに頼らない変化に富んだものが多い。

    ドラマー個人では、ニュークリアスソフト・マシーンでのプレイが有名なジョン・マーシャル
  イエス、キング・クリムゾン自己のグループでも個性的なプレイをするビル・ブルーフォード
  ハットフィールド&ザ・ノース、ナショナル・ヘルスで、柔軟性に富み、音楽的なプレイを聴かせる
  ピップ・パイル、この三人が技術的、音楽的にも抜きん出ているようだ。

    しかし、他のドラマーには、ビートの軽さや、グルーヴ感に、アメリカのドラマーと比較して
  少し不満を感じるところが時にあった。

   でも、カンタベリー系の音楽においては、それを補う、曲想にあった繊細なプレイをする
  ドラマーが多く、近年の音楽界における、単調な機械的プレイの蔓延を考えると、
  新鮮で好ましい感じがする。 グルーヴさせるのも大切なドラマーの役割だが、音楽全体を
  考えたプレイも必要だと思うし。
   

 ○ ハーモニーとメロディー面について 


    この面では、なんと言っても、今回私がもっとも気に入ったキーボード・プレイヤー、
  エッグ、ハットフィールド&ザ・ノース、ナショナル・ヘルス、ブルーフォードで素晴らしいプレイと
  高度な作曲能力を聴かせるデイヴ・スチュワートがあげられ
  
ギルガメシュ、ナショナル・ヘルスアラン・ゴーウェン(key)、
  マッチング・モウル、ハットフィールド&ザ・ノース、ナショナル・ヘルス、イン・カフーツ
  フィル・ミラー
(g)も、味のあるアドリブのみならず、いい曲をたくさん書いている。

   和音に関しては、モダンジャズで使われるコードはもちろん使っているのだが、変わった
  重ね方をしたり、コード進行も、UーX中心でない変化に富んだものを多く工夫したりして、
  ジャズの影響をうまく消化しながらも、新しいサウンドを求めている彼等の姿勢には、
  今聴いても共感するところが多い。

   全体に、メロディー・ラインは陰りと、深みのあるものが多く、個性豊かである。

   また、長いものが多い曲の構成にも、いろいろなアイデアを使って、飽きさせないように
  している。

 ○ アドリブとベーシストについて

   アドリブ奏者として気に入ったのは、ニュークリアス、ソフト・マシーンでのカール・ジェンキンズ
  (oboe,ss,), 先に出たフィル・ミラー(g)、アラン・ホールズワース(g)、スティーヴ・ヒレッジ(g)、
  アラン・ゴーウェン(key)等で、アメリカなどのジャズ・ミュージシャンにまったく引けをとらないし、
  個性も強く感じられる。

   優秀なベーシストの多いこのジャンルでも特に感心したのは、ナチュラルなボーカルも
  いける、キャラヴァン、ハットフィールド&ザ・ノース、のリチャード・シンクレア
   ブランドXパーシー・ジョーンズブルーフォード他でのジェフ・バーリン等で、現在でも
  通用する凄腕ベーシストだと思う。

   パターン化されたフレイズでなく、曲の中をメロディアスにうねりながらも、低音部を
  しっかりささえる、彼等のプレイは本当に見事である。


 P.S. 最近聴いたジェフ・バーリンのCD「IN HARMONY’S WAY」では、
     マイク・スターンやデイヴ・リーブマンとのジャズ・プレイが、なかなかいい出来で、
    特にエレベによる速い4ビートのランニングは、エレベで4ビートをやろうと考える人には
    必聴ものかも。

            
   

  以下に、私が実際に現在の耳で聴いて、いいと思ったCDを推薦したいと思います。
 
  大物バンドが出ていなかったり、世評でいいと言われているものと、選択が少し違っていたり
 することがあるかもしれませんが、この選択そのものが、私の個性ということで、ご勘弁を。

  各バンドや個人の、ジャケット画像付きの、12枚の第一の推薦盤は、一応録音順に
 並べてみました。
 
  推薦盤の多いバンドは私が今回特に気に入ったものです。  よかったら参考に。


            


   ◎  KING CRIMSON (キング・クリムゾン)

    ○ 「IN THE WAKE OF POSEIDON」 1970年
    ○ 「LIZARD」 1970年

       
 1970年

     KING CRIMSON 「LIZARD」   CAROLINE

  世評では、デビュー作や、「太陽と戦慄」が高評価だが、私にとってのベストは
 「リザード」である。
  ジャズ・ピアニストとして、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったキース・ティペットが
 作り出すジャズ・テイストも加味し、その後、暗黒の彼方に消え去る叙情性も健在で、
 何度聴いても飽きることのない、いい作品だと思う。

  購入は、2000年に出た、新たにリマスターされたものをお薦めしたい。

 追記 
     このグループの初期のメンバー、(イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズ)が
    中心になって1970年5,6,7月に録音された「MCDONALD AND GILES」
    という作品が、2002年にリマスター(HDCD)されて発売されている。
     ドラムズのシンバルやスネアの音もよりリアルになり、だれる箇所のない、
    構成力の優れた、まさに名作である。 イアンのフルートのプレイは本当にいい。


   ◎  NUCLEUS (ニュークリアス)
     
    ○ 「ELASTIC ROCK / WE’LL TALK ABOUT IT LATER」 
        1970年1月   /        1970年9月
    ○ 「LIVE IN BREMEN」 1971年 5月25日 
    

        1970年、1月&9月  BGO RECORDS

  NUCLEUS 「ELASTIC ROCK」 / 「WE’LL TALK ABOUT IT
                                         LATER」

  デビュー作と2枚目をカップリングしたこのCD、リマスターで音もよくなり
 ジャズ・ロックの名盤として真っ先に推薦できるものである。

   マイルズ・デイヴィス60年代後期の影響を受けながらも、独自のサウンドがあり、、
  クリス・スペディングのギター、カール・ジェンキンズのオーボエ、ブライアン・
 スミスのテナー・ソロ等も充実していて聴きごたえがあり、今聴いても面白い。
  
  肝心のリーダーのイアン・カー(tp、flu)については、60年代のドン・レンデルとの
 プレイの方が、すっきりまとまった、これらの作品よりはじけていたのは残念だが。
 
  でも、2003年に出た上記「ライヴ・イン・ブレーメン」や、「ザ・プリティ・レッドヘッド」
 での71年3月9日ライヴ収録の3曲では、さすがに燃えに燃えている。



   ◎  EGG (エッグ)

     ○ 「THE POLITE FORCE(優雅な軍隊)」 1970年
        
        デイヴ・スチュワート(key)、モント・キャンベル(b、vo)、クライヴ・ブルックス
       (ds)の3人に、管楽器も加え、スケール・アップした第2作。

        デイヴのオルガンが印象的。



   ◎  MATCHING MOLE (マッチング・モウル)

     ○ 「MARCH」 1972年3月  ライヴ  
     ○ 「SMOKE SIGNALS」 1972年 ライヴ


         1972年3月

       MATCHING MOLE 「MARCH」   CUNEIFORM RECORDS

   次に紹介するソフト・マシーンから離れたロバート・ワイアット(ds)が結成したこのバンド、
  メンバーにフィル・ミラー(g)、デイヴ・マクレエ(key)等,腕利きをそろえ、この2002年に出た
  ライヴCDでは、彼らの考える、より自由度の高いジャズ・ロックを展開している。

   同時期のライヴ「スモーク・シグナルズ」もなかなかノリがよく、カンタベリー・ミュージック・
  シーンの中でも、もっと注目されるべきバンドだと思う。


   ◎  SOFT MACHINE (ソフト・マシーン)
     
     ○ 「VIRTUALLY」 (このCDは「FOURTH」と「FIFTH」の間、1971年3月23日の
        ドイツ・ブレーメンでのライヴ録音。エルトン・ディーン(as)とロバート・ワイアット(ds)の
        ベスト・プレイが聴ける、1998年発売の見逃せない作品。)
        
     ○ 「SIX」 1972年10月〜12月
     ○ 「SEVEN」 1973年
     ○ 「BBC RADIO 1971ー1974」 (71年11月15日、72年4月11日、
        73年10月30日、74年6月10日の、2003年発売、音質良好のライヴ集。

         74年のライヴには、アラン・ホールズワース(g)も参加していて、
        個性的なソロが聴ける。)

      ○   ホールズワースといえば、初参加の’75年「BUNDLES」が有名だが、
        現在CDでの購入は難しいようなので、かわりに「EARLY BUNDLES 1974」
        というブート・プレス・CDをお薦めしたい。 
         3月13日、NYCでのライヴで、収録曲もほぼ同じで、ホールズワースの
        ギター・プレイが、CDの音もまあまあいいので、十分に堪能できる。
        


         1972年10月〜12月

      SOFT MACHINE 「SIX」 EPIC/SONY RECORDS

    カンタベリー・ミュージック・シーンの中心的存在のこのバンドの、70年代前半の
  音楽的前進は、きわめてまれな出来事で、現在聴いても、そのミニマル・ミュージックの
  応用と変拍子の効果的使用には、感心するところが多い。

   ニュークリアスからもメンバーを入れたり、ずいぶん出入りの激しいバンドだが、
  4つの推薦盤の中で、一つといわれると、私としてはライヴとスタジオ録音の両方が
  一度に聴けるこの「SIX」を、まずはお薦めしたいと思う。


    ◎  CARAVAN (キャラヴァン)

      ○ 「IN THE LAND OF GREY AND PINK」(グレイとピンクの地+5) 
                                            1970〜71年
      ○ 「FOR GIRLS WHO GROW PLUMP IN THE NIGHT」
                        (夜ごと太る女のために+5)  1972〜73年



         1972〜73年

     CARAVAN 「FOR GIRLS WHO GROW PLUMP IN THE NIGHT」+5
                                          ビクターエンタテインメント

   ややカンタベリー・シーンの中ではマイナーな存在で、私も今回初めて音を聴いたバンドで
  ある。しかし1968年の結成以来、イギリスはじめ、ヨーヨッパ諸国では、人気バンドとして
  メンバー交代を重ねながらも長く活動し、たくさんの作品をリリースしている。

   今回はその一部しか聴けなかったが、その中では上記の2作品が私の琴線に触れ、
  推薦盤としたいと思う。
   5作目であるユニークな題のこのCDについては、彼らの特徴であるファンタジー性と、
  ジャズ・テイスト及びファンキーさがうまくかみあい、各メンバーのソロも曲の中で見事に
  決まっている。
  

    ◎  YES (イエス)

     ○ 「CLOSE TO THE EDGE」 (危機)+4 1972年
     ○ 「RELAYER」 (リレイヤー)+3 1974年



         1974年

        YES 「RELAYER」+3     ELEKTRA/RHINO

   このバンド、あまりに有名なため、いろいろな意見もあると思うが、私としては、やや
  クラシックかぶれで、音数で勝負のリック・ウエイクマン(key)より、ハードにスウィングする
  パトリック・モラーツ(key)が好きなこともあり、この作品を第一の推薦盤にしたい。
  
   購入については、2003年に出た、リマスター、ボーナス・トラック付きの海外盤CDが
  値段もお得で、いいのでは。



     ◎  GONG (ゴング)

       ○ 「YOU」 1974年
       
           童話的SF世界をつくり出し、スペイシー・ジャズ・ロック・バンドとして発展を
         遂げた3作目。腕利きのスティーヴ・ヒレッジ(g)の参加もあり、息もつかせない
         豊かな音楽が堪能できる。
         



     ◎  STEVE HILLAGE (スティーヴ・ヒレッジ)

       ○ 「FISH RISING」 (魚の出て来る日) 1974〜75年
       ○ 「GREEN」 1978年


          1974〜75年

        STEVE HILLAGE 「FISH RISING」 VIRGIN RECORDS

   上記のゴングでギターを担当したスティーヴ・ヒレッジのデビュー・ソロ・アルバム。

   以前LPで聴いていた当時も、強く印象に残っていた作品だった。 

   かつての仲間であるデイヴ・スチュワート(key)らの協力も得て、ていねいにつくられた、
  この作品、改めてよく聴くと、ギター・ソロのみならず、キーボードの使い方がうまく、
  トランス状態に持ち込む技は、まさにワン・アンド・オンリー。

   聴いて損のない素晴らしい名盤と断言したい。
   


   
 ◎ PATRICK MORAZ (パトリック・モラーツ)

     ○ 「THE STORY OF I」 1975年

         イエスのキーボーディストを経て、ソロとして出した傑作デビュー作品。 

         ブラジル音楽をうまく自分の音楽として取り込み、ジェフ・バーリン(b)や
        アルフォンス・ムザーン(ds)、アンディ・ニューマーク(ds)等、
        凄腕ミュージシャンを使い、ドラマティックかつ壮大なサウンドを作り上げている。

         近年再評価が進む彼の、この作品、一度は聴いてみる価値がある。



    
◎ HATFIELD AND THE NORTH (ハットフィールド・アンド・ザ・ノース)

     ○ 「HATFIELD AND THE NORTH」+2 1973年
     ○ 「THE ROTTERS’CLUB」+5 1975年1,2月


          1975年1,2月
 
  
 HATFIELD AND THE NORTH 「THE ROTTERS’CLUB」+5  CAROLINE


   1枚目もいい作品だが、やや勢い余って、いろいろな要素を、詰め込みすぎた印象が
  強いので、やはりこの「ロッターズ・クラブ」を第一に推薦したい。

   このCDを聴いて、私がカンタベリー・ミュージックに興味を持ったことからわかるように、
  このCDは音楽愛好者すべての人に薦めたい、宝物的CDと言い切っても過言ではない。

   デイヴ・スチュワート(key),フィル・ミラー(g)、リチャード・シンクレア(vo,b),ピップ・パイル
  (ds)と、メンバーは、その後のカンタベリー・シーンを引っ張っていくことになる大物ばかりで、
  こんなメンバーが集まって、素晴らしい音楽を聴かせてくれたことに感謝したいと思う。

   まず、初めに聴いてほしい一枚だが、曲もいいし、ソロやアンサンブルも変化に富んでいて、
  彼らの繊細さとユニークな音楽的感性を味わってほしい。

   余談だが、R・シンクレアのヴォーカルは、無駄な力が抜けていて、聴くと本当にリラックス
  できる。

,
   
 ◎ GILGAMESH (ギルガメシュ)

     ○ 「GILGAMESH」 1975年 ー やや入手困難
     ○ 「ARRIVING TWICE」 1973、74、75年 ライヴ集


           1973、74、75年

         
 GILGAMESH 「ARRIVING TWICE」  CUNEIFORM RECORDS

  
今回のカンタベリー・ミュージックの旅での、最も新鮮な驚きだった、素晴らしいバンドの
 2000年にリリースされたライヴ作である。
 
  上記デビュー作もいろいろな面白い音楽的工夫が楽しめて、なかなかいいのだが、
 現在入手が困難なため(私はユーズドをなんとか手に入れたが)、手に入れやすい、
 73〜75年のライヴ集であり、彼らの実力がよくわかるこのCDを、まずはお薦めしたいと思う。

  音質も
CUNEIFORMらしく(このレーベルは近年、良質の未発表ライヴ録音をたくさん出して
 いるため、お気に入りとなっている)、いい音で聴くことができる。

  アラン・ゴーウェン(key)が中心のこのバンド、メンバーの出入りも多い。  しかし、
 音楽の内容は一貫してジャズとロックの理想に近い融合が成し遂げられたもので、
 ハットフィールド・アンド・ザ・ノースと合体して、この後カンタベリー・ジャズ・ロック・シーンの
 集大成的バンドとなる、
ナショナル・ヘルスへと発展していく。

  でも、このバンド独自の音楽もあり、特にフィル・りー(フィル・ミラーとは別人)のギターや
 アランの、センスのいい曲のみならず、ジャジーなアドリブ・ソロなどが、ふんだんに聴ける
 このバンドの方がより自由度が高いように思う。


    
 ◎ NATIONAL HEALTH (ナショナル・ヘルス)

      ○ 「NATIONAL HEALTH」 1977年
      ○ 「OF QUEUES AND CURES」 1978年7月
      ○ 「PLAY TIME」 1979年4月、12月 ライヴ集


            1977年

        
 NATIONAL HEALTH 「NATIONAL HEALTH」 ARCANGELO

  ハットフィールド&ザ・ノースのメンバーだったデイヴ・スチュワートとフィル・ミラーが、
 ギルガメシュのアラン・ゴーウェンらと1975年に結成した、当初はロック・オーケストラを
 目指して作られたスーパー・バンド。

  メンバーの出入りも頻繁で、当時の音楽環境のせいもあり、なかなかアルバムが
 出せなかった後に、ようやく作り上げられたこの作品、ジャズ・ロック・バンドへの変化の過程で
 生まれた、大傑作である。

  ジャズとロックの見事な融合と、息もつかせない高度なアンサンブルが聴けるこの作品は、
 リリース当時は、パンクの流行もあり、高い評価は得られなかったようだが、今聴くとまさに
 最高。

  一応、デビュー作品を第一の推薦盤としたが、2枚目や近年発掘されたライヴものも含め
 すべて高レベル。   中心メンバーだったアラン・ゴーウェンの1981年の病死によって、
 バンドはいったん解散し、その後1981年10,11月にアランの曲を演奏する
「D.S. AL CODA」
 という追悼盤を、残ったメンバーでリリースしているのだが、これもいける。

  P.S. 近年出された彼らの作品は、リマスター処理の進歩もあり、音質も向上している
       ので、古さはまったく感じられない。


    
 ◎ BRAND X  (ブランドX)  


       ○ 「UNORTHODOX BEHAVIOUR」 1975年9月、10月
      ○ 「MORROCAN ROLL」 1976年12月、1977年1月
      ○ 「MASQUES」 1978年


            1978年

          
 BRAND X 「MASQUES」  VIRGIN RECORDS

   カンタベリー系ではないが、このバンドもブリティッシュ・ジャズ・ロック・シーンを語る上では
  欠かすことのできないスーパー・バンドである。

   ジェネシスで名をあげたフィル・コリンズ(ds)と当時ジャコ・パスと並び称されたほどの
  テクニックと音楽性で有名だったパーシー・ジョーンズ(b)等が在籍し、メンバーを次々に
  変えながらも良質でノリのいい作品を立て続けにリリースしていた。
  
   LP発売当時も、気に入って、よく聴いていたが、今回、「DO THEY HURT?」までの
  6作品をCDで買い直し、現在の耳で改めて聴いてみた。

   やはり、カッコいいね。  6作品の中では、上記の3枚を選び、第一の推薦盤として、
  曲のよさとノリのよさで 「マスクス」をあげたが、その他の作品もそれぞれに聴き逃せない
  ところがあり、差はつけにくい。 

   それにしても、パーシー・ジョーンズのエレクトリック・ベース・プレイには本当に
  感心してしまう。 音色といい、独特の細かいフレイズといい、あんなプレイができたらなー。


     
 ◎  U.K.

       .○ 「 U.K.」 1977年12月、1978年1月

         このバンド、ロック界では有名で、私も名前はよく知っていたのだが、
        この作品が発売された頃は、ジャズにどっぷり状態だったため、今回初めて
        聴くことになった。
         この後、他人が到底まねできない(手がでかすぎる)素晴らしい作品を
        次々に発表し、カリスマ・ギタリストになるアラン・ホールズワースや
        ビル・ブルーフォード(ds)の参加もあり、このCDを買ったのだが、
        思ったよりギター・ソロもたくさん聴け、曲も変化に富んだものが多く、
        お薦めの一枚とした。


     
 ◎  BRUFORD (ブルーフォード)-(P・バラカン氏にならい、ここでの
          カタカナ書きは、違和感があるかもしれないが、ブラッフォードでなく、       
          ブルーフォードとしたい。)
       
         ○  「FEELS GOOD TO ME」 1977年8月
        ○ 「ONE OF A KIND」  1979年1月、2月


            1979年1月、2月  

          BRUFORD 「ONE OF A KIND」  CALOLINE RECORD


   いよいよ今回の推薦盤シリーズとしては、最後の作品となった。

   イエス、キング・クリムゾン他で、70年代を独特のスネア音と共に駆け抜けた、
  ビル・ブルーフォード(ds)は、自己のバンド、「ブルーフォード」としては、     
  3枚のスタジオ作品を残している。  

   その中では、発表当時も衝撃的だった上記「ワン・オヴ・ア・カインド」を第一の
  推薦盤にしたい。
  
   ジェフ・バーリン(b)とビルのドラムズという極上のリズム・コンビの上で展開される
  アラン・ホールズワースとデイヴ・スチュワートのプレイの見事さは言葉では言い尽くせない
  ほどで、ビル自身の曲も粒揃いで、今聴いてもグッとくる作品である。

   未聴の方は、聴いてみられると音楽観が変わるかも。

   なお、ビルは近年では、
「アースワークス」という自己のバンドで、彼の考えるジャズを
  信念を持って推し進めている。


   最後になるが、今回は、70年代というくくりのため、カンタベリー・ミュージックの
  継承者的ギタリスト
、フィル・ミラーの、80年代から現在まで続く理想のジャズ・ロック・バンド、
  
「IN CAHOOTS」(イン・カフーツ=共謀して、グルになっての意)の素晴らしさに言及できず、
  やや心残りだった。

   では、皆さんの素晴らしい音楽生活の助けになることを願って、このへんで。


           


  
 ◎  参考にした本

     ○ 「空想音楽図鑑」 岩本 晃市郎著  TOKYO FM 出版 1995年刊

     ○ 「ヨーロッパのジャズ・ディスク1800 季刊ジャズ批評別冊」ジャズ批評社1998年刊

     ○ 「ぼくが愛するロック名盤240」 ピーター・バラカン著 講談社+α文庫 1998年刊
  
     ○ 「200CD プログレッシヴ・ロック」 200CDプログレッシヴ・ロック編集委員会
                                        立風書房 2001年刊
     ○ 「プログレッシヴ・ロックの哲学」 巽 孝之著 平凡社  2002年刊
    
     ○ 「UK・プログレッシヴ・ロック 〜 メインストリーム・エディション」
                   深民 淳、松崎正秀監修   シンコー・ミュージック 2004年刊

  
9月に、同じ監修者による「UK・プログレッシヴ・ロック〜アウトスタンディング・エディション」が
  発売されました。
                   

    ◎   参考にしたウェブ・サイト

      ○ ROOK BOTTOM (カンタベリー系の音楽についてはまずこのサイト)
        http://www.asahi-net.or.jp/~XG6Y-WTNB/intro.html

     ○ CAPTAIN AHAB’S LONG DISTANCE JOURNEY (こちらも有益)
        http://www.iris.dti.ne.jp/~yutayuta/index.htm

     ○ FOL DE ROL (ディスコグラフィが充実)
        http://www.geocities.co.jp/MusicStar/6763/

     ○ COLLAPSO (各バンドの詳しい系統図が載せてあり便利)
        http://www.macgraphic.co.jp/ich/


             

    3月23日

   その後、60年代〜70年代のブリティッシュ・ジャズ・ロック・シーンのことが、
  もっと知りたくなり、いろんな本や作品をインターネットで購入し始めている最中です。
  {ドン・レンデル(ts)やイアン・カー(tp)、ニュークリアスのものなど}

   インターネットのオンライン・ショップを利用すれば、今までとても手に入れられそうもなかった、
  海外のCDなどが 簡単に、現在の在庫の情報付きで入手でき、本当に地方在住者にとって、
  いい時代になったものです。

   きな臭くなっているこの世の情勢を考えると、好きなことはあとまわしにせず、
  悔いの残らない生活をすべきだと思うのですが。 

   その方が、健康にもいいようです。

    3月8日

 * ハットフィールド・アンド・ザ・ノースに感激

   2日にWOWOWで放映された20分あまりの彼等のライヴ、とても気に入ったので、さっそく
  彼等の代表作で75年録音の「THE ROTTERS CLUB」を注文して聴きました。

   彼等のことは、イギリスのカンタベリー・ミュージックの代表的グループとして、薄々は
  知っていたのですが、じっくりと聴いてみると、全体のサウンド、フィル・ミラー(g)の
  新鮮なフレーズを駆使したアドリブ、デイヴ・スチュワートのキーボード・ソロなど、
  聴き応え十分で、もっとこのあたりの音楽も聴きこんでみたいと思うようになりました。

   初期のキング・クりムゾンやソフト・マシーンなどを、LPで浴びるように
  聴いていた私にとって、この頃のイギリスの音楽シーンはとても共感できる世界で、
  ジャズだけでない音楽のよさに目を開かれたことを懐かしく思い出しました。

   E・L&Pイエス,ジェネシス、ブランドXパーシー・ジョーンズのベース・プレイ、現在の耳で
  聴いてもイカシています)もいいグループでしたね。

   おまけといってはなんですが、フィル・ミラーの曲やアドリブを聴いていて、何となく
  故フランク・ザッパの音楽を思い出し、偶然、新翻訳のザッパの自伝を読んだばかり
  だったのでびっくりしました。

   彼の個性的なメロディ・ライン、また聴いてみようと思ったけど、なにしろ大量のCDを
  出しているので、どのCDから聴いていいものやら。  うーん。

    3月7日

  * ミシェル・ペトルチアーニ(p)は、まずこの「MUSIC」というCDから!

       1989年 NYC

        「MUSIC」  MICHEL PETRUCCIANI     BLUE NOTE

  99年に36歳でこの世を去ったペトルチアーニの演奏は、今までCDでは、
 「パワー・オヴ・スリー」、「ドレフュス・ナイト」、「カンヴァセイション」−父親とのデュオ演奏、
 その他いくつかのビデオ映像を所有していました。 でも購入したその当時は、それほど強い
 印象は受けず、あの体のわりに、よくがんばっているな、という程度の認識だったのです。

  しかし、昨年末に聴いた「ドレフュス・ナイト」で、{LOOKING UP}という彼の演奏と曲が
 とても気に入り感動したので、もっと聴きたくなり、手始めに中期ブルーノート時代の7枚組BOX
 セットを衝動的にHMVより購入して、集中的に聴くことにしました。(意外にお買い得だったので)

  86年から94年の、このブルーノート時代で、彼は通常のピアノ・トリオから、管入りのもの、
 シンセとパーカッション入りのもの、ピアノ・ソロまで、いろいろな編成の演奏を繰り広げて
 いるのですが、全部聴き終わっても飽きることはありませんでした。 
 

  結論としては、この「MUSIC」というCDが、彼のピアノを味わうには最もいいと思われ、
 第一に推薦することにします。

  普通のピアノ・トリオのようなテーマ、アドリブ、ベース・ソロ、ドラムスとの4バーズ交換、
 テーマといったお約束にとらわれず、シンセやパーカッションを効果的に使って、彼の作・編曲
 とアドリブに焦点を当てたこのCD、サンバのリズムが彼の資質にマッチしたのか、鋭いタッチで、
 無駄のない歌心溢れるアドリブを、
胸が締め付けられるような素晴らしい数々のオリジナル曲の
 中で、たっぷりと聴くことができます。
 
  特に、このCDでは、{LOOKING UP}の初演も聴け、感動も新たにしたところです。

   3月1日

  ロニー・リストン・スミス(key )の音楽はとても気持ちいいのだ。

   新しく購入したスピーカーで、何を聴いているかというと、実はロニー・リストン・スミスの
  フライング・ダッチマンとコロンビア・レーベル時代の演奏を聴いているのです。

  エレピとストリングス系の音をバックに、ファンキーなリズムで攻められると、
  もうたまりません。

   70年代の頃より、彼のLPが出るごとに、買って聴き続けてきたのですが、当時は、
  彼のジャズ・ピアニストとしての実力に、正直に言ってやや疑問もあり、全面的に肯定する 
  ところまではいっていませんでした。 もちろん彼の作・編曲の能力はその時から
  高く評価していたのですが。

   その後、90年代の彼のトリオによるスタンダード演奏を聴くと、ジャズ・ピアニストの能力も、
  個性的ながら、疑いなく十分で、ほっとしました。

   そこで、改めて聴き直してみると、以前から彼はビ・バップにとらわれず、短いフレイズを
  効果的にビートに乗せてたたみかける、独特のアドリブを行っていたことがわかったのです。
 
   マイルズのグループでのブートCDを聴いてみると、もう、やりたい放題で、すごいですし。

   グルーヴ・マスターとして近年再評価され、73年の初リーダー作より80年まで、
  ほぼ1年1作のペースでリリースされた作品も、現在聴いてみると、古さもそれほど
  感じられず、ノリもよく、とにかく気持ちがいいんです。

   「宇宙」とか「楽園」などの言葉にとらわれず、彼の音宇宙に無心にひたるのも、
  たまにはいいのでは。

   2月16日

  * オンリー・ワンの音宇宙を持つ男ーーウエイン・ショーター
 
  とうとうマイルズと並んで、高校時代から、最も気になるジャズ・アーティスト、ウエイン・
 ショーターについて、書くことにしてみたい。

  私にとっての彼は、60年代後半のマイルズの何枚かのLPでの演奏を聴いてから、
 ’04年の今まで、絶えず私のジャズ・ライフの中心にいたと言ってもいい存在である。
  リーダー作はシカゴのヴィー・ジェイ・レーベルからヴァーヴでの最新作まで、
 すべて所有しているし、サイドメンでの参加作もできるだけ聴くために、いろんなソフトを
 集めてきた。

  でも、飽きない。   プレイがクリシェに陥ることがないのだ。
 
  アート・ブレイキーとのハード・バップにおいても、マイルズとのモダンな演奏でも、
 ザヴィヌルと双頭リーダーのウェザー・リポートでの演奏においても、彼ほど、頭で理解しようと
 してもしきれないプレーヤーは、この地球に存在しないと断言できる。
  まず、彼の完全コピーは、その独特の音色とアーティキュレーション、フレーズの特異性もあり、
 ほとんど不可能で(何度、私がトライしたか)、一部のアドリブ・フレーズをコピーしたとしても、
 とても他の場所で応用できないのだ。 とにかくワン・アンド・オンリーの存在で、アドリブを詳しく
 分析しても他のミュージシャンとは明らかに方法論がちがう。
  作曲家としても、ジャズ史に残る、他の人が作れそうもない数々の名曲を作っている。
 
  もう、はっきり言って、SFや哲学的なものへの関心が強い彼は、地球人ではないのでは
 ないかと思ってしまうほどである。  

  私は、彼の生演奏は、’72年のウェザーでの初来日のライヴを上京して体験したし、
 ライヴ映像はマイルズやウェザーやいろんなコンサートでのものも、できるだけ観てきた。
  マイルズ時代を除き、いつも感じたのは、行きそうで行かない、彼の、他のメンバーのことを
 考えすぎるプレイに対する若干の不満である。
 
  そのため本音を言うと、私が本当に好きな彼のプレイは、ブルーノート時代とマイルズ時代の
 ものが多い。 (’70年録音の「オデッセイ・オヴ・イスカ」まで)
  それらの音源はリマスターされて音がよくなるごとに、レコード会社の思惑通りに買ってしまう
 のであるが、本当にあの頃のウエインのテナーやソプラノによるアドリブは素晴らしいとしか
 言えないもので、その音宇宙は、まさにオンリー・ワンである。

  60年代の彼のアドリブはあまりに良過ぎて、何曲も一緒に口ずさめるほどになってしまった。

 
  近年の彼は、東京JAZZでのレギュラー・カルテットの演奏などで、今までウエインの凄さを
 知らなかった人に感動を与えているようだが、ややリズム・セクションのドライヴ感が不足で、
 定型的フリーの要素が強く、何度も聴こうという気になりにくい演奏を展開している。

  これではなーと思っていたところ、最近サイバーシーカーズより、’96年収録のウエインの
 CD−R「HIGH・LIVE」・・・{’95年の「HIGH・LIFE」のみごとな語呂合わせだ}が発売され、
 これがいいので、あらためて「HIGH・LIFE」を聴きなおしてみたところ、ウエインにとっても
 この時期は、重要な充実の時期であることを再認識したしだいである。
 
  この「HIGH・LIFE」というCD、発売当初から一般受けせず、ミュージシャン達からの高い
 評価とはうらはらに、現在においても、やや中途半端な存在のCDとなっているが、
 聴いていない人や、聴き込み不足の人には再評価してほしいので、このページで紹介する
 ことにした。
  よく聴けば、シンセも使った彼の個性的な編曲のオーケストラをバックに、ウエインはテナーと
 ソプラノを吹きまくっているし、CD全体を組曲として聴くと、より面白さも発見できるのでは
 ないかと思う。
  ちなみに、ウエインはソプラノの高音域の音を、本当に表現豊かに、
 そして効果的に使っている。

  もっとウエインについては、書きたいことが山ほどあるのであるが、うまくまとめることが
 できないので、今回はこのへんで。



          1995年 ハリウッド、LA

       「HIGH LIFE」 WAYNE SHORTER    VERVE

  このCD,プロデュース、ベース、ベース・クラリネット、リズム・プログラミング、
 オーケストラの指揮をマーカス・ミラーが担当している。
  また、聴いたあと、ウエインの人生に対するポジティヴな気持ちが感じられるのだが、
 私だけだろうか。 元気が出るからね。



         1996年11月8日 ドイツ、ケルン

       「HIGH LIVE」 WAYNE SHORTER   MEGA DISC

  収録されている5曲は、すべて上のCDに収録されていたもので、それらのオーケスト
 レーションをこのライヴでは、アダム・ホルツマンとレイチェル・Zのシンセで見事に再現している。
  音も最初は、この後どうかなと心配になる揺れ方だったが、聴き進むにつれ、不自然さは
 なくなり、吹きまくるサックスの音もよく聴き取れるノリノリのCD−Rである。

  ウエイン好きは必携だ。

  なお、ギターはDAVID GILMORE、ベースはTRACY WORMWORTH,ドラムは
 WILL CALHOUNとなっていて、マイルズの80年代後半の感覚とも通じるファンキーさも
 心地よい。
    

 追記 その後、6月に、サイバーシーカーズ(メガディスク)より、ウエイン・ショーター・グループの
     CD−R
「ライヴ・エクスプレス」が発売された。
     「ハイ・ライヴ」と同じ頃の1996年7月10日、オーストリアでの極上ライヴで、
     音も演奏内容も素晴らしく、改めてウエインのこの頃の良さを再認識した。
     メンバーは、
     {デヴィッド・ギルモア(g)、ジム・ベアード(key),アルフォンソ・ジョンソン(b)、
     ロドニー・ホルムズ(ds)}となっている。


    1月14日

 * アート・ペッパー(as.)よ、お前はもう1961年に死んでいる!ーーー?

  今回は私の10代からのアルトのアイドル、アート・ペッパーについて正直に述べてみたい。
 始めの文を読んで、これは、なんじゃと思った方、びっくりしたかもしれないが、もちろん本当の
 アートは1982年6月15日に、脳溢血のために56歳で死去している。
  上記の死はあくまでも音楽的な死のことなので、そのへんよろしく。
  
  以下の文は、あまりにアート・ペッパーという音楽家が好きなため、どうしても言わざるを
 得ない私の本当の気持ちである。

  ぶっちゃけて言うと、10代後半、大学でアルトを吹き始めた時、私は、アート・ペッパーと
 ウエイン・ショーター(ts)を結びつけたラインの音楽家をめざしていたのである。
  今から考えても、とんでもない組み合わせで、案の定、挫折したのだが。

  アートの歌心と音色、ビート上での乗り方(後乗り)、絶妙のアーティキュレーションと
 ハーフ・タンギング、フレーズの終わりの音にかける独特のビブラート、
 そのすべてが好きなのは今も変わらず、彼の50年代の演奏は、リーダー、サイドを問わず、
 現在聴いても、すごく心に染みるのである。(ここでいうアーティキュレーションとは、音に
 付けるアクセントやスタッカート、レガートといったニュアンスのこと)
 
  もちろんアートのLPやCDはだいたい入手し、今まで出版されている2冊のアドリブ・コピー
 譜集、その他ジャズ・ライフでのコピー譜など、できる限り集め、実際の音と合わせて
 楽しんできた。
  そして、彼の最後の妻ローリー・ペッパーによる、彼の自伝と言ってもいい「ストレート・ライフ」
 スイングジャーナル社の本や64年と後期のライヴ映像も。
  その結果感じたのは、小さい頃からの私生活の乱れと意志の弱さに反しての、ものすごい
 彼の音楽における潔癖さと並外れた集中力であった。

  さて、皆さんはペッパーのいわゆる後期(ブランクを含めて61年〜82年まで)とそれ以前の
 前期どちらがいいかという論争が、ペッパーのプレイを愛するファンの特に多い、この日本で、
 随分盛んなことをご存知かもしれない。最近のジャズの本では結局、全部の時期の演奏を
 楽しめれば、そんなこといいじゃないかという論調の文を書く輩が多く、まったく微温的、
 逃げの姿勢で面白くない。  もっと自分の本当の意見を言ってほしい。

  前期に比べ、後期のプレイを何回も聴き直しているペッパー・ファンがどれだけいるだろうか。
 I・Y氏は、後期のプレイは、アルトの音もよく鳴っていて、音楽的にも幅が広がっているなどと
 言って後期を持ち上げているが、この意見に私はまったく賛成できない。
 ジョン・コルトレーンの音楽のやり方に憧れ、プレイを無理やり変化させたのはいいが、
 音色は汚れ、無理に強く高音を出そうとしたり、フリーク・トーンの使いすぎで、
 アドリブ・フレーズにもスムーズさを欠き、肝心の彼の本質である素晴らしい歌心がうまく
 表現できず、聴いているこちらも息苦しさを感じてしまう。

  彼は本を読むと、音楽的には天才肌の人で、若い頃より、すごいアドリブがとれ、楽器の
 コントロール技術においても並外れたものを持っていたことが、他の人の証言よりわかる。
  この人が、コルトレーンという練習の虫、思索の人の作り出す音楽と、うまく融合できる
 ものだろうか。
  コルトレーンの60年代の音楽を、説得力を持って演奏するには、モード奏法深化のための、
 多くの音階やパターンの練習、民族音楽の研究が不可欠で、クスリや他の誘惑に弱い、
 彼のような性格の人が、安易に自分のプレイに取り入れようとしても、不自然なものに
 ならざるを得ないと思う。  本人の新しいものを求める姿勢は十分理解できるとしても。
 
  後期の演奏にも、一部はいいものがあるのだが、50年代の演奏のような、何度も
 聴きたいというものが少ないのは事実で、後期の日本でのライヴ演奏を聴いていても、
 聴衆の、思いがけず現実に聴けたことの喜びの方が強く感じられ、日本での盛り上がりも
 音楽的な内容や感動とは別のもののように思える。

  そこで結論。 彼の演奏のベストの時期はいつかというと(50年代の演奏はすべて
 いいので悩むが)、サイドメンや録音状態も考え、56年から60年のもの(ペッパー本人が
 気に入っているという「ゲッティン・トゥゲザー」まで)にしておきたい。
 プレイに覇気があり、歌心満点、哀愁たっぷりの、まさに最高のアドリブが楽しめること
 請け合いである。

  みんなの意見はどうだろう。
 
 参考にした本
 
「ジャズ・サックス決定盤」 ’94年 小川隆夫 音楽之友社
「ジャズ批評 76 アルトサックス、フルート、クラリネット他 VOL.2」 ’92年
「ジャズ批評 114 アート・ペッパー」 ’03年


  

    1月5日

  年末から新年にかけて、ジャズ新譜のページの更新がなかったのは、
 実は、あまりお薦めするものがなかったこともあるが、気分転換もかねて、
 「バッハの無伴奏チェロ組曲」の現在までの決定盤のCDを探していたためである。

  何を隠そう(隠す必要もないが)、私はバロック音楽における、無伴奏の楽器演奏の
 30年来の大ファンなのである。 ジャズとの共通点も多いし。
  特に、J・S・バッハテレマンは本当にいい無伴奏の曲をいくつか残している。

  今回は手始めにバッハのチェロ組曲の推薦盤をあげたが、今後よかったら、
 ヴァイオリンやフルートの無伴奏ものの推薦盤も、のせてみたいと考えている。
 (今のところ、バッハの無伴奏ものでは、バロック・ヴァイオリンのレイチェル・ボッジャー
 
のものが、音程の稀に見る正確さ、表現力の凄さで決定盤と言える。)

  もはや、バロック音楽の演奏で常識となった、オリジナル楽器(ピリオド楽器ともいう)による
 演奏では、以下のアンナー・ビルスマ(1934−)の新旧2種類のCDが、甲乙のつけがたい
 出来で、何といっても真っ先に挙げざるをえない。最初は今までのモダン楽器による演奏と、
 音色や歌い方に違和感を感じるかもしれないが、聴きすすむにつれバッハの音楽そのものの
 魅力にとりつかれ、その素晴らしさに、きっと感動すること請け合いの演奏である。
  
  漫然と聴くと1番から6番各曲の特徴をすぐに捉えることは難しいので、できれば
 譜面を入手して、音と一緒に音符を追うと、早く理解が進むと思う。


1979年 ドイツ

 個人的には旧録音の方が音に迫力があり好みである。

1992年 NYC


  モダン楽器による演奏では、いろいろ聴き比べてみたところ、私としては
 ピエール・フルニエ(1906〜1986)のアルヒーフ、レーベルの1960年12月録音の
 CDを第一に薦めたいと思う。フルニエの品のある押し付けがましくない演奏は
 チェロの低音のスマートな処理(私はチェロの低音部での汚いギーギーいう音が好み
 ではないので)もあり、何回も飽きずに聴ける素晴らしいものである。

  参考に、TDKより2001年に発売された日本での72年のライヴものも取り寄せて聴いて
 みたが、乗りのよさや躍動感にはいいところもあるのだが、客席の、曲間や演奏中の
 咳払いの音が、演奏の鑑賞に著しいマイナスとなり腹立たしい限り。
 (なぜクラシックの客はこんなに咳き込むんだろう、不思議だ。)

  その他、カザルス、マイスキー(84、85年)、ロストロポーヴィッチ(ビデオ)等の演奏
 とも比べてみたが、私のお薦めは断然この60年のフルニエのCDである。

  カザルスの演奏は一度は聴いておくべき古典だが、他の人がいくらいいといっても
 これを愛聴盤とするのは録音状態のこともあり、とうてい不可能な代物といえる。
  また、バロック音楽の演奏法や曲の解釈の仕方も、どんどん研究が進んでいることも
 強調しておきたい。


1960年 ドイツ

  参考にした本
「レコード芸術編 名曲名盤300NEW」 1999年 音楽之友社
「クラシック名盤大全 器楽曲編」 1999年 音楽之友社
「レコード芸術編 リーダーズ・チョイスー私の愛聴盤ー
 読者が選ぶ名曲名盤100」 2000年 音楽之友社
「名曲名盤バッハ」 那須田務 2000年 音楽之友社 ON BOOKS

             


  2004年 1月1日

 * やはり今年もマイルズ

  新年の始めに何を書こうか考えたのだが、やはり私にとっての生涯のアイドル、マイルズ・
 デイヴィスについて書こうと思う。

  高校2年のころ聴いた「マイルズ・イン・ザ・スカイ」の「STUFF」という曲におけるマイルズの
 プレイにしびれてから、彼の演奏(姿も含め)すべてを聴いてみたいという気持ちを、ずいぶん
 月日が経った今も、抑えることができないのはどうしてだろう。

  確かにトランペットの演奏テクニックに関して、彼より優れたミュージシャンはたくさんいる。
 晩年になるまで、ミストーンは多いし、音がふらつくこともある。でも、それまでも、彼はアドリブ
 の一部として見事にとり入れていってしまう。

  近年、彼のライヴのみならずスタジオ録音の未発表ものが、どんどん市場に出回り、
 それがけっこう売れているらしいという噂を聞いても、彼の演奏を好きで求める人がいかに
 多いかを知ることができる。
  マイルズのブートCDについての本も出版されるらしいし、今後もこの流れは続くものと
 思われる。
 何しろ世界中のマイルズ・ファンが、より多くのマイルズの演奏を求めているらしいのだから。

  マイルズに関しては実に多くの本が出版されており、私が特に付け加えることもないくらい
 なのだが、彼の独特の鋭いリズム感覚について感じたことを少し書いてみたい。
  特にこれは、バラード演奏で一緒にプレイしてみた時(もちろんレコード上で)、感じたのだが、
 彼は実に普通のプレーヤーとは違うタイミングで音を出しているのである。
  基本のビートはしっかりふまえながらも、変幻自在のタイミングで音を出し、しかもダイナミック
 レンジもたいへん広くとり、音色も瞬間瞬間に微妙に変化させている。

  さすがに、70年代のワウ・ワウを使ったプレイはどうもと言う感じだが、復帰後の80年代の
 演奏も、パターン化されたきらいはあるが、やはり見逃すことはできず、今後もブートが出たら
 音のよさを考えながらも買ってしまうのだろうな。  (ブートもどんどん音質が向上している。
 値段は張るけれど、今やブートを除いてマイルズを考えることは絶対にできない。)

  みんなは、マイルズについてどのように考えているのだろう。 
 
  最後に、私が一番好きなマイルズの演奏時期は’64年〜70年で、バンドに在籍した
 サックス奏者ではウエイン・ショータースティーヴ・グロスマンゲイリー・バーツが好み。
 
  80年代から晩年までのギタリストでは、ロベン・フォード、ベーシストではリチャード・
 パターソン、ドラムスではリッキー・ウエルマンが一番マイルズの音楽にマッチしているし
 聴いても楽しいと思う。


  P.S.  その後1月26日に宝島社より「別冊宝島962 マイルス海賊盤ベスト50」
     中山康樹他著 ¥1500 という、とても参考になるいい本が出版されたので、
     私のH・Pをご覧の、すべての人に、大推薦。

      
また、9月には、同じ中山氏より、とうとう「マイルスを聴け!ヴァージョン6」が
     双葉社から今度は文庫本の形態で発売された。
 
      

      ぜひ渋谷の「マザーズ・レコード」や名古屋の「サイバー・シーカーズ」を利用して、
     真のマイルズ者に。

      もちろん、公式?のCDとは音的に落ちるものが多いし、値段も少し張るが、何しろ、
     ここのCDやCD−Rでしか聴けない音源ばかりなので、ぜひトライして欲しい。

     ソニーやワーナーはもっとがんばるように!!


   2月12日


  5つ星     1990年7月14日 ドイツ シンゲン

 「IN THE TIME OF DARKNESS」 MILES DAVIS   MEGA DISC
                                    サイバーシーカーズより購入のこと
                                          ¥2800


  マイルズのブートを薦めているお前は、実際、どれを一番いいと思っているのだ、
 という意見もありそうなので、上記の本の86ページに載っているこのCD−Rを
 初めて購入される方に、まず薦めたいと思う。

  同時期のモントリューの公式ライヴと音も遜色なく、マイルズもギャレットも絶好調で
 ベースのリチャード・パターソンとドラムのリッキー・ウエルマンのコンビも、重く、ノリノリの
 ファンク・リズムをたたき出している。この時期のマイルズの再認識を促す意味においても
 このCD−Rは見逃せない。

  
   でも、他のブートも、すべてこの水準だとは、期待しないように。  念のため。

   しかし、マイルズはほんとにカッコいいね。 サイバーシーカーズから出ているいくつかの
  DVD−Rを観ると、よりマイルズが好きになってしまう。

             

 2003年 12月

  * ジャズとバロック音楽の関係について考えてみよう
 
 バロック音楽ときくと、みんなはどんな音楽を思い浮かべるだろう。なんとなく18世紀前半の、
ルネッサンスとモーツァルト・ベートーベンの古典派の間の時代の音楽として、その時代の
作曲家としては、J・S・バッハ、ヘンデル、テレマン、ヴィヴァルディ等の名前が思い浮かぶ
かもしれない。
 私は、4,5年前、このバロック音楽という大海の中に一度どっぷりとつかり、ジャズと同じ
ように楽しめるものを探すという、楽しくも、お金のかかる旅に出たことがある。

 そこでの一応の研究成果(?)といったものを、ここに発表してみたい。 

 はっきり言って、バロック音楽は、今日のジャズと同じコンセプトによる、プレーヤー主体の
音楽なのである。

 今日、ピリオド楽器(その当時のものか、そのコピー)や、当時に,より忠実な楽譜
(もとはアドリブだったもの)によって演奏されたものを聴いてさえ、速いテンポでのスイング感
(8ビートや16ビート)、遅いテンポでのメロディーの美しさなど、聴けば聴くほど頭がすっきりし、
心も豊かになってくる。

 多くのバロック音楽の演奏家の中で、ジャズ感覚の優れた演奏家は、まずブロックフルーテ
(縦笛)ではフランス・ブリュッヘン(彼は今では高名な指揮者)、フルート・トラヴェルソ(横笛)
では、何と言ってもバルトルド・クイケン(クイケン兄弟の一人)と日本の有田正広氏の名が
あげられると思う。

 当時、フランスやドイツでは、フルート音楽が大変に好まれ、通奏低音(コード・ネームと
ほとんど同じ)を使って名手達がさかんに即興演奏を行っていたのである。

 今聴いても感動できる推薦のCDを次に紹介しますので、購入してバロック音楽の素晴らしさに
浸ってください。 すべてインターネットや大きなレコード店で手に入るものばかりです。
 私のお気に入りはフランスのオトテールです。

 サムネイルにしましたので、クリックすると大きい画像がみられます。







   5つ星

Lady Be Good...For Ella [FROM US] [IMPORT] Tommy Flanagan
VERVE

名手フラナガン入魂の1枚−93年録音 2003/12
 名盤の影にフラナガンありと言われるほど、50年代から60年代にかけて名伴奏者として鳴らしたフラナガンの、90年代トリオ作の代表作。 エラ・フィッツジェラルドのために、とあるように、かつて伴奏したエラにちなんだ曲を採り上げたCDだが、これがいい。  テディ・ウイルソンやアート・テイタムを、本人が小さい頃よりよく聴いたというように、伝統をしっかりふまえた彼の素晴らしいピアノ・タッチが、ここでは録音のよさもあり、存分に味わえる。  その後のライヴのCDなどに聴ける指のもつれや戸惑いもここでは聴き取れず、近年、雨後の竹の子のごとく出てくるヨーロッパのピアノトリオを聴くくらいなら、このCDをお薦めしたい。    ベースはピーター・ワシントン、ドラムズは私のごひいきルイス・ナッシュで、繊細かつ大胆な,いいサイドメン達である。                                                                            





さて、ここからは少しこっそりと、私個人のジャズ・ミュージシャン個人に対する意見といったものも

このページで書いてみたいと思う

                                               

  * ハードボイルドのよく似合う男ビル・エヴァンズ

  まず、ピアニストのビル・エヴァンズだが彼こそ男の中の男で、ピーター・ペッティンガー著、
 水声社「ビル・エヴァンスージャズ・ピアニストの肖像」を読むとよくわかると思うが、彼の音楽は
 女性を口説くときの音楽や、女性向きの軟弱な音楽では毛頭なく、きわめてシリアス、かつ永遠
 に残るすごい音楽だといえる。  (リヴァーサイドのジャケットの影響もあるが)

  彼のほとんどの演奏と映像を所有して、しかも何十曲もの演奏コピー譜を研究した私が断言
 する。 50年代からの彼の演奏は、晩年までクスリ、家族の不幸があっても極めて安定した
 水準を保っており、まず偶然のミスといったものがないのだ。ジャズ・ギターのコードの勉強の
 ため、彼の左手のコードの構成と使い方を知るために各コードごとにリストを作ったりしたのだが、
 すばらしい。常に最高のタイミングと構成音を使い、驚くべき集中力で最後の1音まで気を
 緩めていないのだ。

  このこともあり、彼の演奏を聞き流すなど、その後とてもできなくなってしまった。 
 ただ最晩年になると、自分の死を意識し、やや演奏がせっかちな、おおげさなものになって行った
 ことは、やはり残念と言わざるをえない。
  肝臓の病の影響でふっくらとした手で真剣に(でもユーモアもたくさん持ち合わせていた)、
 死の直前までピアノに向う彼の姿は印象的で、壮絶すぎる。
  
  さて余談だが、皆さん、そんなにトリオのベーシストとして、スコット・ラファロエディ・ゴメス
 いいかな。
 私個人は、堅実なチャック・イスラエルズや音程が正確なマーク・ジョンソンをかっているのだが。


追記 2005年3月に、中山康樹氏による『ビル・エヴァンスについてのいくつかの事柄』という
    エヴァンズ・ファン必読の本が刊行された。
     新しい情報もあり、参考になる。

                

    12月24日  

  この「ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング」というCD、LPの形では、エヴァンズの死後の
 1981年にリリースされたものだが、今回CDとしての発売において、3曲のボーナス・トラック
 入りで、最近発売されたため、このページで紹介することにした。


 
 5つ星             1977年8月23、24、25日 CA.
 

     
「YOU MUST BELIEVE IN SPRING」  BILL EVANS WARNER BROS.

  エヴァンズのトリオのスタジオ録音としては今のところ最後のこの演奏、 LPの形の時から、
 叙情性と完成度で名高い名演だったのだが、今回全部で約24分近くのボーナス・トラックも
 聴けるようになり、エヴァンズ・ファンの私としては、見逃せないものになった。

  エディ・ゴメス(b)の最後の参加ということもあり、彼の集中し成熟したプレイも見事だが、
 とにかく録音の名手アル・シュミットによって、いい音で録られたエヴァンズ自身のプレイ
 そのものが、胸が熱くなるほど素晴らしい。

  ボーナスの3曲は、初録音の「WITHOUT A SONG」、スタンダードの「ALL OF YOU」、
 同じく初録音の「FREDDIE FREELOADER」となっていて、全体的にミディアム・ファスト
 以上のアップ・テンポで演奏され、そのことがLPとしての統一性を考えて、以前は発表され
 なかったらしい。
  今聴くと、エレピを一部で使用したり、彼としてはめずらしいブルーズ演奏が聴けたりするなど
 なかなか興味深く、エヴァンズ・ファンの人にはマスト・アイテムだと思う。


  ちなみに、ドラムズはエリオット・ジグモンドである。

                 


    12月16日

   とうとう、私にとって最も影響を与えたジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリーについて
  語ってみたい。

   いったいどれだけ彼のCD、VHSやレーザーディスクの映像、コピー集や教則本を集め,
   彼に迫ろうとしては、そのつど跳ね返されてきたのだろう。とにかく、パシフィック・ジャズ時代、
  リヴァーサイド時代 (「ザ・コンプリート・リヴァーサイド・レコーディングス」というBOXセットは
  必携)、ヨーロッパでの多くのブートCD時代、ヴァーヴ時代、CTI時代のすべての彼の演奏で、
  ミストーンや乱れはまったくないと言える。
   とにかくリズム感、音程感、フレーズ作り、すべてにおいて天才と呼べるギタリストは、
  今のところ彼だけである。

   現在も超えるものがいない、彼の特異な形状の親指を使った早弾き(日本ではM・T氏、
  アメリカではウイリアム・アッシュ氏、あとフランスの何人かがこれに挑戦しているが、
  すべてだめ。 どうしてもピック使用の時より発音のタイミングが遅れがちで、もたついて
  しまう。)や、裏コードを巧みに使った(彼の場合、心から湧き出たフレーズが後で理論的にも
  正しいというものすごい特徴がある)アドリブ・フレーズは、突然の跳躍も多く、まねしようにも
  なかなか大変なことになるのがおちである。

   またこれは特に力説したいのだが、現代にも通用する彼の8分音符の乗りのことである。
  どうしても昔のジャズメンは4分の4拍子において8分音符が2つ続く場合、前の音符を伸ばし
  がちになり、ダサく聴こえるものだが、彼の乗りは極めてモダンで(特にラテン・リズムにおいて)
  現在の録音といっても十分通用するレベルなのである。

   もちろんアドリブにおけるオクターヴ奏法やコード・ソロもとても尋常のものでなく、ロックの
  ギターが好きな方もぜひ冷静な心で、エフェクターを使わない(ウエスも一部のバラードでは、
  センスの悪いリヴァーヴを使用していたが)本物のギターの音楽を楽しんで欲しい。
  
   最後に、こんなにすごいことを、ウエスは笑いながら軽々とやっていたことも、ぜひ伝えて
  おきたいと思う。

 
               

     12月17日

   ここいらで、私しか書けない、とっておきの、ホーン・ライクなモダン・ジャズ・ギタリストを
  めざす人への情報を。 (ギタリストの演奏のコピーや研究だけではプレイに限界がある!)

   長年にわたって、ホーン(特にサックス、トランペット)のいろいろなミュージシャンのアドリブ・
  コピー譜を収集し、LPやCDのアドリブとあわせて演奏してみたりして、わかった事が、いくつか
  あった。
   まず、アルト・サックスのアドリブは、C・パーカーであれ、キャノンボール・アダレイや、
  ジャッキー・マクリーンであれ、とにかく楽譜が音域的にギターで演奏するには、不都合な
  ことが多く、完全コピーをめざすより、せいぜいU−X(ツー・ファイヴ)用の、自分の気に入った、
  演奏に使えるフレーズの収集に努めた方がいいと思われることだ。  ただパーカーの、
  フレーズ内のアクセントの使い方だけは,ぜひよく聴いて自分のものにしたほうがいいと思うが。

   その点、最も役立ち、音域的にもギターで演奏しやすいのは、テナー・サックスのアドリブで
  ある。
   音数もむやみに多くなく、的確なジャズ感覚を身に付けるためにも、私はギタリストには、
  テナーのアドリブの研究を勧めたいと思う。
   特に一緒に弾いていて気持ちがよく、あとから譜面を見て、コードとの関係においても
  素晴らしいアドリブだと思ったのはハンク・モブリーのもので、50年代から60年代前半の
  彼のアドリブはジャズにおける宝物である。もちろん50年代のソニー・ロリンズ、60年代の
  デクスター・ゴードン、50年代後半から60年代前半までのジョン・コルトレーンのアドリブも
  研究に値するもので、ぜひ本物の音と一緒に演奏してほしい。 
   ジャズ芸術のすごさがはっきりわかると思う。

   「ちなみに、実際の演奏では、ギターやアンプはできるだけいいものを使い、特に音がよく
  伸びることは大変に重要な点で、プレイに余裕が生まれる利点がある。   そして、
  スタッカートの過度の使用はダサク聴こえるので、控えた方がいいだろう。」

   トランペットはどうかと言うと、これはちょっと問題が複雑になってくる。 音域的には問題
  ないのだが、演奏者によってアドリブの優劣(ギターの演奏に使えるかどうかということ)が
  あるのだ。
   はっきり言おう。 チェット・ベイカー(特に70年代から晩年まで)アート・ファーマー
  アドリブはLPやCDで聴いている分にはいいのだが、譜面にして演奏すると面白くないことが
  多いのだ。 その点、マイルズ・デイヴィスの50年代〜60年代、クリフォード・ブラウン
  リー・モーガンブルー・ミッチェル等のアドリブはコード、モード(マイルズの場合)との関係に
  おいても大変参考になるもので、彼等のアドリブもギタリストにとっていい研究材料になると
  思う。

   もちろん、だからといってチェットやファーマーの演奏を貶しているのではなく、彼等の
  LPやCDもたくさん集め、聴いて楽しんでいる。

   でも、晩年のチェットのボーカル、ちょっとどうかな、という気持ちはぬぐえないが。


               
     
  
                これからは、以前聴いて、よかったと思ったCD。


              2000年9月14日〜17日 ドイツ録音                                 

   
     Pat Martino / Michael Sagmeister / conversation                                           

9
ナカーラ  富山県  2003年10月26日

 2000年9月14日〜17日、ドイツで録音されたこのCD、掘り出し物ですよ。 録音もいいし、御大のミューズ時代を彷彿とさせる、ギブソン・マルティーノ・モデルから繰り出されるマシンガン・アドリブ。 もう息が止まりそう。 相方のM・サグマイスターも御大に負けず劣らず、なかなかの手だれ。 ジャズ・ギター好きの方、お見逃しなく。


               

  カナダの正統派ベーシストがゲーリー・バートン(3曲)をゲストに迎えて放つ傑作



                    1997年8月12・13日 カナダのトロントでの録音

                Dave Young / Inner Urge

10
ナカーラ  富山県  2003年10月07日

 このCD、いいよー。ジョー・ヘンの1曲目はもちろん、渋い、いい曲を正確な音程とリズミカルなリーダーのベースを中心にまとめた、何度も聴きたくなる演奏集です。録音も迫力のあるいい音ですし、なんといってもgのレグ・シュウェイガーの味のある正統派のプレイはききものですよ。 彼の他にも、カナダからは、E・ビッカートやP・レイチなど実力のあるギタリストが多くでていますね。 何でだろうー。


               


                モダン・ジャズ・ギターの名手の最高作


                        1998年5月17,18日 NYC バードランド

                       Garrison Fewell / Birdland Sessions

10
ナカーラ  富山県  2003年11月15日
「レッド・ドア・ナンバー11」が、’03年に発売されたこともあり、気に入っていた彼のリーダー・CDを全て聴き直してみたところ、モダン・ジャズ・ギタリストとしての彼の最高作はやはりこのCDだと言えるのではないか。 客を入れないで、NYのバードランドで録音したこのCD、とかく聴き足りなさが残る他のCDに比べ、元気がよく、マルティーノの影響をうまく消化し、アドリブと曲作りにも工夫を凝らしている。 このCD、ぜひジャズ・ギター・マニアに聴いてほしい。  サイドも(P)のJ・マクニーリーをはじめ堅実ないいメンバーだと思う。 録音もいい。

                


               同じく、今最も期待できるモダン・ジャズ・ギタリスト


                    1998年10月16〜18日 ノルウェーのオスロ

                 Staffan William Olsson / Smile

10
ナカーラ  富山県  2003年11月12日

モダン・ジャズ・ギター・ファンの方、このCD、最高です。59年、スウェーデン生まれ、現在はノルウェーを中心に活躍しているこの男、ウェスとマルティーノのいいところを踏まえ、歌心も満点のすごいやつです。 あまりにいいので、前後のリーダー作も全て聴いてみましたが、アドリブの見事さと、録音の自然さでこのCDがいまのところ一番ですね。  ギブソンL−5がいい音で歌っています。


              

                                                    
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