新譜のCD(DVD)の感想と情報

              
                   よかったら購入の参考に。

   2月16日
 
『YOU GOTTA TAKE A LITTLE LOVE』 HORACE SILVER・5 
                                         
BLUE NOTE(輸入盤)

 ホレス・シルヴァー(p)、ランディ・ブレッカー(tp)、ベニー・モウピン(ts、fl)、
 ジョン・ウィリアムズ(b、elb), ビリー・コブハム(ds)  1969年1月10、17日 NJ

ようやく聴きたかったホレスのこの作品が、RVG・エディション・CDとして発売された。

B、S&Tの脱退後、録音当時23歳のランディやモウピンの若々しく元気なプレイを聴くことが
出来るこの作品は、発売当時はエレベ(3曲)を使ったり、ジャズ・ロックの影響を感じさせたり
する曲もあり、ジャズ界では、それほど大きな話題にはならなかった。

しかし、今の耳で聴くと、これがなかなかイケるのである。

3拍子やラテンのリズムを使ったキャッチーな曲も多く、この作品の存在を知らなかった
人にはぜひ楽しんで欲しい作品といえる。 
 
ランディのファンには、特にお薦め。  (高音がよく出ているし、当時からうまいや) 「4つ星」 

   2月3日

 ●『PLAYS MILES』 RUSSELL GUNN(tp)(ラッセル・ガン) HIGHNOTE(輸入盤)

 オリン・エヴァンス(key)、マーク・ケリー(elb)、モンテス・コールマン(ds)、
 カリル・クワメ・ベル(per)      2006年7月3日 NY録音

 私にとっては、久々に
「クールなブラックネス」を感じた、ラッセル・ガン(35歳)の
 ハイノートからの、この6枚目の新譜。

 メリハリが良く効き、無駄な音のないガンのプレイだけでなく、ピアノ、エレピ、シンセと
 大活躍のオリン・エヴァンスのプレイも「見事」の一言。

 マイルスの曲や愛奏曲を採りあげた作品をトランペッターが作るということは、相当の覚悟が
 いるが、ガンは個性的な現代感覚をそれらに加えて、
「新しい音世界」を作り出している。

 とくに「フットプリンツ」でのリズム処理には意表を突かれ、このメンバーでのライヴ録音が
 聴きたくなった。 「4つ星半」

   1月29日

 
『ザ・ラヴ・アイヴ・ビーン・ルッキング・フォー』 
            クラレンス・ホイーラー(ts))&ジ・エンフォーサーズ
 
 ボンバ・レコード

 シカゴから登場のジャズ・ファンク・グループの’71年のセカンド作である。

 押し出しの強いクラレンスのテナーもいいが、何といっても粋でソウルフルな
 グループ・サウンドが心地よい。

 残念ながらこの作品の目玉の一つでもあるエリック・ゲイル(g))のソロは2曲でしか
 聴くことはできないが、このグループの一体となったグルーヴ感はなかなかイケル。
                                               「3つ星半」

 参考のためボンバ・レコードのアドレスを。
 http://homepage2.nifty.com/BOMBA/sinpu0612.html

   1月13日

 『THE STRUCTURE OF SURVIVAL』 THE JINGA QUINTET

    
2004年5月16、17日  MA.
 FSWJ(フレッシュ・サウンド・ワールド・ジャズ)ー032
 Featuring: Avishai E. Cohen (tp), Andrew Rathbun (ts, ss), Luis Perdomo (p),
 Fernando Huergo (b), Steve Langone (d).
 Special guest: Luciana Souza (vcl)
→(3曲)

 
アルゼンチン出身のエレベ奏者、フェルナンド・フエルゴを中心としたこのクインテットの
 新作は、昨年に発売済みのもので、純粋な意味で新譜とはいえないが、その点は
 内容の良さに免じてご勘弁ということで。

 
この作品の目玉は、何と言ってもフロント陣の二人だろう。

 二人とも、現在私がもっとも注目しているジャズメンだ。
 ボッソより好きな
アヴィシャイ・コーエン(tp)、高い音楽性をこれまでのリーダー作などで
 感じさせてきたカナダ生まれの
アンドリュー・ラスバン(ts、ss)と、いずれもこれからの
 ジャズ界での活躍が期待できる新鋭である。

 この作品では、フェルナンド・フエルゴの曲(全9曲中、7曲が彼のオリジナル)で、
 その二人の味わい深く、かつ強力なアドリブ・ソロが十分に楽しめるのである。

 ラテン系のリズムを中心にしながら、4ビートの曲も楽々とこなすこのクインテットは
 これからのジャズの「新しい方向」(ちょっと大げさ?)をしっかりと示している。

 ボリュームを上げ気味で聴くと、より楽しめるだろう。→「4つ星半」

   2007年1月5日

 
今年から、私の「せっかち度」も上がった事も考慮し、聴いた新譜をとりあえず、速攻で短く
 評価してみようと思います。 (このサイトを御覧になっている方々は、もう私の音楽的趣味や
 傾向もご存じだと思いますので)

 まず今年の初めとして、これらの作品を。

 『トゥルース・アンド・ビューティ』 サム・ヤエル(org)・トリオ・フィーチャーリング・
  ジョシュア・レッドマン(ts)・アンド・ブライアン・ブレイド(ds) 2005年9月 NYC

 (期待した割に、あっさりした演奏が続きやや残念。 録音のせいもあるが、「問題作」という
 より、こじんまりとした感じのほのぼの盤。 ブライアン・ブレイドは、もっとグルーヴ感を
 重視して欲しいな。→「3つ星半」)
 
 
●『オン・ラヴ』 デヴィッド・T.ウォーカー(g) 1976年

 
(初CD化の彼の最高作。 とにかく初めから終わりまで、ギターで歌いっぱなし。 
 懐かしめのリズムもいいし、これは「買い」でしょう。→「4つ星半」)
 (『プレス・オン』より、私はお薦め)

   (’06)12月16日

 * スティープルチェイス・レーベルは侮れない

     
2006年1月

 『OUT FROM THE UNDERGROUND』  TOM GUARNA(トム・ガーナ)(g)
                                     STEEPLECHASE(輸入盤)

 ジョージ・コリガン(p→2曲、elp→6曲)、ジョン・ベニテス(b)、E.J.ストリックランド(ds)

 ’67年NYC生まれで、NYジャズ・シーンでは、これまでブレッカー・ブラザーズ、
 ジョージ・コリガン、レニー・ホワイト等と共演してきた、このギタリストの存在を知っている人は
 それほど多くないだろう。

 
しかし、スティープルチェイスからの彼の前作’03『ゲット・トゥゲザー』や、ジョージ・コリガン、
 ロドニー・ホルムズとの「マッド・サイエンス」というトリオの’04
『リアライゼイション』での
 プレイを聴いた人の中には、このギタリストの名前とプレイの特徴を記憶している人がいるかも
 しれない。

 
その彼のスティープルチェイスからの2作目が、今年の1月に良き音楽仲間G・コリガンらと
 録音したこの作品である。


 『ゲット・トゥゲザー』でのフルアコを使ったオーソドックスなプレイ、『リアライゼイション』での
 ハード・フュージョン・タッチのプレイとも違い、今回はセミアコを使ったアウト・フレイズを多用
 したコンテンポラリーなスタイルのプレイに変身しているため、戸惑う人も出てきそうだ。
 
 でも、まだ若いし、伸び盛りという点を考えると、一概にその変化を責めることはできない気が
 する。

 収録された8曲全てを作曲し、曲調も変化に富んでいるのも好印象。
 
 ジョー・パス、ウエス・モンゴメリー、ジミー・レイニー、パット・マルティーノ、ジム・ホール、
 ジョン・アバークロンビーらのプレイを聴きながらも、特定の一人に影響を受けすぎないように
 した、と話す彼の、これからの成長が楽しみになるこの作品、スティープルチェイスの近作の
 中でも、上質の作品といえよう。

 私の一押しキーボード・プレイヤーであるジョージ・コリガンの深みのあるエレピ・プレイと、
 近年いろいろな参加作品でエネルギッシュなドラミングをするE.J.ストリックランドの迫力ある
 ドラミングも素晴らしい。


 おまけとして、彼のスティープルチェイスからの1作目のジャケット写真を。

     
2003年8月、9月
 W・ゲイリー・ヴェルセイス(org)、マーク・ファーバー(ds)


 
そうそう、スティープルチェイスの近作といえば、FSNTでも作品を残している
 
LOREN STILLMAN(ローレン・スティルマン)(as)のヴィック・ジュリス(g)らとの
 ’05『ザ・ブラザーズ・ブレックファスト』も、なかなか渋めのいい作品だった。

   11月2日

 
* FSNT作品の感想シリーズ (NO. 7)

     
2005年1月3、4日 NY
 FSNT-255
 Can't Wait For Perfect     (輸入盤)
 Bob Reynolds (ボブ・レイノルズ)

 
Featuring: Bob Reynolds (ts), Aaron Goldberg (p), Reuben Rogers (b),
 Mike Moreno (g #1, 4, 5),  David Soler (pedal steel g #2, 8), Eric Harland (d)


 
4ビートにこだわらず、ファンクやその他いろいろなリズムに乗ったジャズを楽しめる人には、
 この作品は
「買い」である。

 
とにかく、この作品は、若くハンサムなテナー奏者とドラムスのエリック・ハーランドの、
 ストレートで生きのいいプレイが売りの、最後までダレることのない好作品なのである。

 
リーダーであるニュージャージー州、モーリスタウン生まれのこのテナー奏者は、
 バークレーでジョ−ジ・ガゾーン(またまた出ました)やハル・クロック等に音楽を学び、
 NYではブライアン・ブレイド、トム・ハレル等とも共演してきた期待のニューカマーであり、
 この作品がFSNTレーベルでの初作品となる。
 
 内容的には、いつもサイドでいい仕事をする
アーロン・ゴールドバーグルーベン・ロジャーズ
 はじめ、手練れのミュージシャンが揃っていることと、リーダーの作ったセンスのいい曲
 (全10曲)やアドリブ・ソロの切れ味のよさも相まって、最近のFSNT作品の中でも出色の
 作品といえる。
 
 今後の活躍を期待して、今回は
4つ星半と評価しておきたい。

   10月2日

 
* ウエイン・ショーター好みのギタリストによる、この作品は「イケる」

      
2004年5月29.30日 NY

 『UNIFIED PRESENCE』 DAVID GILMORE RKM MUSIC (輸入盤)

 デヴィッド・ギルモア(g、acg)、クリスチャン・マクブライド(b、elb)、ジェフ"テイン"ワッツ(ds)、
 ラヴィ・コルトレーン(ts、ss)、クラウディア・アクーニャ(vo→11曲目のみ)

 ’64年、マサチューセッツ州生まれの
デヴィッド・ギルモアというギタリスト(もちろんピンク・
 フロイドの彼ではない)の’00年
『リチュアリズム』に続くこの新譜は、現代ジャズのおいしい
 ところを聴きたいと願う人には見逃せない代物である。
 
 彼のことは、「ウエイン命」の私は、ウエインの’95年
『ハイ・ライフ』や’96年のグループでの
 2枚のブート・ライヴ作品で、そのプレイの一端は体験済みだった。

 しかし、彼はすでに80年代や90年代には、
スティーヴ・コールマン(as)等、MーBASEの仲間
 とも共演し、最近まで自分のグループを率いてニューヨークのジャズ・シーン(ニッティング・
 ファクトリーなど)で、地道にその音楽活動を繰り広げてきていたのである。
 

 その成果は、素晴らしいメンバーを揃えたこの作品で遺憾なく発揮され、変化に富んだ変拍子や
 ポリ・リズムを使った彼のオリジナル曲(全11曲のうち10曲)は魅力的なものばかり。

 もちろん、パット・マルティーノばりの粒のよく揃った音で構成されたフレイズを使っての
 メロディアスで自信溢れるアドリブ・ソロも、最後まで緊張感が緩むことのない極上品。

 また、2曲あるアクースティック・ギターを使ったブラジル成分全開(上田力調?)のプレイも
 見事で、音楽的な幅も広い。


 エグゼクティヴ・プロデューサーも兼ねるラヴィ・コルトレーンの吹っ切れたプレイや録音もよく、
 クリアーにギターを含めた各楽器の音が聴き取れるのも好印象だった。

 結論として。  ギターとテナーのカルテットという、私の最も好むコンボ編成ということもあり、
 この作品にはとても好感をもった。



   9月15日

 * 書かずにはいられない久々の辛口レビュー

      
2006年3月13ー16日 NC
  
   『BRAGGTOWN』  BRANFORD MARSALIS QUARTET
                                   ユニバーサル ミュージック(国内盤)

 ブランフォード・マルサリス(ts、ss)、ジョーイ・カルデラッツォ(p)、エリック・レヴィス(b)
 ジェフ”テイン”ワッツ(ds)

 
ブランフォード・マルサリスの新譜『ブラッグタウン』を聴いた。  こりゃ、だめだ。

 現代最強のジャズ・コンボによる超弩級のストレート・アヘッド・アルバム、と帯の文句にあるが、
 これが現代ジャズの最高のものとはとても言えない出来なのである。

 以前のDVD『至上の愛・ライヴ・イン・アムステルダム』は、彼のジョン・コルトレーンに対する
 思い入れが、いい方向に作用していた。

 しかし、この作品は、彼の器用すぎるところが災いしてか焦点が定まらず、新鮮さと
 ドライヴ感が決定的に欠けている。  

 迫力がありそうに聞こえるファスト・テンポの曲でも、よく聴くと速さを隠れ蓑にした
 クリシェ・フレイズの連続も耳(?)に余る。

 今作では、テンポ・ルバートでのプレイや、気持ちが悪くなる細かなビブラートをかけたソプラノ・
 プレイに、以前より重きを置いているようだが、とにかくプレイ全体に覇気が感じられないし、
 軽すぎる。

 音質もトータル82分(国内盤)も収録してあるためか、ドラム音をはじめ、新録ものとしては
 あまりに悪く、これでは興ざめ。

 演奏技術だけが目立つ弟(tp)の作品にもろくなものはないが、ブランフォードのこの作品も
 二度とCDトレイに乗ることはないだろう。 (2つ星)


   8月10日

 * まだまだ「枯れない」彼の最新作

       2005年11月28,29日

   『JUNGLE SOUL』  Dr. Lonnie Smith   Palmetto Records (輸入盤)

 ドクター・ロニー・スミス(org)、ピーター・バーンスタイン(g)、アリソン・ミラー(ds、per)、
 マット・バリットサリス(リズムg、アクースティックg)

 1943年生まれのドクター・ロニー・スミスの約2年ぶりの新譜である。

 前作
『トゥー・ダム・ホット』のことは、以前このページにも書き、絶賛したが、今度の新作は
 よりファンキー度を増した優れものの作品となっている。

 私好みのピーター・バーンスタインは前作と同様、相変わらず端正かつブルージーな
 フレイズを弾き倒しているし、リーダーの余裕溢れるノリのいいプレイも、とてもいい。
 
 とりわけ今作は、数曲でアラブやアフリカ音楽の影響を感じさせるフレイズもプレイするなど、
 最後まで飽きさせない、リラックスして心と体の両方が楽しめる作品といえる。

 聴きものは、やはりファンキーなアレンジが面白い「フリーダム・ジャズ・ダンス」と
 セロニアス・モンク作の「ベムシャ・スウィング」だろうか。

 終わりにアドヴァイスをひとつ。

 アナログ録音のよさにこだわったらしい、この作品は、ボリュームとベースのつまみを
 少し上げ気味にして聴くと、より「オルガン・ジャズ」の楽しさが味わえると思う。


   6月26日

 * 最近聴いて、よかった新譜CD

       2006年 NY

   『BY A THREAD 』   JOHN ELLIS     HYENA RECORDS (輸入盤)

 ジョン・エリス(ts、ss、bcl、オカリナ)、アーロン・ゴールドバーグ(p、elp、)、マイク・モレノ(g)、
 ルーベン・ロジャーズ(b)、テレオン・ガリー(ds)

 エリス・マーサリス門下で、チャーリー・ハンター(g)のバンドでもプレイしていたこのサックス奏者。
 
 ’03年のモンク・コンペで2位だったということを強調しなくても、彼の実力は、少しアドリブ・ソロを
 聴いただけで、「耳利き」の人は、そのレヴェルの高さを実感できるだろう。

 前作で、同じレーベルからの’05
『ワン・フット・イン・ザ・スワンプ』もよかったが、この彼の新譜は
 作(全9曲彼のオリジナル)、編曲、アドリブ・ソロ、サイドメンの充実という点でも、
 コンテンポラリー・ジャズの、もっともおいしいエッセンスが味わえる好作品である。

 ジョン・エリスの切れの良いアドリブ・ソロ(とくに高音域の音の使い方がうまい)はもちろん、
 今私の一押しドラマー、テレオン・ガリーのビシバシ決まる、凄みさえ感じさせるドラム・プレイも
 最高のこの作品。

 ぜひ、実際に聴いて体験して欲しい。

 マイケル・ブローディによる迫力のある録音もよく、全曲とも花丸作品である。

 最後に、ジョン・エリスの公式サイトのアドレスを。 http://www.johnaxsonellis.com/


   6月6日

 * 手練れの3人による、生涯最高のライヴ作品かも?

       2004年11月21日 イギリス、ロンドン

    『SAUDADES』  TRIO BEYOND   ECM (輸入盤)

JOHN SCOFIELD(g)、LARRY GOLDINGS(org、elp)、JACK DEJOHNETTE(ds)

 この2枚組CD、故トニー・ウィリアムズ(ds)好きには、こたえられないものだ。
 (とくに彼の
「ライフタイム」による 『エマージェンシー』が大好物の、私のようなものにとっては)

 トニーの音楽へのオマージュとでもいうべき、現在最高のミュージシャンが集まった
 トリオによるこの作品は、トニーの音楽のみならず、マイルズ・デイヴィス(ジャックとジョンは
 実際にマイルズのバンドの一員だった)の作り出した音楽をも感じさせる、素晴らしい作品
 なのである。

 何しろ3人のメンバーが、本気になって、その実力を十分に発揮している。

 また、このトリオ独自のマニア好みの選曲や、編曲面でも、様々な工夫がなされていて、
 これを推薦しないのでは「ジャズ新譜ナビゲーター」の名がすたるというものである。

 「ECM」では珍しく(アイヒャーさん、ごめん)熱いこの作品、2枚組でボリュームもあるが、
 (1枚目→約55分、2枚目→約56分)ジャズ・ファンを自認するなら、各自が購入して
 実際に聴いてみてほしい。

 近頃の耽美主義的ジャズでは、なかなか体験できない、心地よい緊張感のある、
 聴くものの感性をビンビン刺激する上質のジャズ音楽を楽しむことができるだろう。

 また、音も、ライヴの迫力を見事にとらえつつも、クリアーで、2枚続けて聴いても
 (こんな聴き方をしたのは、何年ぶりだろう)途中で飽きなかったことも、この作品の
 凄さの証明になるだろう。

 ちなみに、私の好きなトラックは、1枚目の1と6曲目、2枚目の1と4曲目だろうか。

 ジョン・スコの、切れに切れまくったギター・プレイがたまらない。


   6月3日


 * この作品、まるでDHAたっぷりの「焼き魚定食」やぁー。

       2005年6月1日 NY

   『HOOP DREAMS』 JOE MAGNARELLI  CRISS CROSS (輸入盤)

  1. Genet (Joe Magnarelli)
  2. Division Street (Joe Magnarelli)
  3. Paris In The Spring (Kordon / Revel)
  4. Ask Me Now (Thelonious Monk)
  5. Hoop Dreams (Joe Magnarelli)
  6. I Mean You (Thelonious Monk)
  7. Old Folks (Willard Robison / Dedette Lee Hill)
  8. Dance Only With Me (Jules Styne / Betty Comden / Adolph Green)
  9. Monk's Mood (Thelonious Monk)
  10. Barretto's Beat (Joe Magnarelli)

Total Time: 66:05
Recorded June 1, 2005 in Brooklyn, NY, USA by Max Bolleman

Joe Magnarelli (Tp / Flh)
Peter Bernstein (G)
Gary Versace (P)
Paul Gill (B)
Tony Reedus (D)

 ジョー・マグナレリのこの作品、一見、メンバー的にも選曲面でも、やや地味に思えるかも
 しれない。
 
確かに、それは否定できない。

 しかし、作品を全部聴き終えると、ジャズらしいジャズを聴いたという、何とも心地よい気持ちに
 なることのできる好作品なのである。

 ’94年以来、今回と同じクリス・クロスから多くの作品をリリースしている、今やNYの中堅
 トランペッターの
マグナレリはもちろん、私好みの歌心溢れるプレイをいつも行うギターの
 
バーンスタイン5曲に参加)、最近売り出し中のヴェルセイス(来日中は他のミュージシャン
 から、このように呼ばれていたらしい)や、高い音楽性を持つベースの
ポール・ギル
 脂の乗りきったドラムズの
トニー・リーダス等のプレイが、一つによくまとまり、作品の質を
 高めている。

 アウト・フレイズもうまく取り入れての、歌心のある丁寧なアドリブを展開する
 マグナレリは言うまでもなく、バーンスタインの落ち着いた、いぶし銀プレイも文句なし。

 とくに、3曲ある、大好きなモンク・オリジナルにおけるプレイは涙もの。
 
 これ以上、この作品の良いところを説明するのも空しいくらいのこの作品、表面的な
 目先の新しさに惑わされない、ジャズの魅力をよく分かった人に、ぜひ、お薦めしたい。 

 何度聴いても飽きのこない、「するめ作品」になること確実である。

   5月2日

 * 「ソフト・マシーン」の掘り出し物ライヴ作品

        1970年10月25日(オランダ、アムステルダム)→CD
               1971年3月23日(ドイツ、ブレーメン)→DVD(リージョン・オール)
     『GRIDES』 SOFT MACHINE    CUNEIFORM RECORDS 
     『グライズ』  ソフト・マシーン     Arcangelo (国内盤仕様)輸入盤

 エルトン・ディーン(as、saxello、elp)、ヒュー・ホッパー(elb)、
 マイク・ラトリッジ(elp、org)、ロバート・ワイアット(ds、vo)

 この作品は、イギリスのジャズ・ロック・バンドとして有名な「ソフト・マシーン」の
 未発表ライヴ作品(CDとDVDの2枚組)である。


 「ソフト・マシーン」(とくに'70年から'75年の)といえば、「ニュークリアス」と並び
 私の好きなイギリスのジャズ・バンドの一つ。 (「プログレ」というより、彼らの演奏は
 「ジャズ」そのもの→マイルズの音楽の影響も強い)

 彼らの
「3」('70)から「7」('73)まで、LP(もちろん国内盤)発売時には,すぐに購入し、
 体の中にしみこむほど(?)ずいぶん聴き込んだ。(とにかく気持ちのいいサウンドだった)

 この頃の音楽体験は、マイルズ・デイヴィスの音楽とともに、私にとってとても大きな
 影響を残していたことが今になってみるとよく分かる。
 (ジャズ演奏における、エレキ・ピアノやエレキ・ベース、変拍子好きも、その影響?)

 近年、続々と発表されている'70年から'72年頃の「ソフト・マシーン」の未発表ライヴ作品を
 聴くと、なぜか胸がキュンとするのも、その証拠だろう。

 そこで、この2枚組の新譜ライヴ作品だ。

 1枚目のCDは、'70年オランダ、アムステルダムでのライヴ作品(約80分)なのだが、
 これが、よくこんなのが残っていたと思える、音質良好、メンバー全員のプレイも熱い、
 優れもののライヴ作品なのである。

 とりわけ、今年2月に惜しくも亡くなった故・エルトン・ディーンのアルトやサクセロの
 プレイは、迷いのないガッツ溢れるもので、彼のプレイを未体験の人は、彼の素晴らしい
 ジャズ・プレイを、ぜひ味わって頂きたいと思う。

 また、怪人(?)マイク・ラトリッジのハードな音色を使ったユニークなオルガン・ソロも
 今聴いても古さを感じさせないもので、これも聴きものだ。


 2枚目のDVDは'73年ドイツ、ブレーメンでのライヴ映像(約21分)で、公式単独作品
 としては初めてのもので、同日の音源は他の曲も含め
「ヴァーチュアリー」(約78分)として、
 すでに発表されている。

 しかし、映像で実際に彼らの演奏風景を見ることができるのは、やはり格別なものがあり、
 当時のサイケデリック(懐かしい)な背景の映像の面白さと、
「クールな(カッコいいの意)
 熱気」
を感じさせる当時最先端の演奏が楽しめる。
 
 画質、音質、ともに良好なのも、うれしいところだ。

 結論として、この2枚組作品。少し値は張るが、「ソフト・マシーン」を語るには、今後
 外すことのできない作品となることは間違いない、高レヴェルの作品である。

   4月21日


 * 現在のこのサイト作成者の本音

 このペ−ジ、「ニュー・リリースのCDの感想と情報」と名乗っているわりに、
 新譜紹介の数が少ないと思われる方がいるかもしれない。

 このサイトも作成開始より約2年半過ぎたわけだが、実は、その間いろいろと試行錯誤を
 続けてきたのである。

 最初の頃は、実際に購入して聴いた新譜を、内容の良い悪いにかかわらず、その内容を
 紹介し、5段階で評価した上でアップしていた。

 しかし、しばらくすると、面白く聴くことができなかった作品について、その欠点を書くことが
 とても苦痛になってきたのである。
 (もっとも、売れ線ミエミエで低レヴェルのものに、一言いいたい傾向は今でもあるが、
 このような作品は初めから購入しないので)

 その点、自分の心と体の両方がいいと思った作品は、その内容を紹介し批評したい
 という気持ちが自然にわき出てきて、文章を書いたり、関連したいろいろなことを
 調べたりすることも楽しいのである。

 やはり、サイト作成者自身が楽しんで書いていない文章は、読む人も面白くないだろうと
 思う。

 このサイト、金銭とは無関係だし、現在進行形のジャズの新譜の中で、私が面白いと
 思った作品を同好の方々に紹介するというのが、サイト作成の本来の目的。

 今後も、このゆったりしたペースで、サイトを運営していこうと思っている。
 (何か、ご意見、ご質問があれば、いつものようにメールででも)

 (実際は、紙媒体やネットからの情報を参考に、いろいろなスタイルや過去のジャズ作品も
 並行して聴いているのだが・・・)
 (最近は’70年代の初めから中ごろにかけての、ジャズ・ファンク、スピリチュアル系の
 作品にハマっている)
 

   4月9日


 * ウエス・モンゴメリー(g)・トリビュートの決定盤

       2005年8月9,10日 NY

  『REMEMBER A TRIBUTE TO WES MONTGMERY』 PAT MARTINO(g) 
                                          BLUE NOTE(輸入盤)


 パット・マルティーノ(g)のこの新譜には、二つの際立った良いところがある。

 一つめは、ウエス・モンゴメリーに対するマルティーノの敬愛の念が、そのプレイのみならず
 選曲その他すべての面に強く感じられる作品であること。

 二つめは、とくに前作’03
「THINK TANK」と比べ、サイドメンのプレイが段違いに
 素晴らしいことである。

 まず一つめについて。

 実はマルティーノは、’60年代に、実際ウエスとギター・プレイその他いろいろなことを
 話したりするなど、深い親交があったのである。

 個人的に、ウエスの真の後継者は、マルティーノとジョージ・ベンソンの二人だと思うのだが、
 この作品では、マルティーノのウエスへの尊敬の気持ちが、いつにも増して表現されている。

 まず、ミューズ・レーベルの諸作品で聴かれた以上の、ハイ・レヴェルのオクターヴ奏法をも
 駆使した素晴らしいアドリブ・ソロをたくさん聴くことができること。
 (もちろん、胸を締め付けられるような、彼のシングル・トーンによるマシンガン・プレイは健在)

 次に、選曲面で、ウエスの代表的なオリジナル曲(5曲)だけでなく、彼の愛奏曲(5曲)も
 バランスよく収録していて、テンポもヴァラエティーに富んでいること。


 これらが、その証明と言えるだろう。

 次に、二つめの良いところについて。

 前作のジョー・ロヴァーノ(ts)とゴンサロ・ルバルカバ(p)のプレイは、正直に言って私の好み
 ではなく、コルトレーン・トリビュートというコンセプトにも合っていなかったが、この作品は違う。

 
デヴィッド・キコスキー(p)はじめ、ジョン・パティトゥッチ(b)、スコット・アラン・ロビンソン(ds)、
 
ダニエル・サドウニック(per)等のプレイが、メリハリのよく効いた、音楽的交流に富んだものと
 なっている。


 とくに、キコスキーのストレイト・アヘッドなピアノ・プレイは、ますます磨きがかかって
 きているようだ。


 結論としてこの作品、マルティーノ・ファンやジャズ・ギター・ファンはもちろん、普段ギターものを
 あまり聴いていない方に、とくにお薦めしたいと思う。

 (’60年代や’70年代の彼のプレイも、とてもいいけどね。)


 ただ、カーク・ヤノ氏による録音の仕事は、前作に続き「お粗末」の一言。

 これで、もしこの作品が「CCCD」だったらと考えると、よけいに怖いものがある。
 


   3月17日

 * ヒネリをきかせた、ドナルド・フェイゲンの新譜について

        2005年

  『MORPH THE CAT』  DONALD FAGEN  REPRISE RECORDS(輸入盤)

 一見すると、ノーマン・シーフの「モノクロ・ポートレイト写真」、しかしよく見ると、雪舟の
 「乱暴力」を秘めた「水墨画」とでもいえるのが、このフェイゲンの
『カマキリアド』以来、
 久しぶりのリーダー作である。


 今回は、フェイゲン自身のプロデュースで、「スティーリー・ダン」の相棒ウォルター・
 ベッカーの助けをかりず、全9曲(計・約53分)の自作曲を、すべて自分でアレンジし、
 彼の思い描いた通りの音楽が展開されている。

 ジャズとかロックとかAORとか、そのようなことは別にして、とにかく気持ちのいいサウンドが
 聴け、珍しく今作ではドラマー(
キース・カーロック)とエレベ奏者(フレディ・ワシントン)を
 固定し、非常にタイトかつ重いリズムを効果的に使い、独特のシニカルな「フェイゲン・
 ワールド」を作り上げている。

 曲中でソロをとるのは、主にギターのジョン・ヘリントンウエイン・クランツ、テナーの
 
ウオルト・ワイスコフ、、ハーモニカのハワード・レヴィ等で、曲ごとの適材適所の
 ミュージシャンの使い方は、相変わらず彼の独擅場だ。

 近年のスティーリー・ダンの作品よりも、曲も変化に富み(とくに2、4.8曲目がいい)、
 マニアには見逃せない作品といえる。

 エリオット・シェイナー収録の迫力のある音もいい感じで、音的にも上質の作品である。

   2月23日


 * エヴァンズのライヴ・DVDを見る

        1971年、1979年 (リージョン・オール)

    BILL EVANS TRIO / THE EVOLUTION OF A TRIO  Jazz Music Performances
                                                   (輸入盤)

Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Marty Morell(ds), Marc Johnson(b), Joe Labarbera(ds)
 1.How My Heart Sings 2.Gloria's Step 3.My Romance 4.In Your Own Sweet Way 5.The Peacocks
  6.Laurie 7.My Romance 8.Theme From M.A.S.H.

 ビル・エヴァンズ(p)の1971年から1979年までのライヴ・DVDである。

 
時期的に、3つのTV収録映像が集められていて、1,2,3は1971年9月(ちなみに
 
『ザ・ビル・エヴァンス・アルバム』は’71年5,6月録音)、
 
4.5は1979年初頭(ちなみに’79年1月よりマーク・ジョンソンとジョー・ラバーベラとの
 トリオは活動開始)、
6.7.8は1979年12月(ちなみに『パリ・コンサート』は’79年の
 11月26日録音)の収録となっている。

 以前からエヴァンズの映像は、ビデオ、レーザー・ディスク、DVDなどの形で、いろいろな
 ものが発売されてきた。

 今度発売されたDVDの目玉はというと、6.7.8’79年12月(彼が亡くなるのは’80年
 9月15日)の
バルセロナでのライヴ映像だろう。

 5曲目までは、すでに何らかの映像作品として見た記憶があるが、これらの映像は初めて
 見るものだったからである。

 しかし、1から5曲目までは、まあまあの画質(カラー)と音質(ちょっと音量レヴェルは低い)
 だったのだが、残念ながら6曲目からは画質、音質ともにガクッと悪くなる。
  
 だが、演奏内容はそれに反し、今までのものに比べ「熱さ」が違う。

 マーク・ジョンソンとジョー・ラバーベラとのトリオ活動も軌道に乗り、エヴァンズのプレイに
 対する入れ込み方も尋常ではない。 プレイ中の体の動きも、より激しくなっている。

 ジャズ評論家の中には、演奏内容の評価を、収録音の良し悪しに惑わされ(音は、いいに
 こしたことはないが)、しっかりできない人もいる。

 しかし、これら3曲のトリオ一体となったプレイは、画質、音質の悪さを乗り越え、私の心に
 強く響き、
死期を悟った彼の、音楽に対する執念さえも感じさせた。

 CDもいいが、エヴァンズの映像作品も、ぜひチェックしてほしい。

 もちろん、このDVDはリージョン・オールだ。 また、日本アマゾンはリージョン・1と誤った
 表示をしているようだ。 購入に際しては、HMVとの比較も必要だろう。


   2月19日

  2004年10月26日のレヴュー(すみませんが、少し下にスクロールを)で、私が絶賛した
  オランダの35歳のギタリスト、
マタイン・ヴァン・イターソン『ザ・ホール・バンチ』が、
  ようやく一曲のボーナス・トラック付きで国内盤として発売された。
  (2月22日発売)

  ジェシ・ヴァン・ルーラーが好きで、良質なジャズ・ギター作品に目のない人には、
  とくにお勧めの好演盤と断言したい。


   2月1日

 * やったね、クリス! こりゃカッコいい

        2005年? NY

  『UNDERGROUND』 CHRIS POTTER  SUNNYSIDE RECORDS(輸入盤)

 CHRIS POTTER(ts)、WAYNE KRANTZ(g)、CRAIG TABORN(key)、
 NATE SMITH(ds)、ADAM ROGERS(gー2曲、ただしソロはなし)

 1971年生まれのマルチ・インスト奏者、クリス・ポッター

 1992年のクリス・クロス・レーベルからの初リーダー作より、ずいぶん長く追いかけてきた。

 そこで、この新作だ。 「包丁一本、さらしに巻いて〜」ではないが、テナー、一本にしぼって
 熱演を繰り広げるこの作品、男ポッターの意地の一作といえるだろう。

 リーダー作はもちろん、いろいろなミュージシャンの作品でのサイドマンとしても、常に
 水準は高いのだが、器用すぎる面があり、彼には今まで、これといった代表作が
 少なかったのが本当のところ。

 前作のヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ作品も、推薦一歩手前までいくのだが、
 やや散漫なところがあり、ポッターのファンとしても残念な思いをしていた。

 でも、とうとう彼はやったのだ。この作品では、若いメンバー(昨年のヨーロッパ・ツアーで
 バンドとしての一体感を持ったらしい)をバックに、気持ちのいいくらい吹きまくって
 いるのである。

 ウエイン・クランツのアグレッシブなギターやクレイグ・テイボーン(ジェイムズ・カーターと
 共演歴あり)のキレのあるソロも聴くことができるとはいえ、それほど多くないため、
 全9曲、そのうち6曲のポッターのオリジナルを含む、この作品を聴き終えて感じるのは、
 とにかくポッターのテナー・ソロの凄さ。

 フラジオ・ノートの使い方も自由自在、いろんなテンポや曲調での、新鮮なフレイズを
 組み込んだアドリブの構成も、文句なく素晴らしい。

 エレピ好きの私にとっては、クレイグ・テイボーンの変化に富んだバッキング・サウンドも
 気持ちよく、ベース奏者不在を感じさせないキーボードでのベース・ラインの創出もあり、
 サウンド全体に不満を感じることもなかった。

 この作品、ポッターの代表作になるといってもいいだろう。 約70分、最後まで飽きずに
 聴き通せる作品はそんなに多くない。

 私は好きだなあー、この作品。

 ちなみに、最後のビートルズの名曲「イエスタデイ」をどのように編曲して、プレイしている
 かも、お楽しみに。(まったく不思議な感じの曲に仕上がっている)

 また、この作品には、4ビートの曲はない。

 今どき、「4ビート=JAZZ」などと考え、それにこだわる人は少ないと思うが、念のため。


   1月13日

 * DAVE LIEBMAN(デイヴ・リーブマン)(ss,ts)の新譜

        2004年10月 NY ライヴ録音

 『MANHATTAN DIALOGUES』  DAVE LIEBMAN & PHIL MARKOWITZ
                                          ZOHO MUSIC(輸入盤)


 現時点で、ジャズ・サックス界では、マスター級のミュージシャンとして、一目置かれる
 存在となっている1946年生まれの
デイヴ・リーブマン
 (ちなみに、彼の著した音楽書は、なかなか読むのがハード)

 70年初めの頃のマイルズ・デイヴィスのバンドで、その名をあげ、その後自分のグループ
 (「ルックアウト・ファーム」、「クエスト」他)のみならず、ゲストやサイドマンとしても、本当に
 たくさんの録音を残してきている。(しかも世界中のいろいろなレーベルで)
(彼の公式サイト)
 
 今まで、気になる作品はなんとか聴いてきたものの、すべてを聴くことは、今や、よほどの
 熱意と懐に余裕がなければ、不可能といってもいい。

 彼の録音した作品を、コンプリートにコレクションしている人がいたら、お目にかかりたい
 くらいだ。

 
私個人は、彼のクールに熱く燃える生演奏を、1973年のマイルズ・バンドでの東京公演と、
 その後、独立して結成した、「ルックアウト・ファーム」という彼のバンドの東京公演で
 聴いている。
 とにかく、こめかみに青筋立てての、プレイ中に倒れるのではないかと
 思わせる熱演が印象的だった。


 近年は、NYのレーベル「ZOHO MUSIC」と契約を交わし、前作『イン・ナ・メロー・トーン』
 (彼のグループによる作品)に続く、
フィル・マコーウィッツ(p)(彼の公式サイト)との
 デュオ作品が、今回紹介する作品である。            


 長年、同じグループで一緒だった二人のプレイは、非常にスリリングかつ成熟したもので、
 デュオ作品としてのレヴェルも高い。 また、かつての盟友
リッチィー・バイラークとの
 デュオ作品と比べると、より
「暖かさ」の感じられるものとなっている。

 結論としては、2つのスタンダード曲と8つの彼らのオリジナル曲において繰り広げられる
 
「音楽性豊かで、センスのいい、渋い対話の面白さ」が、この作品の聴き所といえる。
 (デイヴは、3曲のみテナー、あとはソプラノをプレイしている)

 ただ、数曲テンポ・ルバートの曲もあり、聴く人が限られる作品であることも事実なので、
 念のため。


 追記  この作品を出している「ZOHO MUSIC」というレーベル、他にもいい作品があり、
      リンクできるようにしたので、よかったら参考に。

      ちなみに私の推薦盤は

 『ライズ・アゲイン』 トリオ・ムンド{デイヴ・ストライカー(g)を含むバンド} 2004年2月録音

 『ライヴ・アット・ザ・ジャズ・スタンダード』 ザ・ストライカー/スレイグル(as.ss)・バンド
                                            2005年3月2,3日
 『ブルー・ホライゾン』 ヴィック・ジュリス(g) 2002年3月


   12月26日

 * 今月のお薦め盤は、これしかない

        1981年4月 NYC

  『ナイトライン・ニューヨーク』  ヨアヒム・キューン(p)  究体音像製作所(発売元)

        
1981年4月 NYC (未発表音源)

      『サバイバー』  ヨアヒム・キューン(p)  究体音像製作所(発売元)

 ヨアヒム・キューン(p)、マイケル・ブレッカー(ts)、エディ・ゴメス(b)、ビリー・ハート(ds)
 ボブ・ミンツァー(ts)→(2枚を通じ3曲でソロを取っている)、マーク・ナウシーフ(per)

  
今回のお薦め新譜は、大好きなスティーヴ・カーン(g)の久しぶりの作品『グリーン・
 フィールド』と、上記の2作品のどちらにしようか迷ったが、結局、現在闘病中の
 マイケル・ブレッカーを応援する意味で、彼が大活躍するヨアヒム・キューンの2作品とした。

  1981年のマイケルといえば、1,2月はチック・コリアの『スリー・カルテッツ』、
 9月はステップスでのライヴ録音『パラドックス』と、まさに絶好調の時期。

  この2作品では、ジャズだけではない幅広い音楽性をそなえた(90年代のソロ・ライヴを
 見てそのことを再認識した)ドイツ出身のピアニスト、ヨアヒム・キューンに刺激され、
 その激しいテナー・プレイで、聴いているこちらを完全にノック・アウトさせる。

  マッコイ・タイナーをさらに強力にしたモーダル・プレイを行うキューンも好演だが、
 何と言っても、この2作品はマイケルのテナーが聴きもの。

  とくに未発表音源(合計約61分)を集めた『サバイバー』では、
「ミスティ」と「チェロキー」
 という彼にしては珍しいスタンダード曲のプレイも聴くことができ、マイケル・ファンなら、
 2作品とも聴き逃すことのできないものだと思う。
 (一度に聴くと、どっと疲れを覚える恐れもあるが)

  また『ナイトライン・ニューヨーク』の5曲目、急速テンポでのソロの途中で、60年代の
 ウェイン・ショーターの特徴的なフレイズを吹くマイケルも、なかなか「おちゃめ」なので、
 ぜひ聴いて確かめて欲しい。 (本当に、彼はいろいろなテナー奏者をよく研究している)


  音的にはシンバル音やピアノの高音部で、やや不自然さが感じられるが、そのようなことは
 この2作品が持つ音楽のパワーの前ではささいなことだろう。

  先月発売のランディ・ブレッカー・with・マイケル・ブレッカーによる事実上の
 ブレッカー・ブラザーズの2003年11月録音『サム・スカンク・ファンク』のような、制約の多い
 局面でのマイケルのプレイよりは、上記の2作品でのマイケルの
ガチンコ・プレイを私としては
 高く評価したい。


  ドラムズのビリー・ハートについては、70年代中頃の生演奏を見て、そのバネの効いた
 ドラミングに大変感心したことを覚えている。


   12月21日

 * マイルズ・デイヴィス「ザ・セラー・ドア・セッションズ1970」について

  
今日、US盤が届き、さっそく「セラー・プロダクション」盤や「ダブル・エクスタシー」と
 聴き比べてみた。

  まだ途中なのだが、一応報告すると、上記2種類の質の高さを再確認した。
 ほとんど音質に差がないのである。

  このセッション、バンド・メンバーすべて好演だが、とくに素晴らしいのは
 
キース・ジャレットのエレピのプレイだろう。 

  マイルズのバンドの後、今ではピアノしか弾かない彼の貴重なプレイといえる。

   12月12日

 
* スタンリー・タレンティン(ts)の貴重なライヴ映像


        1990年? NYC

  「IN CONCERT」  STANLEY TURRENTINE・5    KULTUR(輸入盤)

  最近輸入盤として発売された、スタンリー・タレンティン(この表記が原音に近い)の、
 このDVDについて書いてみたい。

  まず、このDVDはリージョン・フリーである。

  日本アマゾンのリージョン・コードの説明は、またも間違っている。

  サイドマンは、ボブ・フォックス(p、key)、スコット・アンブッシュ(6弦elb)、
 スコット・ピーカー
(ds)、デイヴ・ストライカー(g)となっていて、ニューヨークのジャズ・クラブ
 「ヴィレッジ・ゲイト」における彼のクインテットの演奏、影響を受けた過去のミュージシャンの
 プレイ映像、そしてインタビューを組み合わせた約60分のDVDである。

  2000年に惜しくも亡くなったタレンティン。このDVDでは「シュガー」、「ソールト・ソング」、
 「ジブラルタル」、「インプレッションズ」など、CTI時代のヒット曲もまじえ、独特の
 ブルージーな歌い方で、知的ホンカーの面目躍如ともいえる貫禄の音楽を聴かせてくれる。

  サイドマンでは、何と言っても以前からプレイが好きで追いかけていたデイヴ・ストライカー
 ジャズ・シーン・デビューの頃のストレイト・アヘッドなプレイ(ギブソンESー347の1曲を除き、
 その他の曲はギブソンLー5使用)が聴けるのがうれしい。

  二カ所、演奏の初めの所で、インタビューの声と、少し重なるのは残念だが、タレンティンの
 ライヴ映像はそれほど多く残っていないこともあり、マニアにはこたえられないDVDだと思う。

  音量を少し上げる必要があるとはいえ、画質はまったく問題ない。


  ところで、最近のジョン・コルトレーンの音楽についての見直しの機運、なかなか興味深い。
 若い人には、ピアノ・トリオばかりでなく、もっと彼の音楽を聴いて欲しいと思う。

   11月13日

 * 発掘音源が続くが、この作品はいい。

        1983年 NYC

   「dreams and stories」 RODNEY JONES(g) SAVANT RECORDS
                                               (輸入盤)

  今回紹介のこのCD、サイドマンに故・ケニー・カークランド(p)がいるため、不思議に
 思う人もいるかもしれない。

  ネットで調べると、録音年は
1983年らしく、1955年生まれのカークランドは28歳、
 当時よく一緒にプレイしていた本作品のリーダー、1956年生まれの
ロドニー・ジョーンズ
 
(g)は27歳の時のストレイト・アヘッドな作品である。

  
作品を聴き終えて感じたのは、ロドニー・ジョーンズのウエス・モンゴメリーに対する
 深い愛情と、その影響の強さだった。


  ウエスにならい、この作品では、すべてのプレイを親指で行い、名曲『ロード・ソング』を
 取り上げたのみならず、全12曲(合計約55分)の内、8曲ある彼のオリジナルの中にも、
 ウエスの曲に強くインスパイアされた曲がある。


  アドリブもスリル満点で、指弾きによる音の出の遅れもなく、よく歌っている。
  
  この後は、以前このページに書いたように、彼はよりプレイにファンキー度を高めてきた
 わけだが、20代後半の彼のストレイト・アヘッドなジャズ作品を、今リリースしたという
 ことは、よほどこの作品に思い入れがあったのだろう。

  音程の正確な
マーク・ジョンソンのベース、メリハリの効いたジェフ・テイン・ワッツ
 ドラムズ、そして色彩感豊かで、しなやかにスウィングするカークランドのピアノと、
 サイドマンも私好み。

  最近はびこる、冷たく、スウィングしないヨーロッパ・ジャズに飽きた人には、とりわけ
 このような
聴いて暖かな気持ちになる作品をお薦めしたい。

  最後に。 正直、録音面では、ギター(おそらくセミアコ)やピアノの音は最新録音の
 レヴェルとまではいえない。

  しかし、まあまあいい音ではっきり聴き取れ、それほど古さは感じられなかった。

   11月8日

 * 貴重な発掘音源だが、はたして、その内容は?

        1960年11月29日 NYC

   「キューン/ラファロ 1960」 Steve Kuhn , Scott LaFaro , Pete La Roca
                                          ポリスター/3D(P.J.L.)

  
スティーヴ・キューン
(p)が保管していたスコット・ラファロ(b)参加の世界初登場音源が
 売りのこのCD、はっきり言って、たいした内容ではない。

  音的には、まあまあ聴ける、全30分近くのデモ・テープが元だが、何しろ
ピート・ラ・ロカ
 含むトリオのコンビネーションがバラバラで、お互い手探り状態のプレイが続き、聴いている
 こちらが不安になる箇所があったり、曲のエンディングがしっかり決まらなかったりする
 代物なのである。

  たしかに、若くして事故死した、故・スコット・ラファロの貴重なプレイが聴けるのはうれしい。

  しかし、そのプレイも、彼にしては平均的なもの。(といっても、当時の他のベーシストに比べ
 優れた点は多いが)
 
  リーダーのスティーヴ・キューンのプレイは、「ソー・ホワット」に挑戦するなど、モード奏法を
 自分のものにしようと努力しているが、まだまだ未消化で、これではジョン・コルトレーンに
 クビにされ、マッコイ・タイナーにバンドのピアノの座を奪われたのもうなずける。

  また、ピート・ラ・ロカのドラムも、シンバル・ワークに工夫がなく単調で、とにかく全体に
 ビビリまくっていて、いつもの彼独特のスウィング感を生み出せていない。

  日本側の求めで、リリースされたらしいこの音源、スティーヴ・キューンにとっては、
 その存在さえ忘れていたもので、彼にとっては、若き日(22歳)の習作とでもいえるものだと
 思う。

  S・J誌における、この作品の評点は明らかに甘すぎる。(熱烈なラファロのファンは別として)
 

  キューン家のクローゼットに、もっと眠っていてもよかったのでは。

   11月4日

 * いやー、日本アマゾンには参った。

  実は最近チック・コリアの「エレクトリック・バンド」による『ライヴ・アット・モントルー2004』
 
輸入盤DVDを日本アマゾンのマーケット・プレイスで安く購入してみたところ、リージョン・フリー
 でなく(リージョン1と4)、私の再生機では再生できなかったのである。

  輸入音楽DVDが、必ずしもすべてリージョン・フリーでないことがわかり、勉強にはなったが、
 高い授業料だった。  残念!

  皆さんもご注意を。


   10月12日

 * ムチのようにしなるケニー・バロン(p)のソロを聴け!

 (今回は、いつもより、紹介のペースが早くなったが、あまりにいい作品だったので・・・。)

       1996年4月6日 ブラッドレイズ NYC 

 「LIVE AT BRADLEY’SU」  KENNY BARRON TRIO UNIVERSAL MUSIC
                                                   (輸入盤)
  
この作品、2001年発売の『ライヴ・アット・ブラッドレイズ』1996年4月3、4日録音 と
 同時期、同メンバーのライヴ作品である。

  しかし、本作品とは録音日も違い、収録曲も重なっていない。

  内容は、ジャズ・スタンダード中心の前作と比べ、本作は「YOU DON’T KNOW
 WHAT LOVE IS」の他は、セロニアス・モンク作の2曲とモンクにちなんだバロンの
 オリジナル曲もプレイしていて、ややアグレッシヴなものとなっている。
 (5曲目では、彼にしては珍しいストライド奏法を駆使した凄まじいソロ・ピアノが聴ける)

  長年のバロンのファンのため、ひいき目に見ているかもしれないが、この作品は本当に
 ジャズ・ピアノの本質をズバリ突いたいい作品だ。

  世にはびこるヨーロッパ産のピアノ・トリオものとは、表現力や腰の入ったしなやかな
 スウィング感のレヴェルが違う。

  彼のフレイズを形作る音は、その長短にかかわらず音楽的にすべて意味のあるものに
 なっているし、録音当時もう10年以上にわたる共演歴の、ベースの
レイ・ドラモンド
 ドラムズの
ベン・ライリーとのコンビネーションも申し分がない。

  どちらかというと普段はピアノ・デュオ中心で、あまりドラムを入れない「ブラッドレイズ」の
 ため、この作品でもベン・ライリーはそれほど大きな音でプレイしていない。
  でも、いろんな小技やソロの流れにセンスよく対応したバッキングで、トリオを軽快に
 スウィングさせている。

  レイ・ドラモンドのアクースティック・ベースも、アンプを使いながらも、ロン・カーターの
 ような不自然なベース音でなく、体格に似合った豊かな音で、気持ちのいいソロや
 ベース・ランニングを聴かせてくれる。

  ジム・アンダーソンによる録音も、ピアノの自然な響きがよく聴き取れ、何しろ全体の
 バランスがいい。


  この作品、ジャズ音楽の楽しさがすぐわかるため、ジャズの初心者には、うってつけの
 ものだし、長年のジャズ・ファンにとっても、スルメのように何度も味わえる作品だと思う。

  近年の、彼の「新主流派」風の音楽も、彼の作・編曲の素晴らしさが味わえていいのだが、
 やはり彼のピアノを堪能するには、このようなトリオものが一番である。

   10月7日

 * ウォレス・ルーニー(tp)の新譜は、胸キュン・サウンド

       2005年5月28日 NYC

    「MYSTIKAL」  WALLACE RONEY  HIGHNOTE RECORDS(輸入盤)

  この作品は、ほぼ1年前にこのページで紹介した「プロトタイプ」に続く、ハイノートからの
 ウォレスの新譜だ。  今度もいける。

  何しろ私の好きなマイルズ・デイヴィスの60年代後半と、ハービー・ハンコックの70年代
 初期のセクステットのサウンドとリズムが、まるごと味わえるのである。

 (とくにベスト・トラックをあげると、「ビッチズ・ブルー」・ライクな3曲目)

  ターンテーブルとヴォイスを除くと、もろにそのままという、このサウンドに、なぜ彼はこんなに
 こだわるのかという人もいるだろう。

  でも、彼はこのサウンドが本当に好きでたまらないのだろう。

  以前のような迷いもなく、ただひたすらこのサウンドの中で、彼は独特の半音階を多用した
 息の長いフレイズをトランペットで奏でている。

  もうマイルズの影響がどうとかという次元を超え、自信を持ってプレイしている様子が
 この作品からは聴き取れ、彼のこの行き方を、私個人はウィントンより断然支持したいと思う。

  弟の
アントワンのテナーは、より音色も含めショーターに、妻のジェリ・アレンのピアノは、
 よりフレイズと乗り方がハンコックに近づき、もうすごいことになっているこの作品。

  他の人が何と言おうと、最後に、{
「だって好きなんだも〜ん」by・リリコ}という一言で
 締めくくりたい。


 付記 
  なお、ベースの
マット・ギャリソン、キーボードのアダム・ホルツマン、ドラムズの
 
エリック・アレンらも、前作に引き続きリーダーの意図をくみ取ったいい仕事をしていることを
 強調しておきたい。

   ただ、録音に関しては、もっと鮮明さが欲しい気がした。


   
9月14日

 *ジャズ・ギターの王道を行くピーター・バーンスタイン(g)のトリオ・ライヴ

       2004年8月21日 NYC 「SMOKE」
                (この録音日は、DVDの最後の場面にクレジットされている)


 
 「LIVE AT SMOKE」 PETER BERNSTEIN TRIO 
                           MEL BAY PUBLICATIONS(輸入盤)

 
 MEL BAYが、またまたジャズ・ギター好きにはこたえられない作品(今度はDVD)を
 出してくれた。

  ピーターのギター、
ラリー・ゴールディングスのオルガン、ビル・スチュワートのドラムズという
 長い共演歴のある鉄壁のトリオによる「SMOKE」でのライヴ映像である。
  
  ピーターのことについては、ヴィーナスからのCDについて、昨年このページでレヴューを
 書いたので、よかったらそのレヴューを参考にしてもらえるといいが、このDVD、本当に
 ジャズ・クラブ「SMOKE」にいる気分で、リラックスした普段着姿の彼らの演奏が楽しめる。

  何しろ、プレイ中のトリオの前を、時々ウェイトレスが堂々と横切る、珍しい作品なのだ。
                                      (その凛とした姿も見もの?)


  全8曲(ピーターのオリジナルは3曲)、約90分にわたるトリオの演奏はよくまとまり、
 ピーターのJ・R・ザイドラーのフルアコから繰り出されるアドリブは、無駄な音がない
 何度も聴ける優れもの。
  すべての要素にバランスのとれた、ブルーズ感覚のある演奏は、今絶好調のようだ。

  付け加えると、このDVD、音質的にはいいのだが、やや全体の音量が不足気味なので
 DVDビデオかテレビのボリュームを上げる必要がある。

  また、このDVDは
「日本アマゾン」から購入したのだが、「日本アマゾン」は相変わらず
 しっかり確認もせず(本当は意図的?)、この輸入音楽DVDをリージョン・1として、
 日本では見られないと、誤った表示をしている。

  
このDVDはリージョン・フリーなのに。

  もし、このレヴューを見て購入を考えている人は、ご安心を。

  「HMV」との比較もどうぞ。


   
9月7日

 * これはマーク・ターナー(ts)の歌心が堪能できる好作品

       2004年 ローマ

      「HIKMET」  LTC+MARK TURNER 
                                 VIA VENETO JAZZ(輸入盤)

 
  L・・・PIETRO USSU(p)
   
・・・LORENZO UCCI(ds)
 
  C・・・PIETRO IANCAGLINI(b)

 
 近年は、ニュー・ヨークを離れ、ヨーロッパに活動の場を移している1965年生まれの
 
マーク・ターナー

  イタリア産のピアノ・トリオが、今や中堅になった彼をゲストに迎えて作ったこのCD、
 なかなかの好作品となっている。

  よくスウィングする、71年ローマ生まれのピアニストはじめ、トリオ全体もよくまとまっていて、
 よい意味でヨーロッパものらしくない暖かさが感じられるのも好印象だった。

  しかし、何といってもマーク・ターナーのテナー・プレイがこの作品の聴きもの。

  録音のよさもあり、ハード・ラバーのマウスピースを使った、太く豊かな独特の音色による
 スケールの大きな歌心が楽しめる。

  以前、ややもすると気になった、線の細さがあまり感じられないのは、ヨーロッパでの
 研鑽の成果だろう。

  彼のプレイが好きな私は、90年代から、リーダー作はじめ、サイドマンの作品も
 できるだけ聴こうと努力してきた。

  レニー・トリスターノ(p)の高弟、ウォーン・マーシュ(ts)のホリゾンタルなプレイを研究した
 彼のプレイは、独特の息の長いフレイズと高音域の正確な音程による音使いが、
 何とも言えず魅力的なのである。

  ことに、バラードのうまさは特筆すべきもので、現代のテナー奏者として、もっとも伸びしろの
 ある個性的なプレイヤーだといえよう。

  収録された全8曲のうち、4曲のメンバー作の曲も色彩感に富むいい曲で、その他の曲も
 テンポやコード進行に工夫をこらして演奏している。


  聴き終わった後に感じた「清涼感」も、この作品の魅力だ。


   8月19日

 * これは、知性的な「バトルもの」ライヴ作品だ

       2005年4月1,2日 Smoke NYC 

   『THE BATTLE』 ERIC ALEXANDER & VINCENT HERRING
                                 HIGHNOTE RECORDS(輸入盤)

 
 1968年生まれのアレキサンダー(ts)と1964年生まれのハーリング(as)のバトルが
 売り物のこのCD、
熱いだけでなく中身の濃いライヴ作品である。

  バトルといえば、「ジーン・アモンズとソニー・スティット」、「エディ・ロックジョー・デイヴィスと
 ジョニー・グリフィン」など2テナーのものが多いが、この作品はテナーとアルトによる
 バトルものとなっていて、少し趣が異なっている。

  正直にいって、バトルものには、どうしても感情過多や演出過多になりがちなものが多い。 
 (とくにライヴや同じ楽器の場合)
 
 
 しかし、この作品の二人は、熱くなりながらもアドリブ・フレイズや全体の構成に対する
 集中を最後まで欠かすことなく、きわめて音楽的な演奏を展開している。

  年長のハーリングは、80年代後半のナット・アダレイ(cor)との共演、アレキサンダーは
 ’92年のデルマーク・レーベルからの作品その他より、2人共、着実に音楽的成長を
 遂げてきた。

  この二人、よく聴くとアウト・フレイズの使い方や歌い方に共通点があり、何しろ全音域に
 わたる音程の正確さと、ふくよかな楽器本来の音がとにかく心地よい。
 
  全6曲、ファストから、ミディアム、スローまで、テンポの違う良曲(とくにウエスの
 「ロード・ソング」)をそろえ、
カール・アレンのバネの効いたドラミング、マイク・レドン
 的確なバッキングとアグレッシヴなソロも聴きものの、この作品。

  近頃希な、最後まで飽きることなく聴くことの出来る名作と断言したい。

   8月11日

 * 今回はトミー・フラナガン(p)、ど真ん中の直球勝負だ!

       1977年7月13日 スイス (演奏だけでは約50分)

 「TOMMY FLANAGAN TRIO’77」(トミー・フラナガン・トリオ’77) 
 {キーター・ベッツ(b)、ボビー・ダーハム(ds)}ビデオアーツ・ミュージック(7月27日発売)

  もっとも「ジャズらしいジャズ」をプレイするトミー・フラナガン。 

  トミフラの呼び名で日本でも馴染み深い彼こそ、私にとってジャズ・ピアノにおける第一の
 アイドルである。

  残念ながら、もう亡くなってしまったが、最後までプレイに大きな乱れも見せず、彼の残した
 数々の作品(サイドマンでのものも含め)の多くは、今なお何度聴いても飽きることがない。

  今回紹介する新譜DVDは、1977年、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの
 ライヴ映像で、ノーマン・グランツがプロデュースしたものである。

  この時の演奏は、同内容のもの(曲順は違う)がCD化され、すでに聴いていたとはいえ、
 やはり映像があると情報量も格段に多く、楽しみもより増してくる。

  ベテランらしい落ち着きと、音楽に対する誠実さを持って、速いテンポの曲ではグイグイと
 スウィングし、バラードでは気品溢れるプレイを繰り広げるなど、文句の付けようがない。

  カメラ・ワークはやや地味だが、フラナガンの手元ははっきり見ることができるし、とりわけ
 CDではあまり面白くなかったボビー・ダーハム(ds)のドラム・ソロは、映像で見ると興味深く、
 映像の力というものを再確認した。
 

  音的にも問題なく、とくにピアノの音は、最近再発された名作CD
『トミー・フラナガン・
 プレイズ・
ザ・ミュージック・オブ・ハロルド・アーレン』(’78)より自然な音で聴くことができ、
 同じく’78年の隠れた傑作CD
『サムスィング・バロウド・サムスィング・ブルー』と並び、
 このDVDも何度も見たい宝物になりそうである。


   
7月22日

 * 1976年の、二つの宝物的ライヴ映像

        1976年7月20日 イタリア (合計62分)

 「CEDAR WALTON QUARTET」 CEDAR WALTON  TDK(輸入盤)

{シダー・ウォルトン(p)、ジョージ・コールマン(ts)、サム・ジョーンズ(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)}


         1976年7月20日 イタリア (合計51分)

 「HORACE SILVER QUINTET」 HORACE SILVER  TDK(輸入盤)

{ホレス・シルヴァー(p)、ボブ・バーグ(ts)、トム・ハレル(tp)、スティーヴ・ベスクロン(elb)、
エディ・グラッデン(ds)}

  今回は、久しぶりに輸入DVD(どちらもリージョン・フリー)を紹介したい。それもまとめて2枚。

  共に同じ日の、「ウンブリア・ジャズ・フェスティヴァル」(イタリア)で収録のライヴ映像で、
 内容もいい。

  
『シダー・ウォルトン・カルテット』は、1975年の名作『イースタン・リベリオン』{私のサイトの
 「旧譜その他」のページで紹介している}と同じメンバーによる、充実したプレイ続出の
 ライヴ映像である。
  収録曲には、「ボリビア」、「ファーム・ルーツ」という、シダーの名曲もあり、マニアならずとも
 見逃せない作品といえる。
  特に、
ジョージ・コールマン(ts)の、循環奏法をうまくアドリブ・フレイズの中にとりいれた
 プレイは必見、必聴だ。

  一方、
『ホレス・シルヴァー・クインテット』は、フロントの、若き故・ボブ・バーグ(ts)と
 
トム・ハレル(tp)という、その後のジャズ・シーンで活躍する二人のデビューの頃の演奏を、
 映像で見ることのできる作品として、とても貴重なものである。

  
今は亡きボブのブチ切れプレイや、トムの歌心溢れるフレイズのみならず、広い音域に
 渡って、よく音が出ているトランペット・プレイの素晴らしさが印象的で、もちろんリーダーの
 汗だくの熱演も、この作品の見物といえよう。
  彼のオハコ「ソング・フォー・マイ・ファザー」も演奏されていて、盛り上がりに一役かっている。

  共に国内盤は出ないようだし、値段もまあまあ、そしてリージョン・フリーということもあり、
 この記事を読んで興味を持たれた方は、日本アマゾンかHMVで購入できるため、
 注文されるといいだろう。

  フュージョン全盛期における、メインストリーマー達の、意地の一撃ともいえる演奏が
 味わえると思う。

  ちなみに、音声はモノラル収録だが、音質、画質共に水準以上である。

  ところで、日本アマゾンの
輸入音楽DVDのリージョン・1表記のことだ。
 何度これで購入を躊躇したことか。 (値段が国内盤と段違いなのに)

  でも、今まで輸入音楽DVDで、リージョン・1(アメリカ、カナダ向け)のものを
 見たことがないところをみると、
この表記は信用できないな
 (下記のブランフォード・マーサリスのDVDのように、日本盤が出てから、ようやく
 リージョン・フリーに訂正したところをみても)


   7月15日

 * 「ステップス・アヘッド」ファンの方、お待ちどおさま

        1999年7月 ヨーロッパ

 「HOLDING TOGETHER」  STEPS AHEAD   NYC RECORDS

  聴きたくても、マイク・マイニエリ(vib)の個人サイトからでしか購入できなかった、
 1999年録音の2枚組ライヴ作品が、ようやくアマゾンやHMVで購入できることになった。
 (調べてみると今年の5月17日から)

  私のように英語でのやりとりや、個人情報の流出を嫌う者にとって、この個人サイトでしか
 買えないというシステムには、以前から大いに不満があった。

  今でも、マリア・シュナイダー(arr)やマシュー・ギャリソン(b)、ジェフ・バーリン(b)、
 ジム・ホール(g)等は、このシステムにこだわっているようだけれど。

  ミュージシャンにとっては、中間搾取なしで、直接買いたい人と取引できていい
 とでも考えているのかもしれないが、これでは私のような者は音源を聴くことができない。

  やはり、もっといろいろな購入手段があってしかるべきだと思うのだが、どうだろう。

  まあ、この話はこれまでにして、肝心のこの作品についてである。

  ズバリ言って、この作品、故・
ボブ・バーグ(ts)とイリアーヌ・イリアス(p)の極上プレイが
 聴ける
「優れもの」である。

  もちろん、リーダーのM・マイニエリ、
マーク・ジョンソン(b)、ピーター・アースキン(ds)の
 プレイも、ライヴということもあり躍動感溢れるノリのいいものなのだが、なにしろ
 ボブ・バーグとイリアーヌ両者の久々のストレイト・アヘッドなジャズ・プレイが素晴らしい。

  収録曲には、マイニエリ(2曲)の曲だけでなく、故・ドン・グロルニック(2曲)や
 イリアーヌ(2曲)、ボブ・バーグ(1曲)等のオリジナル曲もあり、各曲も10分近くのものが
 多く、たっぷりと各自のアドリブ・ソロが楽しめる。

  個人サイトからではない購入手段を待ち望んでいた人はもちろん、そうでない人にも、
 「ステップス・アヘッド」のベスト・プレイが聴けるこの作品、お薦めである。
 


   6月30日

 * 実力派デイヴ・ストライカー(g)の、久々のストレイト・アヘッドなカルテット作

        2004年11月6日 NYC

      「BIG CITY」  DAVE STRYKER    MEL BAY RECORDS

  1957年オマハ生まれのジャズ・ギタリスト、デイヴ・ストライカーは、野武士の雰囲気を
 持つ実力派である。 (エフェクターに頼らないのもその理由)

  ’89
『ファースト・ストライク』以来、マノロ・バドレーナ(per)との「トリオ・ムンド」や、
 
スティーヴ・スレイグル(as、ss、fl)との双頭バンドの作品も入れると、今まで20枚近くの
 作品を、彼はリリースしている。

  ギブソン ESー347のセミアコを使う、ブルージーかつ、モード奏法にも長けた
 ハード・ボイルドなギタリスト、というのが私の彼に対する印象である。

  音楽性も、スティープル・チェイス・レーベルの諸作品を聴くと分かるように、トリオから
 ビッグ・バンド編成のものまで幅広く、若い頃に共演した
ジャック・マクダフ(org)や
 
スタンリー・タレンタイン(ts)の影響もあり、ブルーズ感覚溢れた白人ギタリストで、
 私好みのミュージシャンの一人である。

  また、アドリブのみならず、プレイヤーがプレイしてみたいと思わせる曲を書く
 作曲家としても、いいセンスの持ち主である。

  さて、今度の
ヴィック・ジュリス(g)に続くメル・ベイ・レコーズからの、この
 ストライカーの新譜は、久々に彼のストレイト・アヘッドなジャズ・プレイが堪能できる
 作品であり、メル・ベイ・レコーズというレーベルは、なかなかジャズ・ギター好きの
 喜ぶツボを知っている。

  カルテット編成で、リーダーのみならず、
デヴィッド・キコスキー(p)、エド・ハワード(b)、
 
ヴィクター・ルイス(ds)らのプレイも素晴らしい出来で、久しぶりにジャズらしいジャズを
 聴いた気分になった。

  ストライカーのギター・プレイについては、比較のため、同じオマハ生まれの
 ヴィクター・ルイス入りのカルテット編成の名作、’91
『ギター・オン・トップ』も、
 続けて聴いてみることにした。

  結論としては、彼は、
いい意味での音楽的成熟をしているということである。

  パット・マルティーノばりの、速射砲のような小さい音符の連続プレイは、以前ほどでは
 ないにしても、一音一音に込めたニュアンスは、より豊かになり、クリシェに頼らない
 プレイにおける瞬間の反応も、より意外性を感じさせるようになっていた。

  録音も、各楽器の迫力ある音が聴き取れる優れもので、ストレイト・アヘッドなものを
 好むジャズ・ファンには、大いにお薦めの1枚である。

  ちなみに 7曲の収録曲の内訳は、スタンダード3曲、ストライカーのオリジナル4曲と
 なっていて、とりわけ、ほとんどの曲でソロをとる
デヴィッド・キコスキーのスケールの
 大きいノリノリのプレイは、彼の近年のリーダー作をも上回る出来を示していて、
 彼に対する評価を、さらに高めるものといえる。


   
6月10日

 * ウェイン・ショーター(ts、ss)の新譜「ビヨンド・ザ・サウンド・バリアー」は?

        2002年11月〜2004年4月 北米、ヨーロッパ、アジア

 「BEYOND THE SOUND BARRIER」  WAYNE SHORTER QUARTET
                            ユニバーサル・クラシック&ジャズ (日本盤)

 
 この新譜、2001年7月のヨーロッパでのライヴ録音「フットプリンツ・ライヴ」の続編
 ともいうべきライヴ録音集である。

  奇跡的な出会いともいえる4人(
ウェイン、ダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、
 
ブライアン・ブレイド)の、音楽的交流の深まりが、この作品の聴きどころといえ、
 とくに、ピアノのダニーロ・ペレスの成長には目を見張るものがある。

  前のライヴ集と比べ、ウェインと同じ高レヴェルのアドリブを、同時に演奏する局面も増え、
 それも自然に曲中に溶け込んでいて、彼に触発されたウェインの喜びの様子が、
 そのプレイ中の音からも感じられるくらいだった。

  前のライヴ集は、ウェインが60年代から書いてきた楽曲を、新たなメンバーによる
 自由な解釈で、いかに新鮮なプレイをするかということが、主なテーマとなっていた。

  それに対し、今回のライヴ集は新曲(4曲)も多く、より進化したウェインのグループの
 音楽が展開されていて、全体にリズミカルな楽曲が多く選ばれている。

  とくに、気に入ったのは1,5,6,7曲目で、いずれの曲もウェインの自信溢れる
 吹っ切れたプレイ(とくにソプラノ)が聴き取れ、長年にわたるウェイン・ファンとしても
 大満足の出来だった。
 
  今後も、ウェインの
「クリエイティヴ・パワー」は、ますます、その力を増して、
 古い「音の壁」を破り、未知の領域にまで突き進んで行きそうである。

  最後に。 気になる日本盤だけに付いているボーナス・トラック(6分24秒)のことを。

  内容は、コレクティヴ・インプロヴィゼーションによる、やや単調なミディアム・テンポの
 近代フランス音楽のサウンドが聴ける曲とでもいうべきもの。
  ぜひ聴いて欲しいと、お薦めできないのが残念である。

  値段を比較すると、海外盤かな。 (マニアの人は別として)

 追記
     このCDを聴く際には、突然のブライアン・ブレイドによるドラムの爆音に、ご注意を。
     あまり、ボリュームを上げて聴いていると、心臓が飛び出す恐れあり。
     

   6月4日

  * より蒸し暑くなるかもしれないが、ダグ・カーン(P、Org、Key)
    
「ブラック・ジャズ・レーベル」での4作を聴き比べてみた


        1971年 LA
     「INFANT EYES」  DOUG CARN   P-VINE RECORDS (国内盤)

         1974年 NYC
    「ADAMS APPLE」  DOUG  CARN   P-VINE RECORDS (国内盤)

  まず、今年になって全20枚リイシュー(紙ジャケ、リマスター)された、
 この
「BLACK JAZZ」というレーベルのことである。

  ジャケットも黒と白中心で、いろんなレヴューやライナー・ノーツを読むと、
 スピリチュアル・ジャズだとかアフロ・アメリカンとしての自我に目覚めた黒人のための
 インディペンダント・レーベルだとか、いかにも物物しい。

  それはそれとして、私は純粋にジャズ音楽として、このレーベルを代表すると
 いわれるダグ・カーンの4作をすべて聴いてみることにした。   

  これが、なかなかいける。

  ジャズとしても、リーダーはもちろん、それ以外のホーン奏者によるアドリブもバッチリで、
 変化に富んだアンサンブルも聴け、最後まで飽きさせないのだ。

  60年代のコルトレーンや新主流派の音楽を好きな人なら聴いて損はない。
 何しろ、ウエイン・ショーターやコルトレーン、マイルズ・デイヴィス、リー・モーガンらの
 名曲に歌詞を付けて演奏しているのである。

  ピアノはマッコイ・タイナーに、オルガンはラリー・ヤングに強く影響を受けた、肝心の
 ダグ・カーンのプレイも水準以上。
  1作目から3作目は、当時の妻ジーン・カーンのスケールの大きな、精神を高揚させる
 ような歌唱が特徴的だが、4作目の「アダムズ・アップル」になると、自信に満ちた
 ダグ・カーンのピアノやオルガン・プレイの方が目立つようになる。

  個人的には、リラックスして聴ける1作目の
「インファント・アイズ」と、サウンド・バランスの
 よさやファンキーな乗りのよさで、4作目の
「アダムズ・アップル」が気に入った。
 
  もちろん、2作目
「スピリット・オヴ・ザ・ニュー・ランド」と、3作目「リヴェレーション」
 サイドマンのソロに聴き所があり、余裕があればこれらも聴いてみられるとよいと思う。

  「ストラタ・イースト・レーベル」と並び、70年代前半のジャズ・シーンの一面を見事に
 表している「ブラック・ジャズ」というレーベル、他にも面白い作品がありそうである。

  
最後に。  「アダムズ・アップル」という4作目のタイトル曲だが、これは
 ウエイン・ショーターの曲ではなく、ダグ・カーンのオリジナル曲である。
  また、ダグ・カーンは、最近もカーティス・フラー(tb)の新しいCDにクレジットされていて、
 今でも元気に演奏しているようだ。
 


   5月25日  下記の『モメンタム』について追記

   5月19日

  * ジョシュア・レッドマン(ts、ss)の”勢い”を聴け! 

         2005年 NJ、CA、NY

     「MOMENTUM」 JOSHUA REDMAN ELASTIC BAND 

     NONESUCH(輸入盤)→6月8日に発売の日本盤との値段差をよく考えよう

  エラスティック・バンドによるジョシュアの新譜である。
 
  近年の彼の演奏は、いろいろなライヴ映像でも体験していたが、
これは乗れるCDだ。
 吹っ切れた感じの彼のテナーとソプラノのプレイは輝きを増し、作り出すサウンドも
 新鮮なグルーヴ感に満ちたものになっている。
 (このCDでは、ほとんどの曲を作曲し、
サム・ヤヘル(org、key)と共にアレンジもしている)、
 
  とりわけ、
ジェフ・バラードブライアン・ブレイドが曲によって交代で叩き出すドラムの
 ファンキーなリズムは、これまでになく切れ味がよく、共同プロデューサーのサム・ヤヘルの
 オルガン・プレイやシンセの使い方も、センス抜群の洗練されたもの。

  ゲスト参加のカート・ローゼンウインケル(1曲)ピーター・バーンスタイン(2曲
 ギター・プレイも曲想に合った優れもので、この作品を推薦せずに、今月は何を推薦するか、
 というくらいの高レヴェルの作品である。

  各楽器の音の分離もよく、音がスピーカーの前に飛び出してくるような録音のよさも
 特筆すべきものだ。

  ただ惜しむらくは、合計時間、約57分で13曲収録と、数曲の短い曲があり、
 それらの曲はどうしても欲求不満を感じさせた。

  この作品でも1曲に参加している
ニコラス・ペイトン(tp)の近作「ソニック・トランス」
 (何と18曲収録だ)にもいえるが、短い曲が多すぎると集中力も途切れがちとなり、
 じっくりアドリブを聴く楽しみもなくなってしまう。 

 
 追記  その後、今月のSJ誌を見ると、このCDのレヴューが、同じジョシュア関連で
    
 『SF JAZZ COLLECTIVE』と一緒に載っていた。
     実は、このCDも同時に購入していて、その音も聴いていたのだが、
     評者の評価と私の評価は正反対である。
      『SF JAZZ COLLECTIVE』は、ライヴ録音にもかかわらず、きれいに
     まとまりすぎ、各ミュージシャンのソロにも、ハプニングが感じられず、
     全体に萎縮した演奏内容だったからである。
     
      また、ギル・ゴールドスタインのアレンジも、彼の本領を発揮したものとは
     とうてい言えないありきたりなもの。(ついでにいうと、オーネットの曲だからといって
     何か特別視する昨今の傾向には、違和感を覚える)

      「船頭多くして船山へ上る」のことわざが、ぴったり当てはまる作品である。

      K氏の感性に(?)だ。


   5月13日
            
  * 「これはいいかも」めジョナサン(30代前半のモダン・ジャズ・ギタリスト)の
     見逃せない会心作


         2004年10月13日  NYC

   「NEW FOR NOW」  JONATHAN KREISBERG TRIO
                                CRISS CROSS JAZZ 

  昨年発売されたクリス・クロスからの一枚目のCD「NINE STORIES WIDE」
 いい内容だったこともあり、
ジョナサン・クライスバーグ(g)の2枚目のリーダー作が
 出ると知り、さっそく注文して聴いてみた。

  思った通り、このギタリスト、要注目だ。

  一枚目のラリー・グレナディア(b)とビル・スチュワート(ds)の有名どころに代わり、
 今度のトリオ(彼はトリオに、こだわりがあるようで、クリス・クロス以前のCDでも
 同じ編成)では、最近ピアニストとしてよく名前がクレジットされているオルガンの
 
「GARYVERSACE(ゲイリー・ヴェルセイス)」と、若手のドラマー
 
「MARK・FERBER(マーク・ファーバー)」というメンバーと一緒に演奏している。

  NYに生まれ、マイアミで育ち、そしてNYと所を変え、それと共にロック〜フュージョン
 〜ジャズと、演奏する音楽も変遷して、今もなお前進を心がける彼。
 本当に勉強家なのである。

  前作のライナー・ノーツによると、ギタリストとしては、J・ホール、P・マルティーノ、
 A・ホールズワース他、多くのコンテンポラリー・ギタリスト。 
 サックス奏者としては、J・コルトレーン、C・パーカー、マーク・ターナーなど。 
 ピアニストとしてはK・ジャレット、H・ハンコック、B・エヴァンズ、L・トリスターノ、
 などの音楽をよく研究して自分のプレイに生かそうとしているようだ。
 (こうでなくちゃ。同じギタリストだけ研究していればすむ時代じゃないことは、私も同感。)

  そのプレイは、表情豊かで音楽性も高く、このCDでもギブソンESー175を使って、
 5拍子や7拍子の曲においても、きわめてスムーズかつ、ドライヴ感のあるアドリブを
 展開している。    (全8曲のうち、4曲が彼のオリジナル曲)

 
  
特にいいのは、オルガンのゲイリー・ヴェルセイスのプレイとも共通している、
 
音色の変化の巧みさと、細かいところまで行き届いたフレイズのアーティキュレーション
 (
音に付けるアクセントやスタッカート、レガートといったニュアンスのこと)
 
の見事さである。
 ここまでのものは、最近のジャズ作品では、なかなか聴くことができない。
  
 
 比べて悪いが、同じクリス・クロス・レーベルのギタリスト、アダム・ロジャーズの新譜
 
「APPARITIONS」には、これらが欠けている。
 ソロが一本調子なのだ。   期待はいつもしているが・・・。
 クリス・ポッターのコンスタントに高水準のソロや、アダムの一風変わった
 オリジナル曲は面白いので、聴いて損はないけれど。

 
 それはさておき、トリオで重要な役割を果たす、ドラムズのマーク・ファーバー
 ドラミングも、一本調子でなく曲想に合ったよく考えられたもので、トリオとしての
 まとまりのよさにも感心させられた。


  最後に。  よりこのCDを楽しみたい方には、アンプのベース音のつまみを、
 プラス方向に少し動かすことを、お薦めしたい。
 より、オルガン独特のベース音の、動きの面白さが味わえると思う。


   5月8日

     いい作品を作ったVIC JURIS(ヴィック・ジュリス)氏、おめでとう。

         2004年?   NYC

   「A SECOND LOOK」  VIC JURIS    MEL BAY RECORDS

  このCD、あるブログのクロスレビューのリストに載せてあったもの。

  VIC JURIS(g)という名を見てビックリした私は、さっそくネットで注文して
 聴いてみた。


  これがよかった。  今までの彼の最高作といってもいいものだ。

  彼のことは、ほぼ同年代(1953年生まれ)で、同じギタリスト(?)ということもあり、
 70年代からリッチー・コール(as)のグループにサイドマンとして参加していた頃より
 注目していた。
  近年では、デイヴ・リーブマン(ts、ss)のグループにも在籍し、何枚かのCDで
 その音が聴ける。

  90年代半ばになると、「スティープル・チェイス」や「ダブル・タイム」、その他より、
 リーダー作も、ほぼ年に一枚のペースで出していて、その数も10枚近くとなっている。

  でも、大きくブレイクしない。 (世間的には)

  顔と同じく(失礼)、プレイにも、やや地味なところがあり、ハッタリを嫌うから
 かもしれない。   (90年代の頃は、エフェクターの使いすぎで、
 アドリブ・フレイズの細かいニュアンスを、十分に味わうことが難しかったこともある)

 
 このCDにコメントを寄せている、ジミー・ブルーノ、ジョン・アバークロンビー、
 ピーター・バーンスタインの賞賛の言葉から分かるように、ギタリスト仲間や
 ジャズ・ギター・ファンには、彼の素晴らしさは、音やその音楽を聴くと
 すぐに感じとれるのだが・・・。
  
  私自身、昨年発売された「ホワイル・マイ・ジェントリィ・ウィープス」(2002年録音
 スティープル・チェイス)まで、ずいぶん期待を込めて彼の作品を聴いてきた。
  でも、彼の真価を表す決定的な作品はこれだ、と言えるものがなかったのも事実。 

  ところが、今度のメル・ベイ(ギターの教則本で有名)で初めて発売されたこのCD、
 いい出来なのだ。 (全10曲、計約62分)

  テナー(2曲)、ソプラノ(1曲)で加わる
デイヴ・リーブマンも充実したソロを展開し、
 単調になりがちなギター・トリオという形ながら、演奏されたスタンダード他、
 オリジナル曲(5曲)も、4ビートだけでなく、ラテン・リズムや「コルトレーン・チェンジ」を
 曲の中に組み込んだりするなど(9曲目)、最後まで飽きさせない工夫がなされている。
  
  肝心の彼のギター・プレイについては、ウエス、バレル、ジム・ホール、
 パット・マルティーノなどから、デイヴ・ストライカーまで、多くのギタリストの
 影響をうまく自分の中に取り入れ、ハーモニックス奏法、コード・ソロにおける技術も
 申し分のないもので、グイグイそのプレイに引き込まれる。
  エレクトリックとアクースティック・ギターの使い分けも効果的で、音数を整理し
 効果的に言うべきことを言い切るスタイルに変化しているのにも好感がもてる。

  また、このCDではウォームなギター・トーンが、録音技術の冴えもあって、たっぷりと
 聴けることもあり、以前の線の細さを感じることもない。

  マイケル・ブレッカーなどとも共演している、音程が正確でアドリブもうまいベースの
 
ジェイ・アンダーソンや、近作でヴィックと共演しているドラムズのティム・ホーナー
 音もバランスよく聴け、聴き疲れるということもなかった。


  ようやく、彼の代表作といったものが生まれたようで、長年のファンの一人としても
 嬉しい気持ちでいっぱいである。

   5月2日

   * チック・コリア(p、key)、78年の隠れたる傑作が、世界初CD化

         1978年 L.A.

   「SECRET AGENT シークレット・エージェント」  CHICK COREA 
                              ユニバーサル クラシック&ジャズ 

  チック・コリアといえば、今や、大物ジャズ・ミュージシャンの一人となったため、
 このページに載せるのはどうかな、と思われるかもしれない。

  でも、3月30日発売済みのこのCD、世界初CD化であり、内容もいいのである。

  70年代のチックの音楽的変遷とその成果は、今振り返ると、本当に素晴らしい
 もので、「リターン・トウ・フォーエヴァー」はじめ自己名義の数々の作品も、
 CD化されたもので聴くと、あまり古さといったものを感じさせない。

  全体に漂う、ファンタジーとラテン・フレイヴァー、そしてウォームな感じが、
 なんともいえずいいのである。  (特に70年代後期)
 
  この作品は、1978年に録音され、チックのリーダー作としては、「フレンズ」に
 続いて発表されたもの。
  特徴はというと、新しくサイドマンに採用した
バニー・ブルネル(elb)と
 
トム・ブレックライン(ds)のリズム・コンビが、躍動感のあるリズムを生み出しており、
 知らず知らず、手でリズムを取ってしまう良曲も多い。 (全9曲)

  キリリとしまったブラスや、曲想にあったストリングスの使い方も巧みで、
 チック個人のキーボード・ソロも相変わらずの切れの良さ。

  また、私の好きな故・
ジョー・ファレルの内容豊かなアドリブも、
 「グレーブ・ストリート・ブルース」のテナー、「スリンキー」のフルート、
 「フィックル・ファンク」のソプラノと、中味の濃いソロで聴くことができ、曲間に
 短い曲を入れ込んだりせず、各曲ごとに独立して聴けるため、
 不満を覚えることもない。

  たまには、チックの70年代の作品の数々を聴くのも、おつなものだった。

  (実は、昔買ったポリドール・レーベルの日本盤LPは、カッティング・レヴェルの
 低さと音の迫力のなさで、あまり好んで聴く気になれず、今回まとめてCDに
 買い直したのである)


  追記 

  チック続きとなるが、昨年買いそびれた、エレクトリック・バンドによる
 
「トゥ・ザ・スターズ」を、ツアー・エディションとしてボーナスCD付きで
 最近発売されたもので購入した。

  4曲(約51分)のボーナス・トラックが、思いの外いい出来で、これは見逃せない
 演奏だと思った。すでに、本編を買っていた人も、聴いてみられることをお薦めしたい。
                                       (限定盤らしいが)
  本編とツアー・エディションについては、相互リンクをしている工藤さんのサイト
 
「ジャズCDの個人ページ」
詳しいレヴューが載っているので、どうぞ参考に。

  ジャズCDの個人ページ  (ページの一番下までスクロールを)


   4月27日

  * 熱烈なスティーリー・ダン・マニアの方

         2002年7月23日 

     「PIANO JAZZ」  MARIAN McPARTLAND/STEELY DAN 
                               THE JAZZ ALLIANCE

  日本盤は当分出そうもないこのCD、スティーリー・ダン・マニアの方限定アイテム
 言える。

  デビュー当時から、LPはじめ、CD・BOXセットも聴き、関連本も読んできた、
 スティーリー・ダン・ファンの私は、このCDの発売をネットで知り、マウスを持つ手を
 ふるわせながら、さっそく注文した。

 全部聴いた上での感想はと言うと、「やや、がっかり」の一言。

  いくら、ファン向けの要素が強いとはいえ、ラジオ番組から音源をとったこのCD、
 肝心の演奏が今一歩で、音もそれなりのもの。

  
中身は、大ベテラン、女性ピアニスト、マリアン・マクパートランドの司会による
 「ピアノ・ジャズ」というラジオ番組での、
ドナルド・フェイゲン(vo,p)
 
ウォルター・ベッカー(g)の二人との、会話と演奏のトータル約53分。

  でも、半分は会話(英語のリスニング能力の違いで、楽しみが左右されるのでご注意)で、
 演奏はというと、計8曲あるが、時間が短めのため、どうしても不満が残ってしまう。
  しいて、このCDの聴きものというと、
ジェイ・レオンハート(b)キース・カーロック(ds)
 加えた「Josie」、「Chain Lightning」、「Black Friday」等の曲があげられるが、
 これなら数年前のNYでのライヴ作品(VHS)の方が、より迫力のある演奏が聴ける。

  「スティーリー・ダン」の中心メンバーのこの二人が、50年代やそれ以前のジャズを好み、
 影響を受けていることは、マニアの方はよく知っていることで、このCDにおいても
 エリントン関係の曲を数曲採り上げ、マクパートランドとフェイゲンによるピアノ・デュオもある。

  でも、残念ながら、4ビートの曲では、あまりスウィングしていないし、技術的にも今一歩。

  まあ、「スティーリー・ダン」の場合、彼らのソロ・プレイよりも、曲の面白さ
 (トリッキーなコード進行やシニカルな歌詞)に重点があり、後になると、
 ほとんどスタジオ・ミュージシャンを取っ替え引っ替え使って、作品を作ってきたことから、
 それほど意外でもなかったが・・・。

  正直、最新作まで、すべて聴いた上で言うと、「スティーリー・ダン」の音楽的ピークは、
 やはり
「エイジャ」と言わざるを得ない。
  この頃の彼らの音楽は、時を超えて永遠に残る「宝物」である。
 フェイゲン名義のリーダー作では、何と言っても
「ナイトフライ」だろう。

  私自身、曲作りにおいて、多くの影響を受けた。

 追記  ドナルド・フェイゲンのピアノ・デュオというと、後で、93年に
     「HOMESPUN・VIDEO」より発売された
『ドナルド・フェイゲン・コンセプツ・
     フォ・
ジャズ/ロック・ピアノ』(70分)というヴィデオを買ったことを思い出した。

      私の好きなジャズ・ピアニスト、
ウォーレン・バーンハートをホストに迎えた
     教則ヴィデオとも言うべきもので、スティーリー・ダンやソロ作品の作曲と
     編曲のプロセスを、実演を通して解明したもの。 演奏曲のスコアも付いていて、
     彼の音楽性の理解には欠かせないものだと思う。。


   4月8日

  * ウエイン・ショーター・ファンには、たまらん一枚

         1985年 チューリッヒ スイス

     「ZURICH 1985」  WAYNE SHORTER QUARTET  MEGADISC

  「サイバーシーカーズ」(マイルズ・デイヴィス、ジャズ&フュージョン中心のネット・ショップ)
 の今回の新入荷の作品の中で、この
ウエイン・ショーター・カルテット「ZURICH 1985」
 
という作品、長年のウエイン・ファンの私としては、見逃せないものだった。

  これがいい。

 
 とにかくウエインが元気溌剌で、ウェザー・リポート時代からは、考えられない
 吹きまくり状態。  (よほど、欲求不満がたまっていたようだ)
 1985年という年は、ウェザー・リポートが実質的に解体した頃で、この年にウエインは
 11年ぶりのリーダー作
「アトランティス」を発表している。

  ほぼ同時期の、このライヴ作品も、「アトランティス」の収録曲から、8曲のうち5曲を
 演奏していて、両者が密接な関係にあることがうかがえる。

  サイドマンは、トライバル・テックの一員として有名な
ゲイリー・ウイリス(elb)、
 チック・コリアとの共演で名をあげた
トム・ブレックライン(ds)、そして
 キーボードの
トム・カニングとなっていて、それほど大メジャーの人達ではないが、
 サウンドはよくまとまっていて、躍動感も十分で、ウエインのソロのバックとしては
 最適のプレイをしている。

  気になる音質面は、10点を満点とすると、8点くらいのレベルで、20年前の録音
 ながら、それほど聴きづらくなく、特にウエインの個性的なソプラノとテナーの音が、
 力の入ったソロとともに、満喫できる。

  このあたりから、90年代後半のウエインのグループによる演奏は、本当に
 曲とソロの両方とも私の好みで、2001年から最近の、やや緊張感過多で聴き疲れ
 するニュー・カルテットより、正直に言うと、個人的評価は高い。

 
  でも、サイバーシーカーズから同時入荷した、DVD−R
「BALTICA 2002」
 例外的にウエインが乗りに乗り、またグループとしても充実したプレイが80分に
 わたって味わえるので、お薦めである。
 画質もGOOD。
 

   4月7日

  * 今年のグラミー・受賞作を斬る

          2003年11月18,19日 NYC

     「ILLUMINATIONS」  McCOY TYNER   TELARC

  S・J誌4月号の世界のジャズ・ニュースのページを御覧になった方はお分かりのように、
 今回のグラミー賞ジャズ・コンボ部門の受賞作品は、
マッコイ・タイナー(p)の、
 この2004年発売の、
「イルミネイションズ」(テラーク・レーベル)に決まった。

  あれっ、こんな作品出ていたかな? いったいどんな内容の作品だろう?
 聴いてみたいなと思った方、ちょっとお待ちを。   

  このCD、(といっても、念のため、私はSACDとのハイブリッドのUS盤をネットで
 購入したが)、はっきり言って、私には、それほどのものとは思われなかった。 
 (感じ方は、人それぞれではあるが・・・)
 せいぜい、五つ星を最高とすると、
三つ星半といったところか。

  事実、発売時のいくつかの日本のジャズ雑誌での扱いも小さく、それほどの評価でも
 なかった。

  ところが、この作品が、アメリカではグラミー受賞作なのだ。
 長年にわたるマッコイのジャズの演奏活動に対する、功労賞的な意味もあるのだろうか。

  アメリカのジャズ・リスナーの皆さんは、どのような耳をお持ちなのだろう?

 ずっと以前では、アメリカ本国でのソニー・クラーク(p)の低評価、最近では
 デイヴ・ダグラス(tp)に対する、日本と違う高評価など、ライヴ演奏が簡単に聴ける
 ということもあるのか、明らかに我々日本人と、ミュージシャンやプレイに対する感性が
 違うようだ。 

  詳しく、この作品について解説してみよう。

  久しぶりの2ホーンのこの作品のために、サイドマンとして、マッコイが雇ったメンバーは
 というと、私が昔から大好きな
ゲイリー・バーツ(as,ss),
 もう中堅の
テレンス・ブランチャード(tp)、音程が正確なクリスチャン・マクブライド(b)、
 センスのいい万能型の
ルイス・ナッシュ(ds)となっていて、お気に入りのメンバーばかり。

  でも、いざ音を聴くと、張り切って熱いプレイをしているのは、ブランチャードとリーダーの
 マッコイくらい。
  あとのメンバーは、今やジャズ・ジャイアンツの一人となったマッコイのオーラに
 緊張したのか、乗り切れない抑え気味のリズム・コンビ、残念ながらややプレイに
 衰えが聴き取れるバーツのサックスと、これならもっといい作品が、過去のマッコイの
 良心的な作品群の中にはたくさん存在する。
 

  
4曲あるマッコイ作のオリジナル曲も、彼としては平均的レベルで、各メンバーの
 ソロをよく味わおうにも時間が短く、欲求不満。

  いろいろ欠点を述べたが、最大の欠点は、SACDで聴いても、あまり
ジャズらしい迫力の
 
ある各楽器の音が聴けないこと。 (楽器の音像も小さめで、後ろに引っ込みすぎ)

  他のテラーク・レーベル作品にも共通するのだが、DSD録音、モンスター・ケーブル使用他、
 能書きはものものしいが、他のレーベルのSACDのものと比べても、
 明らかに音が悪いのである。

  ここまで読んで、暗くなった人、ご容赦を。

  でも、本当のことを書くのが、このサイトのポリシー。

  とはいえ、ピアノ・プレイに、技術の衰えを感じさせないマッコイには、今後も確実に
 期待が持てそうであり、いい作品をこれからも我々ジャズ・ファンに届けて欲しいと願っている。


   「
身に余る、グラミーの受賞に輝いたこの作品、少し照れているかもしれないな。


   3月29日

  * 最近のオルガン・ジャズでは、これがピカ一だ

          2004年1月5,6日

      「TOO DAMN HOT」  DR. LONNIE SMITH  PALMETTO RECORDS

  このCD、実は純粋な意味での、ホヤホヤの新譜とは言えない。

  1月頃に購入して、数曲ずつ細切れに聴いていたので、なかなかレヴューが書けなかった
 のである。
 (昔のLP時代と違い、このCDのように、演奏の合計時間が60分以上のものが多いことも
 その原因)

  その間、
ジャズ批評社から「JAZZオルガン」という単行本が発売されたこともあり、
 新旧取り混ぜ、未聴のいろんなオルガニストの作品を聴いていた。
 (参加のキタリストも考慮して)

  どうも最近は、
サム・ヤヘルマイク・レドン、ラリー・ゴールディングスなど、
 白人オルガニスト参加のCDを、ジョシュア・レッドマン、エリック・アレクサンダー、
 M・ブレッカーがらみで買うことが多いため、必然的に彼らの演奏がよく耳に入ってくる。

  皆、最近亡くなったジミー・スミスやジャック・マクダフ、ジミー・マグリフ、
 ベイビー・フェイス・ウィレットをはじめ、いわゆるコテコテのブルージーなプレイからはなれ、
 ラリー・ヤングの影響もあり、クールなサウンドを指向しがちなのが、その特徴といえる。

  そして、全体に、彼らはオルガンの大きな特徴であるベース音に対して意識が低く、
 ベース・ラインの音の選択やパターンにも、あまり工夫が感じられない。
  音量も小さめのことが多い。(エンジニアのせいもある)   これでは乗れない。

  今回推薦した
Dr. ロニー・スミスの最新作品は、そのような不満を憶えることもなく、
 1943年生まれのベテランながら、ファンキーな曲や速い4ビートの曲においても、
 技術的にまったく衰えを感じさせない。
 
  何と言ってもプレイに
コクがある。

  サイドマンとして、リード・ギターには、テンポの速い曲でも決して乱れない、
 私のご贔屓
ピーター・バーンスタイン、サイド・ギターには、バッキングだけではもったいない
 
ロドニー・ジョーンズ、ドラムズにはグレッグ・ハッチンソン(5曲)と、
 
タイナカ・フクシ{日本人?}(5曲)等を従えて、変化に富んだオリジナル曲(8曲)と
 「いつか王子様が」、「シルヴァー・セレナーデ」(H・シルヴァー作)の2曲を
 『ホット』にプレイしている。

  最近のオルガン・ジャズで何か乗れるやつがないか、お探しの方には、
 このCDを自信をもってお薦めしたいと思う。

 

   2月23日

  * パット・メスィーニ・グループの新譜について

          2003年4月 NYC

        「THE WAY UP」  PAT METHENY GROUP  NONESUCH(US盤)

  このパット・メスィーニ(メセニーはやはり変)の新譜は、いろいろなサイトのレヴューでは
 賛否が入り乱れているようだが、私は気に入った。

  聴く前は、全体の69分近くが一曲扱いになっているとの前宣伝で、どこで区切りをつけて
 聴こうか不安だった。
  しかし、US盤(安い)では、ちゃんと4つのパートに区切られていて心配無用。

  内容はというと、山あり谷ありの、「モーツァルトのピアノ協奏曲」を聴いている
 気分になるほどのテンポや強弱のスリル満点の変化と、パットのグループ独自の躍動感が
 感じられるもので、ミニマル・ミュージック(短いフレイズを繰り返し、特殊な効果をねらう音楽)の
 影響もうまく取り入れていて、なかなかよかった。
 
  ギターやピアノのアドリブ・パートだけでなく、トリップ・ミュージックとしても面白く聴ける
 作品として、お薦めしたいと思う。 
  リチャード・ボナ(elb)のプレイがもっと聴けると、より楽しめるような気もしたが・・・。


  録音面では、エンジニアのロブ・イートンによる、鮮明な迫力のある音が聴ける。
  (特に、アントニオ・サンチェス(ds)のシンバルの音がグッド)

   2月17日

  * 今時のNY・ジャズ・フュージョンの音を聴く

          2004年 9月3,4日 NYC
          「RETURN」   BILL CONNORS   TONE・CENTER

  1949年ロサンゼルス出身のビル・コナーズというギタリスト、カメレオンである。

  初めはサクラメントでロック・バンド、そして23歳でC・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァー、
 脱退後、ECMレーベルでのアクースティック・ギターによる内省的プレイ、80年代になると、
 うってかわって3枚のアラン・ホールズワース路線のハード・フュージョン作品と、
 彼は本当にスタイルの変化の激しいギタリストなのである。

  今度の新譜も、87年以来のリーダー作品となったのだが、何とここでは、ギブソンL−5を
 アンプに直につないでの、クリーン・サウンドによるジャズ(といっても単純な4ビートものは
 ない)をプレイしている。

  その内容はというと、全体に漂うラテン風味と、ノリのいい変化に富んだオリジナル曲が
 たくさん収録されていることもあり、なかなかイケているのである。

  そして、以前からの音楽仲間であるドラムズの
キム・プレインフィールドが、プレイのみならず
 プロデュースにもからんでいるため、一音、一音がていねいに扱われていて、
 全体のサウンドもよくまとまっている。

  また、80年代、デイヴ・ヴァレンティン(fl)のバンドで活躍していた、ピアノの
 
ビル・オコンネルとエレクトリック・ベースのリンカン・ゴーインズのコンビが、
 やや硬さが感じられるリーダーのプレイを上回る溌剌とした、いいプレイをしている。
 

  肝心のコナーズのギター・プレイについては、ジャズ的にみると、もう少しゆとりを持って、
 より高音域でのフレイズ作りをしてほしいという思いがあるが、パット・マルティーノばりの、
 たたみかける切れのあるフレイズも散見され、最後まで気持ちよく聴けたことは事実である。
 (音的にも高い評価が与えられるCDといえる→シンバルとピアノの音がナイス)

  今後も成長が期待できそうで、次作の発表が待ち遠しくなった。

  まさか、またスタイルを変えないだろうとは思うが・・・。


   2月4日

  * たまには、こんなのも

         
2003年2月 ニュー・ジャージー
      
 「FRIENDSHIP」 PERICO SAMBEAT     ACT MUSIC

  このCD、本当のことを言うと、バリバリの新譜でなく、昨年の初め頃には発売されて
 いたようだ。

  
でも、実際に聴いたのは最近で、しかも内容がよかったので、ここで紹介したいと思う。

  さて、この1962年スペインのバレンシア(いいサッカーチームがある)生まれの
 
ペリコ・サンベアートというサックス奏者、実はあまり有名ではない。
 (ミドル・オヴ・ザ・ロード路線だけでなく、実は幅広くいろんなものを聴いているのだ。
  
特にヨーロッパものでなくニューヨークで録音されたものを。

  しかし、ネットで調べてみると、90年代初めより、フレッシュ・サウンド・レコーズや
 その他のレーベルで、ずいぶんリーダー作のみならず、サイドマンとして、
 たくさんのCDに参加してきている。

  今回、紹介するこのCDも、正直、サイドマンの良さで買ったのである。
 (なにしろ、ギターが私の好きな
カート・ローゼンウィンケル、ピアノがブラッド・メルドーだ。)
 
  ところが、思いの外、リーダーのペリコ・サンベアート(as、ss)のプレイがよかったのだ。
 そのプレイはというと、全10曲(内9曲は変化に富んだオリジナル)にわたり、
 オーソドックスながら、暖かい音色で、硬軟取り混ぜた、しなやかなアドリブを
 繰り広げていて、アウト・フレイズも自然に取り入れ、テクニック的にもなかなかのものを
 感じさせたのである。

  そして、目玉のK・ローゼンウィンケルは、3曲に参加し、相変わらず個性的で
 面白いプレイをしているし、サイドマンとしては、いつも必殺仕事人のB・メルドーも
 いい仕事を全曲にわたって行っている。

  その他の参加プレイヤーとしては、ベースの
ベン・ストリート、ドラムズのジェフ・バラード
 一曲に参加のボーカルの
カルメン・カネラがいて、「フレッシュ・サウンド・ニュー・タレント・
 シリーズ」(当たり外れも多いが)が好きな人には、こたえられない音世界があり、
 音質もいいので、推薦盤としたいと思う。

 
 ペリコ・サンベアート、これからマークしておいて損はないと思うのだ。
  (あれっ、いつのまにか天才バカボンのパパの口調に)


   1月17日

  * 今年第二の推薦DVDは、このUS盤


         2003年 3月30日 アムステルダム

    「COLTRANE’S A LOVE SUPREME LIVE IN AMSTERDAM」

    BRANFORD MARSALIS QUARTET   MARSALIS MUSIC

  昨年11、12月頃、あるサイトの掲示板で話題になっていた、このUS盤DVDだが、
 内容的に近年のDVDの中では、きわめて高水準のもので、推薦に十分値すると思う。 

  (実際の「至上の愛」組曲の演奏は49分近く。   長年この組曲を演奏し続けてきた
 
ブランフォード(ts)の音楽的成長がはっきりわかるもので、歯切れのいい
 
ジョーイ・カルデラッツォのピアノ、堅実なエリック・レヴィスのベースの演奏も聴きごたえ十分)

  また、「DVD+CD」の2枚組で、その価格も良心的なものといえる。 (国内盤は違うが)

  以下に、私が日本の「アマゾン」に書いたレヴューを載せるので、よかったら購入の参考に。

5つ星のうち5 これはブランフォード会心のライヴです。, 2004/12/09
レビュアー: ナカーラ (プロフィールを見る)   富山県 Japan

 初めに、このUS盤はリージョン・フリーです。 御心配なく。
 追記
(この一文、アマゾンのお気に召さなかったようで、カットされた。
     彼らは意図的に
、このUS盤を発売当初はリージョン・1と誤記していた)

 2003年3月30日、アムステルダムのクラブでの壮絶なライヴです。
 ワイド画面で、しかも音もよく、ブランフォードや
ジェフ・テイン・ワッツ(ds)の
 迫力のあるプレイが堪能できますよ。

 追記
  2月に発売される国内盤には、解説書と字幕がつくとは思うが、値段がアマゾンでは
 880円近く高いのと、疲れるアリス・コルトレーンのインタヴューが延々30分以上あるため、
 国内盤とUS盤のどちらを購入すべきかは、書かずとも明らかであろう。


  こんなことを書くのは私だけ?

   2005年1月6日

  * 新年最初の推薦DVDはこれ


         2004年3月30、31日 L.A.

        「OVERTIME」 LEE RITENOUR  ビデオアーツ・ミュージック

 
 今年初めての推薦DVDは、リー・リトナー(g)の「OVERTIME」〜{アンソロジー・
 ライヴ〜ジェントル・ソウツ・リユニオン}である。

  ちょっと値は張るが(アマゾンだと幾分安く買える)、この2枚組DVD、
 フュージョン時代のリー・リトナー好きの方にはこたえられないものだと思う。
  (もちろんこの私も)

  とりわけ
『ジェントル・ソウツ』のオリジナル・メンバーによる「キャプテン・フィンガーズ」、
 「モーニング・グローリー」、「キャプテン・カリブ」などの曲の再演は、音楽的にいい感じに
 成熟した個々のメンバーの好演もあり、とても楽しめるものとなっている。

  70年代から、80年代、90年代、現在と、それぞれの時期の彼の代表曲を、
 いろいろなゲスト(
イヴァン・リンス、クリス・ボッティなど)を交え、リトナーを中心にして、
 お互いに輪になって演奏している様子は、皆んなとても楽しげで、乗りもよく、あらためて
 
ハーヴェイ・メイソン(ds)とアンソニー・ジャクソン(b)のコンビの素晴らしさも認識できた。

  彼らの作り出す、ムチのような、柔らか、かつ、しなやかなリズム感覚は、
 近年に多い機械的な硬いリズム感覚と違い、とても体にもいいようで、見終わった後も、
 また繰り返し見たくなるDVDだった。  (なかなかライヴものでは少ないのが現実)

  リトナーのギブソンL−5、ES−335、ヤマハのサイレント・ギターを駆使した
 ゆとり溢れるプレイもご機嫌で、
音質面も、名手ドン・マレーがからんでいるため、
 文句なく楽しめるDVDといえる。

  ただ、数曲の初めに、インタヴューが重なることによって、少し欠ける部分があることは、
 残念である。


   2004年12月19日

  * 今年のクリスマスものは、イエロージャケッツのこの1枚


         2003年

       「PEACE ROUND」ー A CHRISTMAS CELEBRATION
                      YELLOWJACKETS
   HEADS UP

  クリスマス・シーズンとなった。

  このサイトらしいクリスマスものの推薦盤といえば、今年は
イエロージャケッツ
 このCDに決まりだ。

  ヘッズ・アップ・レーベルの2003年に発表された前作
「タイム・スクエアド」に続く
 この作品、 クリスマスにちなんだ選曲は当然ながら、肝心の音はイエロージャケッツ
 らしい現代的なサウンド全開で、普通の新譜として聴いてもまったく違和感がない。

  90年代に、途中からこのグループに加わった、私の好きなボブ・ミンツァーは、
 この作品では、ベース・クラリネットやEWIを使わず、テナーとソプラノ・サックスに
 専念している。
  デビュー当時から、彼の生み出す暖かい楽器の音そのものに惚れ込んでいる
 私にとっては、この音が聞こえてくるだけで、もう満足というきらいもある。


  一応、クリスマスものというコンセプトのため、ミディアム・テンポの曲が多いのだが、
 拍子やソロの順、編曲などにいろんな工夫を加えてあるため、途中で飽きることなく
 最後まで(約48分)聴くことが出来るのもいい。

  最後といえば、最終曲の「イン・ナ・サイレント・ナイト」という曲では、初めに
 ジョー・ザヴィヌルの「イン・ナ・サイレント・ウエイ」の有名なイントロが聞こえてきて
 びっくりさせるという、マニア好みの仕掛けもあり、ニヤリとさせる


  他のメンバーは、グループ結成当時からのラッセル・フェランテ(key)と
 
ジミー・ハスリップ(b)。  そして、ドラムズは前々作の「ミント・ジャム」からメンバーに
 加わった
マーカス・ベイラーとなっている。


  ともあれ、クリスマスのインストものの中で、いろんな使い方ができる掘り出し物の
 CDとして推薦したいと思う。

  GEOFF GILLETTE録音によるこのCD、音もいい。


     12月16日

  * やっぱりいいものはいい・・・シェリル・ベンティーン(vo)の新譜


         2004年4月20,21日 NYC

   「シングズ・ワルツ・フォー・デビー」 CHERYL BENTYNE シェリル・ベンティーン
                                           キング・レコード

  10月に発売されたこのCD、このページに載せようか迷ったが、やはり、いいものは
 いいので、載せることにした。

  マンハッタン・トランスファーの一員として、今も活躍している彼女だが、数年前からは、
 ソロ名義で、ジャズを中心とした作品をいくつか出していた。

 
 今度の新譜は、気心の知れたピアノのケニー・バロンとの久々の共演で、バラッドや
 ミディアム・テンポのスタンダード曲の演奏を中心とした、聴いてリラックスできる
 気持ちのいい作品だった。

  いいところとしては、音程の確かさ、きれいな発音、そして最近の日本人の大げさすぎる
 表現ではないセンスのよい声のダイナミクスのコントロールなど、たくさんあげられる。

  もちろん、あえてドラムズを入れず、伴奏者として選択した、今最も脂がのっているバロン、
 そして彼とよく演奏しているベースの
レイ・ドラモンド、二人のプレイが素晴らしいのは
 言うまでもない。

  正直にいって、私はジャズ・ボーカル作品を何度も聴くことが、故アン・バートンのものを
 除いてあまりないのだが、(もちろんヘレン・メリル、サラ・ボーン、ダイナ・ワシントン、
 ナンシー・ウィルソン等の代表的作品は持っている) このCDは、実際何度も聴き返す
 ことができ、ボーカルと楽器の音のバランスも抜群、録音も優秀で、お薦めのCDである。
 

  

      12月2日

  * エド・ヘンの新譜もなかなかGOOD


         2003年9月 NYC

      「TIME&SPACES」 EDDIE HENDERSON  SIROCCO MUSIC LIMITED 

  トランペッターのリーダー作の推薦が続くが、いい作品なので、ご勘弁を。

  この作品は、1940年生まれ、もうベテランといえる
エディ・ヘンダーソンのSIROCCO
 からの’01
「オアシス」に続く新譜である。    もっとも他のレーベルから、その間も
 数作出ているが。

  ベテランといったが、若い頃リー・モーガンとフレディ・ハバードの両巨頭に直接教えを請うた
 このエド・ヘン。  何といっても有名になったのは、70年代初め頃、ハービー・ハンコック・
 バンドに参加してからだろう。

  もちろん、その頃より、マイルズの影響下にありながらも、その独特のソフトな音色で、
 一風変わったフレイズを吹く彼のプレイには私も注目していた。
 
  そして、 「リアリゼイション」以降の彼のりーダー作も、その後フュージョンぽくなっても、
 発売されるごとに、できるだけ購入してきた。

  
しかし、80年代になると、やや活動も停滞気味になり、ようやく90年代のスティープル・
 チェイスからの諸作ぐらいから、メイン・ストリーマーとして再評価され、最近もCDがどんどん
 出ている。
  皮肉なことに、クラブ・シーンでは70年代のものが再評価されて、よく聴かれているようだが。


  さて、この新譜、トランペット奏者の多くが、間がとれなくなったり単調になったりするため
 敬遠しがちな、ピアノ、ベース、ドラムズがバックをつとめる、いわゆる
ワン・ホーンものである。

  参考のため、彼のこれ以前の作品のいくつかを聴いてみたが、ジョー・ロックという
 ヴィブラフォン奏者が参加していることが多いため、ピアノだけのワン・ホーンものを出すと
 いうことは、そうとうの覚悟で取り組んだもののように思うのだが、どうだろう。

  その証拠に、ここでのエド・ヘンは、以前から気になっていたバックのサウンドに
 気を使いすぎて、きれいだが音がガーッと前に出てこない引っ込みがちなプレイではなく、
 張りのある音によるアグレッシヴなプレイをしていて、とても充実した作品になっている。

 
 また、3曲ものウエイン・ショーターの、知る人ぞ知る名曲(「ウオーター・ベイビーズ」、
 「マスクアレロ」、「アンゴラ」)や、ジョー・ザヴィヌルの「ディレクション」を採り上げるなど、
 選曲面での面白さもあり、エド・ヘンを見直す機会として、一度聴かれるといいと思う。

  
サイド・メンは、ピアノとエレピのデヴィッド・キコスキー、ベースはエド・ヘンとの
 つきあいも長い
エド・ハワード、ドラムズは歯切れのよいリズムを叩き出す
 
ヴィクター・ルイスとなっていて、60年代後期と70年代前期のサウンドが、センスの
 いいエレピの使用もあり、うまく現代の音楽の中に取り入れられている。



       11月27日

   * ウォレス・ルーニーの新譜はとてもクール


         2004年2月23日 NYC

       「PROTOTYPE」 WALLACE RONEY  HIGHNOTE RECORDS

 
 1960年生まれのウォレス・ルーニー(tp)の、2000年作
 「ノー・ルーム・フォー・アーギュメント」に続く、今度はハイノート・レコーズからの新譜である。

  前作で、ようやく自分のやりたい音楽を、レコード会社の過度の制約なしで、のびのび表現
 できたといっていた彼のその後の成長がよくうかがえる作品である。

  前作は、残念ながら、意欲は買えるが、いろいろな音楽的アイデアを一度に表現しようと
 するあまり、焦点が定まらず、何度も聴き返すには今一歩の出来だった。

  今作は、近年のハンコックとの共演もいい影響を与えたのか、エレクトリックと
 アクースティックのバランスがうまくとれていて、プレイにも迷いというものが感じられなかった。

  一言で彼の音楽から受ける印象をいうと、(もちろんマイルズにも共通するのだが)
 
”クールなブラックネス”とでも言えるのではないかと思う。
  
  少ないビブラートと、半音階を多用し、長いフレイズを吹く彼のプレイがその印象を強めて
 いるのだが、この作品ではマイルズとの共演で有名な
アダム・ホルツマン(key)と、
 最近活躍めざましい
ベ−スのマット・ギャリソンのプレイ上の貢献も大きく、何度も聴ける
 いい作品になっている。

  ミディアム・テンポの曲だけでなくバラッド・タイプの曲も収録し、ターンテーブルを操る
 DJ・ロジックの作り出す音も自然に曲に取り入れ、何しろ全ての音が鮮明に聴こえてくる。

  プロデュースをセルフ・プロデュースでなく、ベテランのドン・シックラー(tp、arr)に任せたことも
 成功の一因だと思うのだがどうだろう。

  上記以外のサイドメンとしては、弟の
アントワン・ルーニー(ts、ss)、妻のジェリ・アレン(key)
 
エリック・アレン(ds)等が中心になり、ウォレスの考える音楽を見事に表現している。



       10月26日

  *  オランダからも実力派ギタリスト登場!


         2004年4月26,27日 オランダ

     「THE WHOLE BUNCH」   MARTIJN VAN ITERSON QUARTET
                                       MUNICH RECORDS


  ギター・リーダー作品の推薦が続くが、これもモダン・ジャズ・ギター・フリークの私としては、
 いい内容のものなので、皆さんに紹介せずにはいられない一枚である。


  この作品のリーダーでオランダ人のマタイン・ヴァン・イターソンのことを初めて知ったのは、
 「ジャズ・ライフ’04年10月号」における、成田正氏の、オランダ、「ノース・シー・ジャズ・
 フェスティヴァル」についてのリポート中の文であった。

  そこで、このCDが出ていることを知り、さっそく注文して聴いたところ、ブッ飛んだ。

  以前からのひいきのギタリスト、ジェシ・ヴァン・ルーラーより二歳年上(35歳)で、
 同じ音楽院で学んだというこのギタリスト、ジャズ・ギタリストの本道を行きつつも、
 新しい感覚を持つ大変な実力派だったのである。

  ジャケットで見るように、オールド・ギブソンの「ES−125」を使っているのだが、
 10曲のオリジナルやそのアドリブ・ソロは、古さを感じさせないスウィング感と
 現代感覚あふれるもの。

  とにかく正確なピッキングと、やや硬めのフル・アコの良さを生かした音色で、
 広い音域にわたって、バランスのとれたプレイをしている。

  ギタリストにとって、とかく習得が難しいアドリブ・メロディのジャズらしい
 アーティキュレイションも見事に自分のものとしていて、フレイズもよく練られ、
 だれるところがまったくなかった。

  オクターヴ奏法を交えたり、同じ音型のフレイズをたたみかけて山場を作ったり、
 なかなかの手練れでもある。

  ウェス、バレル、マルティーノ等のモダン・ジャズ・ギターの伝統をしっかり踏まえながら、
 新しい事にも挑戦しようとする気概を持つこのギタリスト、きっと大物になることだろう。

  「間違いない!」

  CDの音質も上々で、みんな、いい仕事をしている。

  なお、ピアノは1960年、オランダ生まれで、「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ」のピアニストとして
 有名だった
カレル・ボエリー、ベ−スはフランツ・ヴァン・ヘースト
 ドラムズはジェシ・ヴァン・ルーラーとも共演している
マタイン・ヴィンクとなっている。
 



       10月9日

  * またまた、カナダから凄腕ギタリスト登場!


         2003年6月27日 TORONTO

        「DIGGIN’IN」  JAKE LANGLEY     ALMA RECORDS

  カナダは、本当にたくさん、私の好みのジャズ・ギタリストが出てくる国である。

  エド・ビッカート(ポール・デスモンドとの共演で有名)、ローン・ロフスキー、ピーター・レイチ、
 レグ・シュウェイガー(ジョージ・シアリングとの共演が有名)など、皆、ジャズの伝統をしっかり
 踏まえながら、センスよく、新しいことにも積極的にチャレンジしようという気概のあるギタリスト達だ。
 
  今回紹介するCDは、ジェイク・ラングレイという、カナダのオタワ育ちの30歳のジャズ・ギタリスト
 による、このレーベルからのファーストCDである。  (以前に他のレーベルで2作品を発表済み)

  これが、近年まれにみる、いい出来のCDなのだ。

  マイルズ他、若い頃よりいろいろなミュージシャンと共演し、また、たくさんのリーダー・アルバムを
 出している
ジョーイ・デフランセスコ(org)と、ベテラン・ドラマー、テリー・クラーク(ジム・ホールとの
 共演が有名)のオルガン・トリオによるこの作品、とにかくリーダーのジェイク・ラングレイのプレイが
 凄すぎる。

  オールド・ギブソンのフルアコによるプレイは、ニューヨークでジム・ホールとパット・マルティーノに
 直接学んだということもあり、ギター・カリスマ2人のいい影響だけでなく、大切なブルーズ感覚も
 豊かで、収録におけるミキシングのよさとあいまって、きわめて気持ちのいいギター・プレイが聴ける。
  ウェス・モンゴメリーとケニー・バレルのプレイも、よく研究しているようだ。

  とにかくプレイに余裕があり(テクニック的にも高レベル)、感情豊かに歌うところではじっくりと
 ていねいに、早弾きによる細かいフレイズはスピード感豊かに、という具合で、ジャズ・ギタリスト
 として理想のプレイが、このCDで体現されていると言っても過言ではない。

  ちょっと文が硬くなったが、ジャズ・ギタリストについては一家言ある(?)私が、大推薦する
 この人のCD、これを聴くと将来の成長も、とても楽しみになってくる。
 
  演奏曲は、デクスター・ゴードン、ウェス・モンゴメリー、ドン・トンプソン(b、p)、フレディ・ハバード、
 スタンレイ・タレンタインのジャズメン・オリジナルの他、スタンダード1曲、ジェイクのオリジナル1曲、
 となっていて、トータル・タイム53分近く、私には珍しく、あっという間に聴き通すことができた。

  もちろん、デフランセスコのファンキーなプレイと手堅いテリー・クラークのドラミングも申し分なく、
 きわめて上質な、スウィングするジャズらしいジャズが聴けるCDである。



  私は、HMVで購入しましたが、だまされたと思って一度聴いてみてください。

  下記にジェイク・ラングレイのサイトのアドレスを載せますので、よかったら参考に。
                                    (数曲のさわりも聴けます。)

      http://www.jakelangley.com/cds.htm



       9月26日

  * 注目すべきアルト奏者現る


          2004年1月9,10日 NYC

      「STILL SMOKIN’」  IAN HENDRICKSONーSMTH 
                                 SHARP NINE RECORDS

 
 このCDは、ニュー・オーリンズ生まれで、30歳となる
イアン・ヘンドリクソン・スミス
 2003年「UP IN SMOKE!」(シャープナイン)に続く2枚目のリーダー・アルバムである。

  前作もなかなか好作品だったが、この作品も、NYのクラブ「スモーク」におけるライヴ録音と
 なっている。

  内容は、ライヴにもかかわらず、荒れたところやオーヴァー・ブロウのないスマートに決まった
 飽きのこないもので、私好みの太いアルトの音で、歌心十分のいいソロが聴けるCDである。

  ソロの中身は、バップの影響を強く受けながらも、ブルージーで、かつ現代感覚も併せ持つ
 好ましいものといえ、どちらかというと、ひいきの
ピーター・バーンスタイン(g)ー(3曲のみ)と
 
デヴィッド・ヘイゼルタイン(p)がメンバーに入っていることもあって、このCDを購入したので
 あるが、スタンダード(5曲)、その他、メンバーの曲の出来もよく、録音の鮮明さもあり、何度も
 聴けるいい作品となっている。

  イアン・ヘンドリクソン・スミスのアルトの音は、メタルのマウスピースで、リードも厚めのものを
 使っていることもあるのか、近年よく聴ける、ややエキセントリックなものとは違い、なごみさえ
 感じさせ、各音域における音程も正確で、久しぶりで大物の予感を感じるアルト奏者が現れた
 ようだ。
 
  アドリブの中身については、キャノンボール・アダレイ、チャーリー・パーカー、ソニー・スティット、
 ジャッキー・マクリーン等の研究の成果が好ましく感じられ、何度も聴ける高レベルのものである。


  1曲、バラッドで聴けるフルートもうまく、今後もっともっと伸びるミュージシャンとして、
 これからも注目していきたいと思っている。

  その他のメンバーは、
RYAN KISOR(tp)ー(4曲のみ)、PETER WASHINGTON(b)
 
JOE STRASSER(ds)となっていて、リズム・セクションも、よくスウィングしている。
 


       9月14日

  * 超〜気持ちいい、このCD


          2001年7月16,17,18日 NY

      「FREEDOM TOWN」 MARK EGAN  エム・アンド・アイ・カンパニー
      「フリーダム・タウン」   マーク・イーガン

   マーク・イーガン(b)の’91年「ビヨンド・ワーズ」以来の4枚目のこのCD、水泳の
  北島選手流に表すと、超〜気持ちいいCDである。

   2001年の録音ながら、ベースとドラムズのデュオによる1曲のボーナス・トラック付きで、
  ようやく最近、日本盤で発売された。  (以前のUS盤のジャケットは、センスに問題あり)

   久しぶりに「エレメンツ」のオリジナル・メンバー{
ビル・エヴァンズ(ts、ss)
  
クリフォード・カーター(key)、ダニー・ゴットリーブ(ds)}もそろい、’80年代のあの懐かしい
  サウンドも、新しい感覚で、うまく処理して聴かせている。

   マークのフレットレス・ベースによるメロディアスなプレイと、浮遊感あふれる彼独特のサウンドは
  ジャコ亡き今となっては、とても貴重なもので、ミディアム・テンポの多さもあり、聴いてリラックス
  すること請け合いである。  サックスのビルも、味のあるいいプレイをしている。

   たまには、ストレイト・アヘッドなジャズばかりでなく、このようなものも聴くと、懐かしさに、
  何かほっとするものを感じる年頃の人も多いと思うのだが。



       8月30日

  * たまには、辛口の意見もいいのでは


          2004年1月12−13日 NYC

    「SAXOPHONE SUMMIT: GATHERING OF SPIRITS」  TELARC
    MICHAEL BRECKER、JOE LOVANO、DAVE LIEBMAN



    以下の文は、時々、私が感想を書いている、あるサイトの掲示板に、
   最近、書いたものからの転用です。 世にはびこる、いいことしか書いていないレヴューに
   飽き飽きしている方には、参考になるものだと思います。

   ”正直さ”がこのサイトの命ですから。



  サクソフォン・サミットのCD聴きました 投稿者:ナカーラ  投稿日: 8月26日(木)

 
 
 さて、私は、この掲示板で以前言及していた、”サクソフォン・サミット”という、D・リーブマン(一応リーダーらしい)、M・ブレッカー、J・ロヴァーノを中心としたグループによる「ギャザリング・オヴ・スピリッツ」という、今年1月スタジオ録音のCDを、ようやく聴くことができました。
 ピアノはフィル・マコーウィッツ、ベースはセシル・マクビー、ドラムズはビリー・ハートです。

 全部聴いた後の感想は、というと、「こんなものなのかなあ」というのが、正直なところです。
 60年代コルトレーンの作り出した音楽を、3人のテナーマンが、ソロにアンサンブルにと、いろいろ工夫を凝らし、演奏しているのですが、アンサンブル部分で何箇所か、グッとくる所もあるとはいえ、肝心のソロがもう一つだったのです。

 ブレッカーやリーブマンについては、だいたい期待通りでした。 でも、ロヴァーノのプレイに今ひとつ乗れなかったのです。(収録日に体調が悪かったのかもしれませんが。) 
 タンギングの甘さと、一音一音の音の長さが不十分なこともあり、聴いていて、とても不安定さと、頼りなさを感じてしまうのです。
 もちろん、違った意見もあるとは思いますが・・・・・。

 また、このCDを制作した「テラーク」というレーベル全体にいえるのですが、どうも迫力のある中・低域の音が十分に聴けないことも、不満の一つでした。
 セシル・マクビーのベース音を、もっと太い音で聴きたかったのに残念です。
(しかたがないので、アンプのベースのつまみを上げて補正しました。)
 
 というわけで、私にしては珍しく、ずいぶん不満を述べてしまいましたが、
いろいろなサイトや、雑誌を読んでも、近頃はお薦め
CDのオン・パレードで、まったく
面白くありません。
 

     批判は承知で、このような文を、今後も、時たま書いていくつもりです。 つまらないCDを買わない
    ためにも、よかったら参考にしてください。



       8月6日

  * ゲイリー・バーツ(as.ss.)再評価には、まずこのCD


          1970年11月19,23日  1971年1月 NYC

 「HARLEM BUSH MUSIC」 GARY BARTZ NTU TROOP  MILESTONE

   70年代初めの録音だが、最近「2・イン・1」で、新しくリマスターされて発売されたため、
  このページで紹介したいと思う。

  
 ゲイリー・バーツ。 何という懐かしさと暖かさを感じさせるミュージシャンだろう。

   多くのジャズ・ファンには、70年から71年にかけてのマイルズ・デイヴィス・グループの
  メンバーとして有名だと思う。 しかし、彼に対する評価は分かれ、中山氏のように、無意味に
  ソロが長いとか、無駄な音が多いとかいって、けなす人もいる。

   まあ、さすがに70年12月のワシントンのクラブ「セラー・ドア」での凄まじいとしか表現できない
  演奏は、彼もほめざるを得ないようだが。

   私自身は、昔から、彼の演奏すべてが好きで、最近まで、いろいろなレーベルから出ている、
  彼の作品のほとんどを購入して楽しんでいる。 近年は、ややいい意味で枯れてきて、
  スタンダードも、こだわりなく演奏している。

   改めてよく調べてみると、マイルズ・グループでの演奏は、ブートも含め、70年8月18日から
  71年11月26日までのものが現時点で聴くことができ、いくつかのライヴ映像も残っている。

   また、彼の生演奏は、70年代前半のノーマン・コナーズ(ds)の「ダンス・オヴ・マジック」という
  グループで、エディ・ヘンダーソン(tp)と共に、東京での公演で聴いたことがある。

   その当時の印象は、とにかく長身で、たたずまいが落ち着いていて、大人のミュージシャンだと
  いうものであった。    (40年生まれの彼は、当時30代前半だったわけだが。)

   前置きが長くなった。

   このCDは、70年11月と71年1月に録音された、「ントゥー・トループ」という彼のグループによる
  「Harlem Bush Music/Taifa」(マイルストーン)、「Harlem Bush Music/Uhuru」
  (マイルストーン)
の2枚のLPの音源を、収録時間の関係で一曲を除いて収録したものである。
  (合計77分近く収録されているため、不満はいえないが。)

   肝心の内容はというと、マイルズ・グループ在団期間の真っ最中での録音ということもあり、
  コルトレーンのいい影響を踏まえながらも、 アフロ・アメリカンとしての自覚と自信のみなぎる、
  彼のぶち切れたプレイが聴け、とても満足できる作品である。

   アンディ・ベイのボーカルをうまく生かして、ピアノレスながら、単調にならないよう曲の構成にも
  工夫を凝らし、リズム・セクション(ロン・カーターのエレベも聴ける)も、ノリのいいファンク・リズムを
  生み出している。

   リマスターしたジョー・タランティーノの腕がいいのか、マイルストーンといえば、オリン・キープ
  ニューズのプロデュースながら、音やLPの盤質の悪さで、いやな思い出のあるレーベルだが、
  このCDではまったく古さを感じなかった。   アルトなどの楽器の音も、よく前に出て聴こえる。

   このあたりから、プレスティッジにかけた彼の作品は、昨今、クラブ・シーンで評判を呼んでいる
  らしいが、まっとうなジャズ・ファンは、まずこのCDから聴いて、ゲイリー・バーツの素晴らしい歌心と
  ソウルフルかつブルージーな彼独特の節回しを十分に味わってほしいと思う。

 追記 
       その後、73年にモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに、NTU・TROOPとして
      出演した時のライヴ、「アイヴ・ノウン・リヴァーズ・アンド・アザー・ボデイズ」という彼の
      名盤が、一枚のCDにまとめられ、2003年にリマスターされて発売された。

        ヒューバート・イーヴス(p、elp)が参加した、これも、乗れるいい作品である。

      6月27日

  * ボサ・ノヴァでは、イリアーヌのこの作品をお薦め


          2004年

       「DREAMER: 夢そよぐ風」 ELIANE ELIAS  BMGファンハウス

   「旧譜その他」のページにA・C・ジョビンの「コンポーザー」というボサ・ノヴァのCDを、
  最近採り上げたこともあり、その流れで、新譜のページでも、ボサ・ノヴァ作品のお薦めの
  1枚として、
イリアーヌのこのCDを採り上げたいと思う。

   すでに、5月に日本盤(1曲のボーナス・トラック付き)が発売され、スイング・ジャーナル誌
  でも、選定ゴールドディスクとして、レヴューが載っているので、くわしい内容的なことは、
  それを読んでもらうことにして。

   このCD、ボサ・ノヴァ作品として、相当レベルが高い。

   ブラジル、サンパウロ生まれで、若い頃より、主にアメリカでジャズ・ピアニストとして活躍してきた
  イリアーヌ。 ’98年、東芝EMIのサムスィンエルス・レーベルより発売された
「海風と
  
ジョビンの午後〜イリアーヌ・シングス・ジョビン〜」も、センスのいいピアノとボーカルが
  聴ける、いいボサ・ノヴァのCDだった。

   あれから、6年あまり。 ずいぶんボーカルがうまくなったな、というのが、第一印象。

   素人ぽい歌い方が、ボサ・ノヴァらしいといっても、以前の、あの不安定な音程と声の
  伸びのなさは、やはり聴いていてストレスがたまった。

   その後、彼女もずいぶん努力したようで、今回のCDでは、本当に気持ちのいいボーカルが
  聴ける。

   ピアノ・ソロも、相変わらず、コンパクトながらクオリティの高いもので、控えめなストリングスの
  使い方も効果的で、聴いて疲れない、プロらしいプロによってつくられた完成度の高い作品で
  あると思う。

   ジャズ・サンバ調のボーナス・トラックも、ミディアム・テンポ中心のこのCDの中では、
  いいアクセントになっていて、お金に余裕のある方には、日本盤をお薦めしたい。 

   これからの暑い夏を、クールに過ごすために、この1枚、大いに利用するといいのでは。
 



      6月15日

  * クリス・クロス・レーベルの作品は私の主食


          2003年11月1日 NYC

       「NEW VISTAS」 JIM ROTONDI QUINTET  CRISS CROSS JAZZ

  アルフレッド・ライオンのブルーノート・レーベルの後、80年代から私にとってのジャズの基本である
 オランダのクリス・クロス・レーベルからのホヤホヤの新譜である。

  ブルーノートのように、オーナー・プロデューサーのゲリー・ティーケンズの主導で、これはと思う
 アメリカを中心とした若手ミュージシャンと契約し、その後いろいろな組み合わせで、自分が
 まず聴きたいと思う作品を定期的にリリースする姿勢には、本当に感心する。

  4ビート、ハード・バップが基本のこのレーベルの作品は、収納棚で独立したコーナーを作った
 ことからもわかるように、私の好みで、本当にたくさん今まで購入してきた。

  その中でも、この1枚は、最近では上の部類の作品と断言したい。

  「ワン・フォー・オール」で名をあげたリーダーの
ジム・ロトンディ(tp、flh)はもちろん、
 90年代から最近のメインストリーム・ジャズ・シーンをリードしてきているサイドのメンバー
 {
クリス・ポッター(ts、fl)、ピーター・バーンスタイン(g)、サム・ヤエル(org),
 
ビル・スチュワート(ds)}、皆、40歳以下の中堅どころであり、近年いろんなジャズ作品のCDで
 名前を見つけることができる。

  ともに、歌心、技術、スウィングの仕方、いずれも極上であり、特に、この作品は、
 「NEW VISTAS」(新しい展望)の題名通り、今までのロトンディの他の作品とは気合いの入れ方が
 違っている。

  バスター・ウィリアムズ(b)の「FIREWATER」、デューク・ピアソン(p)の「MY LOVE WAITS」
 など、知られざる名曲を選曲するセンスのよさ、しなやか、かつ力強いスウィング、聴いた後の
 すっきり感と、いいところがたくさんあって述べきれないくらいである。
 
  うまいだけでなく、心と体にガツンとくるこのCD、各メンバーのアドリブも,質の高さを求めて
 能力の限界に挑もうとするもので、最新のジャズらしいジャズを聴きたい方には、
 まずこの1枚をお薦めしたいと思う。


  ところで、このウェブサイトを御覧になっている方の参考までに、私のジャズの基本は何かというと、
 やはり、マイルズ・デイヴィスの音楽と、60年代ブルーノート・レーベルで、世に言う新主流派と
 呼ばれている人達の作り出す音楽の二つがあげられるのではないかと思う。

  皆さんのジャズの基本は何だろう。

  基本がしっかりしていないと、責任をもって他の人に推薦できないのではないかと、最近つくづく
 思うようになったので。



      6月3日

  * ジェフ・バーリン(elb)のジャズ作品は面白い


          2000年 9月5ー10日 ノース・ハリウッド CA

      「IN HARMONY’S WAY」  JEFF BERLIN  J.JAZZ

  70年代を代表するエレクトリック・ベーシストの一人である、アメリカ生まれのジェフ・
 バーリンの最新ジャズ作品である。

  ブリティッシュ・ジャズ・ロックの旅で、「ブルーフォード」他、多くの作品で、彼のプレイを
 聴いて驚き、随分耳になじんだ彼が、近年はジャズ・フィールドにおいても、活躍して
 いることは知っていた。

  しかし、このリーダー作品、なかなか、あなどれないものなのだ。
 
  ジェフ・バーリン、リチャード・ドレクスラー(p、b)、ダニー・ゴットリーブ(ds)の腕利きの
 3人を中心に、
ゲイリー・バートン(vib)-(1曲)マイク・スターン(g)ー(3曲)、
 
デイヴ・リーブマン(ss、ts)ー(3曲)等の大物ゲストのソロを、ジェフの変化に富んだ曲の中
 にうまく取り入れている。

  ジェフ本人は、速い4ビート、シャッフル、ボサ・ノヴァ、バラード、16ビート等のリズムに乗り、
 選りすぐりの音と正確な技術を駆使してグルーヴし、バッキングにソロにと、大活躍。

  ジャズにおけるエレクトリック・ベース・プレイの、これは理想型を実現していると思うほど
 である。

  以前の「クロスロード」という、85年と86年の2つのリーダー作をほぼ合わせた
 お買い得CDは、ジャズ・リスナーにとっては、ロックやフュージョンの影響が強く、
 やや好き嫌いがあると思うが、今度のCDはそのようなことはなく、音楽も成熟し、
 安心してお薦めできるものだと思う。
 
 
 ゲストの面々もプロらしく、フィーチャーされた曲で、自分のベスト・プレイを展開していて
 好感がもてた。

追記  昨年末、ジェネオンより、渡辺香津美の「ザ・スパイス・オヴ・ライフ」発売後の、
     87年のツアー映像がDVDとなって発売された。

     ビル・ブルーフォード(ds)、香津美氏(g)もいいが、何と言っても
     ジェフ・バーリンの歯切れのいい演奏が、映像と共にたっぷり味わえる。

      5月12日

  * 念のため、同じメンバーによる「ワルツ・フォー・デビー」を聴いてみました。

 
  4月20日に大推薦した「不思議の国のアリス」ですが、
デヴィッド・ヘイゼルタイン(p)
 本人の演奏をとても気に入ったため、念のため、98年に録音された、
ヴィーナスレコード
 ビル・エヴァンズ作曲集「ワルツ・フォー・デビー」も、その後注文して聴いてみました。

  これがやはりいい。 58年生まれのヘイゼルタイン40歳の作品で、トリオとしても
 よくまとまっていて、アドリブもエヴァンズの影響を踏まえつつも、自分独自のやり方を
 貫くという姿勢が素晴らしく、このCDも音がいいので(ややピアノの高音部の音がキンキン
 して、芯のない音になっているのが「不思議の国のアリス」より劣りますが)、2枚セット
 として大切に聴き続けるつもりです。

  
ヘイゼルタインについては、ワン・フォー・オールはじめエリック・アレキサンダー(ts)と
 一緒の演奏は、以前よりよく聴いていたのは事実で、最近までは、これといって特に
 特徴のない、オーソドックスで、手堅いピアニストという印象しかなかったのです。

  でも、この2枚のCDを聴くと、ピアニストとしての腕前の凄さが身にしみ、なかなか
 あなどれないピアニストとして、私の中にインプットされた次第です。
 
  2枚のうち、どちらを先に聴けばいいかと聞かれれば、先のものより後、4年半の精進のせいか、
 アドリブもより自信に満ち、フレイズの終わりのさいの戸惑いもなくなって、ぐんぐんスウィングする
 「不思議の国のアリス」を薦めますが。


     4月29日


            2003年5月 コペンハーゲン デンマーク

         「FOREVER YOU」 ULF WAKENIUS  STUNT RECORDS

  このページ、いつも乗りのよさを基準に選ぶことが多いのですが、今回は聴いた後の
 すっきり感を重視して選んでみました。

  
ウルフ・ワケニウス(g)のこのCD、スパイス・オヴ・ライフの「トーキョー・ブルー」に続く、
 デンマークのスタント・レコーズからの新譜です。

  故レイ・ブラウンと一緒のCDからも、オーソドックスな4ビートからフュージョン系にわたって、
 素晴らしい技術と歌心を持つギタリストだということは、もうジャズ愛好家に知れ渡っているところ
 だと思います。   (来日もしました。)

  このCDでは、すべての曲で、アクースティック・ギター(ナイロン弦)を使い、バラード・タイプの
 曲を心を込めて演奏していて、とても好感を持ちました。

  以前、アクースティック・ギターを使った、彼のCDや曲をいくつか聴いたことがあるのですが、
 その時は、変な箇所でチョーキングをしたり、アドリブにもややあせりを感じたものです。

  でも、今度のCDでは、彼のプレイも成熟し、無駄な音もなく、本当に言いたいことだけを言う
 という、潔さが感じられました。

  また、特筆すべきこととしては、とにかくこのCD、音がいいのですよ。
 
  最近聴いた新譜の中でも、これ以上のものは、まずないと断言できるほどのレベルで、
 アコギ、ピアノ、ベース、ドラムズと、すべての楽器がバランスよく収録され、各楽器の音の
 迫力も言うまでもありません。

  聴いた後は、心が洗われるような、すがすがしい感じがし、これぞジャズにおける癒しの音楽だと
 思います。

  デンマークのレーベルのため、やや高価なのと、在庫がなくなる危険があるのが欠点といえば
 いえるかも知れません。

 ジム・ホール、レイ・ブラウン、パット・メスィーニに捧げる曲も演奏しています。
 
  なお、サイドメンは最近よく共演している
カーステン・ダール(p)、ラーシュ・ダニエルソン(b)、
 
モーテン・ルンド(ds)です。

     4月20日

  * ジョージ・ムラーツがスコット・ラファロに変身?

            2003年7月21,22日 NYC

        「不思議の国のアリス」 DAVID HAZELTINE TRIO  ヴィーナスレコード


  このCD,いくつかのレヴューを読むと、みんなビル・エヴァンズと58年生まれのデヴィッド・
 
ヘイゼルタインの関係うんぬんの話が多いようだ。

  でも、ちょっと待って。

  実際にCDを聴くと、ベースのジョージ・ムラーツが、エヴァンズ愛奏曲集というこのCDのコンセプト
 にそってか、もろにスコット・ラファロなのだ。

  確かにエヴァンズと違い、叙情的なものを控えめにして、グングンとメリハリを付けてスィングする
 ヘイゼルタインも凄くいいのだが、ここでのムラーツの元気のよさは特筆もの。

  ジェイムズ・ファーバーという(ギタリストのリーダー作ではよくみかけるが、ピアノ・トリオの
 録音は珍しい)エンジニアが、とても迫力のある音で収録しているのもそれと関係しているのかも
 しれないが。

  しかし、正確な音程で、何曲かテーマ・メロディーを奏でたり、ソロでは、いつもより短い音の多い
 フレーズを使って盛り上げたり、あきらかに、いつもの彼とは気合いの入れ方が違う。

  スターデジオで、何曲か聴いて、これはいいと思ってすぐに購入したのだが、その時から
 音のよさと乗りのよさは際立っていた。

  国内レーベルのヴィーナスレコード、しかもSJ誌選定ゴールドディスクを推薦するとは、皆さんも
 意外に思われるかもしれないが、いいものはいいのですよ。

  いつもはCDを二回に分けて聴くことの多い私が、合計56分のこのCDを一気に聴きとおした
 ことからも、よさがわかっていただけるのでは。
 
  なおドラムは、いろいろなセッションで、いつも音楽的で芸の細かいプレイをするビリー・ドラモンドを
 起用していて、乗りのよさも極上。
 
P.S. その後、落ち着いて、もう一度聴き直してみると、ヘイゼルタインのビートに対する乗り方が
   エヴァンズのやや硬い乗り方に比べ、柔軟性や自然さで、勝っているのではないかとさえ思う
   ようになった。
    また、ペダルの使い方(何しろ録音状態がいいのでペダルの踏みかえの音がよく聴こえる)
   もうまく、音色の変化に効果をあげている。


     4月9日

            2002年2月1,2日 NY

   「NEW YORK TIME」 FRODE KJEKSTAD      CURLING LEGS

   近年、ヨーロッパから、多くの、オーソドックスでよくスウィングするモダン・ジャズギタリストが
 続々といいCDを出しているのだが、今回はその中でも出色の、ノルウェー産のギタリストのCDを
 紹介したいと思う。


  名はおそらくフローデ・ヒュエクスタと呼ぶと思われるのだが、パット・マルティーノとウエスの
 影響を自分なりに消化し、ノリのいいファンキーさも備えた、少し硬めの音色を持つ若い
 ギタリストである。 (おそらくギブソンのES−175のフルアコを使っていると思われる。)

  実はこのCDの購入には、私の90年代からのお好みのテナー奏者の
エリック・アレキサンダー
 (今やサイドマンとしても有能な職人となっていて、本作では4曲に参加)と、
 オルガンの大ベテラン、
ドクター・ロニー・スミスの参加も大きな理由としてあげられるのだが。

  CDを聴いてみると、始めはロニー・スミスのちょっといつもとは変わったやる気を感じ、
 (オルガンの音も、ピーター・カール氏によって、RVGに負けない迫力のある音で収録されている。)
 ややギターのプレイに耳がいかなかったが、だんだんよくなる、ほっけの太鼓のごとく、聴き進むに
 つれ、ギター・プレイの素晴らしさを実感し、このページで紹介せずにはおれなくなった。

  3曲の自作と、その他のスタンダードなどの6曲とのバランスや、テンポの変化も申し分なく、
 最後までノリのいいアドリブが聴ける。

  プロデューサーとして本人の他に、今や中堅ジャズ・ギタリストとして、何枚ものいいCDを出している
 ランディ・ジョンストンの名があるところを見ると、このフローデ君は、アメリカで、ずい分、彼に世話に
 なったようで、今回のアレキサンダーの参加もおそらく、彼の人脈が絡んでいると思われる。

  おっと、ドラマーの名を忘れるところだった。ドラマーは黒人の
バイロン・ランドハムで、味のある
 いいプレイを繰り広げている。


  ところで、上記の私の文だけでは、本当はどうなんだ、と言う人もおられると思うので、
 今回は大サービス、このCDのレーベルのアドレスとCDを試聴できるアドレスも調べて載せて
 おきますので興味のある方はどうぞ。

 
  www.curlinglegs.no

 http://www.curlinglegs.musiconline.no/shop/displayAlbumExtended.asp?id=28536
 (ここには上記のアドレスからたどっていけます。)


     3月21日

  5つ星      1981年9月22日 ドイツ、ハンブルク

          「 LIVE 80/81 」 PAT METHENY・5  MEGADISC

   ようやく、このページで、皆さんに、22年前のライヴ録音ながら、素晴らしいCD
  (CD−R)を紹介できることになりました。

   少し前に入手し、今聴き終えたばかりですが、とにかく演奏内容、音質共に、
  最近のMEGADISCの作品の中でも、この作品は出色の出来と断言できるくらいの
  凄い2枚組CD−Rです。

   細かい説明も不要な、物凄い内容なのですが、一応最小限の情報を書きますと、
  メンバーは80年5月に録音されたパットの「80/81」と同じで、
パットの他は
  
マイケル・ブレッカー(ts)、デューイ・レッドマン(ts)、チャーリー・ヘイデン(b)、
  
ジャック・ディジョネット(ds)となっています。

   特にディジョネットのスネアの音とヘイデンのベース音の聴こえ方は尋常のものではなく、
  前の記事で少しばかり批判した、ヘイデンのプレイも、私に考えの変更を迫るものでした。
   もちろん、80年の作品では、アクースティック・ギターのプレイが印象に残っていたパットも
  当時の愛器、ギブソンES−175を弾きまくり、マイケルも切れまくりのプレイで、観客を
  興奮の坩堝に引きずり込んでいます。

   収録曲は、オーネットの2曲とパットの自作の2曲の計4曲で、合計1時間47分のこの
  歴史的ライヴ、こんな作品が聴けて、生きていてよかったと思わせるくらいの、
  幾分スレた私も素直に感動した2枚組でした。


   最後に、この音源の提供者とCD−R作成者に感謝。
  いい仕事してますねーー。


     2月11日

    5つ星     2003年2月24日 NYC

   「PORTRAIT IN BLACK AND WHITE」 HELIO ALVES  RESERVOIR

   今まで、NEW・YORK・PIANOシリーズとして良質のピアノ・トリオのCDをたくさん
  出してきたRESERVOIRレーベルから、またまた名盤が誕生したようです。

   
エリオ・アルベスという、ブラジルのサンパウロ生まれのこのピアニスト、いいですよ。

  アイアート・モレイラやクラウディオ・ロディッティ、パキート・デ・リヴェラ、そしてジョー・
  ヘンダーソン等と共演し、ジャズの演奏技術をみがいてきた中堅のピアニストですが、
  このCDはRESERVOIRレーベルからは2枚目のリーダー・アルバムです。

   ライナーを読むと、1枚目よりストレイト・アヘッドなジャズを追求するために、サイドメンも
  NYの
サンティ・デブリアーノ(b)とマット・ウイルソン(ds)を使い、ラテン的なものとの融合も
  自然なものとなっています。

   ラテン系のピアニストによくある、速いテンポの曲でのアドリブは素晴らしいものがあるが、
  ミディアム・テンポやバラードになると、間が持てず単調になるということもなく、色彩感溢れた
  クリアなタッチ(チック・コリアに通じる歯切れよさ)で、無駄な音のない、歌心豊かなソロを
  とっていて、正直、ピアニストやピアノ・ トリオに辛い私もびっくりした次第です。
  (ヨーロッパ系には特に辛くなりがちです。)

   収録曲の中でも、とりわけ、ジョビン作の「ポートレイト・イン・ブラック・アンド・ホワイト」や
  スティーヴ・スワロウ作の「フォーリング・グレイス」、エグベルト・ギスモンティ作の「ロロ」の各曲は、
  チック・コリアも真っ青の名演だと思いますので、ぜひ聴いてみることをお薦めします。

   ジム・アンダーソンの録音も、ピアノの響きをうまくとらえた好感の持てるもので、ベースの
  音程もいいので、ストレスなく全曲聴けました。

  これは掘り出し物ですよ。



     2月6日

   4つ星      1989年 6月30日 カナダ・モントリオール
                                          VERVE
   
 「THE MONTREAL TAPES」 CHARLIE HADEN(b)、
                         JOE HENDERSON(ts)、AL FOSTER(ds)


   4つ星半     1987年 7月9日 イタリア・ジェノヴァ 
                                        RED RECORD
   「AN EVENING WITH JOE HENDERSON・CHARLIE HADEN・
                                         AL FOSTER」

  

  今回はジョー・ヘンダーソンでいってみたいと思います。でも最近発売された、上の
 CD、リーダーはヘイデンだよ、と言う方もいるかもしれませんが実質は
ヘンダーソンの
 
ピアノレス・トリオで、このメンバーでは下のCDに続き2枚目のライヴCDです。

  ヘイデンは、この時期のモントリオールで、いろいろなゲストを招いて、何枚かのCDを
 今まで発売してきたのですが、このCDは未発表だった初日の演奏集で、ジャズ・ライフや
 SJ誌での評価も高いものです。

  で、期待して購入し、聴いてみたんですが、うーん、ヘンダーソンは最高ですが、その他の
 二人が録音状態のせいもあり、いまひとつ。(こんなに音が悪いので未発表だったのかも。)
  下のCDの方が、はるかにジャズらしいいい音で、収録されています。

  ヘンダーソンについては、この日、体調もいいようで、流れるような独特のフレーズの
 たたみかけが好調で、ソロの時間も長く、このCDではかろうじて聴ける臨場感のあるテナー音の
 収録のせいもあり、大いに満足できます。

  60年代のブルーノート、マイルストーン・レーベルの時代より、彼のアドリブやオリジナル曲は
 本当に、今聴いてもいいのですが、90年代になってヴァーヴよりコンスタントにいいCDを出し
 続けたこともあり、ようやく世間に、彼はジャズ・ジャイアンツの一人と認められたようです。

  でも我々アマチュア・ミュージシャンにとっては、’71年に単独で、演奏するために来日
 (実際に当時、彼の演奏を聴きました)した頃より大いに注目され、「ホームストレッチ」や
 「アイソトープ」、「リコーダーミー」などの曲はよく演奏されていた記憶があります。

  ちなみに私は、独特のメロディーラインとマイナー7th♭5とメジャー9th#11のコードをうまく
 使った彼の「インナー・アージ」という曲が大好きで、この曲を演奏しているCDがあれば、
 どんな人のでも、必ず買ってしまいます。(特にダブルタイム・レコードより数年前に発売された
 アルトのジョー・スナイデロのジョー・ヘン作品集、最高です。
  今、一番、音程やアーティキュレーションが素晴らしい人だと思っています。)
 
  
アル・フォスターについては、ジョー・ヘンのディスコグラフィーを見ると、ほとんどのピアノレス・
 トリオのドラムは彼が担当していて、彼がジョー・ヘンの大のお気に入りのドラマーだったことが
 わかります。 馬顔?に似合わず繊細なプレイが売りですからね。 性格もよさそうだし。

  でも、ベースの
チャーリー・ヘイデンについては不満ありです。実際の彼の演奏も聴いた上で
 いうのですが、音程とリズム感が不安定な彼の演奏のどこがいいのでしょう。
 まず左手の形が自己流で、速いフレーズもビートに乗ってひくこともできず、上の2枚のCDでも
 彼のソロになると、いつもノーリズムになり、似たようなソロでお茶をにごしています。
  確かにオーガナイザーや作曲家としてはいいものをもっているのかもしれませんが、
 彼の4ビートにおけるウォーキングの音の選択もセンスが悪く、グルーヴもうまくできていません。

  オーネットとやっていたからといって、やや過大評価されているようですね。

P.S ジョー・ヘンが亡くなった日は、2001年6月30日で、’98年10月に発作で倒れた
    のを最後に、ついに復帰できなかったのです。  (1937年4月24日生まれ)

     でも’97年の時点でも、テナーの腕はぜんぜん衰えていませんでした。 

      1月27日

    5つ星    2003年8月24,25日 NYC

     「STRANGER IN PARADISE」 PETER BERNSTEIN+3 ヴィーナスレコード
 
  やっと本当の新譜らしい新譜の推薦盤を紹介できそうです。リーダーの名はピーター・バーン
 
スタインという’67年ニューヨーク州生まれのジャズ・ギタリストです。
  
  彼に関しては’90年代の初め頃から注目し、5枚のクリス・クロスレーベルのリーダー・アルバム
 を始め、サイド・メンでの演奏も、できるだけ聴いてきたつもりですが、ようやく彼の決定盤といえる
 CDができたようです。
 
 以前から、ウェス、グラント・グリーン、ジム・ホール等、主流派のいい影響と、白人らしからぬ
 ブルージーな感覚で、ギブソンES−175のフルアコを駆使して、よく練られたフレーズをたたき
 出していました。

 近年はジョシュア・レッドマン(ts)のサイド・メンとして、彼の演奏をご覧になった方もいるかも
 しれません。

 さてこのCDをなぜ決定盤としたかというと

 1 サイド・メンがみな素晴らしいプレイをしている。彼等は前作「HEART’S CONTENT」と同じ
   メンバーで、以前からよく一緒に演奏しているので、コンビネーションは完璧。
  
 {ブラッド・メルドー(p)、ラリー・グレナディア(b)、ビル・スチュワート(ds)}

 2 近年彼が使い始めたフルアコ 「J・Rザイドラーのカスタム・ギター」の音色が何ともいえず
   素晴らしく、音もよく伸びている。

 3 以前気になっていた、速いテンポでの後乗りを意識しすぎるための、もたり感がなくなり、
   プレイにスピード感が出てきた。

 4 より一音一音に気を使った、ていねいなプレイを心がけている。

 以上の4点をあげることができます。

  ジェイムズ・ファーバーの録音も冴えていて、躍動感が感じられるCDとなっていますので、
 ジャズ・ギターもので、何かいいものがないか、お探しの方には、大推薦です。



                

      1月20日


  4つ星半      1982年 1月4〜8日 

 「CITYSCAPE」 CLAUS OGERMAN & MICHAEL BRECKER
                                        WARNER BROS.


  このCD、ブレッカーの裏名盤として、LP発売後も、評価の高い演奏集で、1930年、ポーランド
 生まれのオガーマンの作、編曲、指揮によるストリングスをバックに、ブレッカー(ts)が
 吹きまくっています。  そして、リズム・セクションとして、ウォーレン・バーンハート(key)、
 スティーヴ・ガッド(ds)、エディ・ゴメス(b)等の名人がバックをつとめています。

  録音された82年は、ブレッカーの喉の調子が悪化し、レコーディングも少ない年ですが、
 この時の彼は全曲にわたり、コルトレーンやジョー・ヘンダーソンの奏法を基本にしながらも、
 独特の歌いまわしとフレーズを全開させていて、何度聴いても飽きない、いいソロをとっています。

  2003年10月にドイツで製造されたこのCD、’92年の日本盤、’95年のUS盤とどこが違うのかと
 いうと、何と今までなかったボーナス・トラックが一曲あるんです。
 それは「IN THE PRESENCE AND ABSENCE OF EACH OTHER(PART 3)」の
 別リミックスで、今までのものでは、曲後半の5:26より、ようやく彼のソロが始まり、やや物足りなさ
 が残ったまま終わったのですが、ボーナス・トラックでは初めからストリングスとのからみがあり、
 ユニゾンでのアーティキュレーションもバッチリ決まっていて、実に聴き応えがありました。
  なぜ初めからこのテイクを使わなかったのか、プロデューサーのトミー・リピューマを責めたい
 気分です。
 
  もし私のようにLPしか持っていない人で、CDに買い換えたい人には、このドイツ盤を薦めます。
 もちろん聴いたことのない人にも。

  オガーマンのストリングス・アレンジはA・C・ジョビン、M・フランクス、J・ベンソン、最近では
 ダイアナ・クラール等のCDで聴かれますが、本当に気持ちよく、私の好みです。


  この後、’88、’89、’90年に録音された、続編とも言える、「クラウス・オガーマン・フューチャリング・
 マイケル・ブレッカー」も参考のため聴いてみましたが、いくぶんカラフルになってリズミカルなのは
 いいのですが、ブレッカーのソロがやや引き気味で、都会の哀愁をより感じさせる点でも、
 「シティスケイプ」の方に軍配を上げたいと思います。

 ちなみに両CDとも、録音は私の御ひいきのアル・シュミットが担当しており、音的には文句なしです。


              

     2004年1月9日

   4つ星半    1956年10月、12月  57年3月 ハリウッド

「JAZZ OF TWO CITIES」 WARNE MARSH QUINTET FRESH SOUND RECORDS
 
  
新年おめでとうございます。 年末から今日まで、お薦め新譜の紹介が遅れ、心配をかけたかも
 しれません。 遅れたのは、実はいいブツがなかったのもあるんですが、このCDのアップのために、
 レニー・トリスターノ(p)をはじめ、その門下生のミュージシャン(ウォーン・マーシュ、りー・コニッツ、
 ビリー・バウアー等)の、主に50年代の演奏を聴いていたためもあるんです。
  意外かもしれませんが、10代の頃より、白人主導のクール派と言われている人達のつくる音楽が
 とても気になっていたのです。 もちろんその頃から、聴くのはほとんど黒人主導のハード・バップ
 でしたが、たまに彼等のストイック、かつ滑らかにスィングする演奏を聴くと、頭がなぜかすっきりし、
 否定できない魅力が感じられたのです。

  その後も、気になったトリスターノ派の人達のCDはできるだけ購入してきたのですが、このHPを
 見ている皆は、彼等の音楽についてどのように思っているのかな。
 
  さて、この2枚組のCD、まず資料的なことから書くと、1枚目のCDは56年10月録音の
 インペリアル・レーベルの同名LPプラス2曲の別テイク、2枚目のCDはヴァンガード・レーベルから
 出ていた56年12月録音の「FREE WHEELING」 ザ・テッド・ブラウン・セクステット
 (大好きなアート・ペッパーの数曲ソロ入り)の9曲と、57年3月のTV番組「ザ・スターズ・オヴ・ジャズ・
 TV・ショー」に出演した時の未発表セッション6曲の構成になっています。未発表セッションの曲は
 ソロも少なく、それほどのものではないのですが、その他のものは、音質もよくなりマニアには
 見逃せない2枚組だと思います。
 
  アート・ペッパーをのぞく共通したメンバーは、ウォーン・マーシュ(ts)、テッド・ブラウン(ts)、ロニー・
 ボール(p)、ベン・タッカー(b)、ジェフ・モートン(ds)となっています。

  演奏内容については、とにかくファスト・テンポの曲でのアンサンブルとアドリブが気持ちよく、
 トリスターノ派の音楽のいいところがダイレクトに感じられる演奏が満載です。
  2人のテナー奏者共、トリスターノから多くを学んでいるため、音色、フレーズ、乗り方など、極めて
 よく似ていて、とまどうかもしれないので、念のため見分け方をいうと、よりレスター・ヤングに近く
 音がソフトな方がブラウン、音が少しハスキーでトリッキーなフレーズを吹くのがマーシュと覚えておくと
 いいと思います。  でも2人同時に音を出されると、とても区別はつきませんが。

 特にマーシュについては、最初聴いたとき、なんてふわふわした音で、長く細かいフレーズを吹く人
 なのかと言う印象でしたが、りー・コニッツとの共演盤を何度も聴くにつれ、その演奏技術の凄さ、
 (サックスでソフトな音で、早いフレーズをリードミスなしで吹くのはとても大変です)、
  小節にとらわれないオリジナルなフレーズ、独特のアクセントの付け方など、凄さが分かり
 今では私のお気に入りのテナー奏者となっています。
  また、晩年まで高い演奏技術を保持していたのも、好きな要因かもしれません。

  ここで、トリビアな新発見を1つ、何とコニッツは1927年10月13日生まれで、マーシュは
 同年10月26日生まれであることがわかりました。

  最後に、フレッシュ・サウンド・レコーズ・レーベルは以前から50年代前半のウエスト・コーストの
 復刻に熱心でしたが、最近輸入盤でよく見かけるJAZZ FACTORYやDEFINITIVEのスペインの
 レーベルのCDは音質も向上し、編集も良くできていてお薦めです。



               

   2003年12月22日

   3つ星半   2003年7月18日 大阪

       「LIVE IN JAPAN 2003」 THE ART OF THREE  サウンドヒルズレコード

  いやー、頭が痛い。今までこのページでは、私がいいと思ったものだけを載せてきたんだけど
 方向転換して、よくないと思ったものも、その根拠を明確にして載せざるを得なくなりました。

  というのも、このコブハムを中心に結成されたピアノトリオ、有名スタンダードをけれんみなく
 演奏しているんですが、問題があるんですよ。
 以前にIN+OUTというレーベルからでた1枚目の「THE ART OF THREE」ももちろん
 購入して聴いていたんですが、今度のCD、あまりにベースのロン・カーターがひどいんです。
                                      (特にミディアム・テンポ以下)

  何がひどいのかと言うと、とにかく音程が不安定で、ベースの音自体、電気的で高音
 重視で、ベースらしい重低音がほとんど聴き取れないのですよ。これは70年代のCTI時代から
 顕著なのですが、ピアノのケニー・バロンの円熟のプレイとコブハムの小技、大技を駆使した
 4ビートプレイの素晴らしさに比べ、あきらかに足を引っ張っているんです。

  もういい加減、60年代のマイルズ・クインテットのカーターの幻影を追うのを皆やめませんか。
 ヨーロッパでは、彼より音程もよくスウィングするベーシストがどんどん出てきているんですから。

  ついでに、バスター・ウィリアムズもこの傾向があり、心配です。



               

       12月20日
 
  さあ、いよいよクリスマス。 このH・Pでクリスマス関連のCDといえば、このCDしかないだろう。


     4つ星       1969年2月25日、8月19日

    「MERRY OLE SOUL」 DUKE PEARSON (BLUE NOTE) 4323 東芝EMI

   このCD、今まで国内盤でLPの形でも発売されず、ずいぶん発売が待たれたもので、
  ようやく今年、RVGのリマスターで購入でき、実はとてもハッピーなのだ。
   と言うのも、この
デューク・ピアソンという渋いピアニスト、作編曲家、プロデューサーとしても
  いい仕事をしていたミュージシャンで、私の御贔屓なのだ。
 
   1932年生まれで、1980年には亡くなったのだが、ブルーノート・レーベルでは、
  ピアノトリオの名作「プロフィール」、「テンダー・フィーリング」、中編成のものでは、「ワフー」、
  「スウィート・ハニー・ビー」、「ザ・ライト・タッチ」、「ザ・ファントム」、等センスのいい飽きの来ない
  傑作CDを出している。   最近ではクラブ・シーンでの再評価も進んでいるようだ。

   このCDも、いろんなクリスマス・ソングを、
アイルト・モレイラのパーカッションを加えてはいるが、
  ほとんどピアノ・トリオと言ってもいい演奏で料理し、いくぶん物足りなさも残るが、面白いものに
  なっている。
   純粋にジャズ演奏を楽しめるのは、5,6曲だが、たまにはこのような季節限定物も、息抜きに
  なっていいのでは。

   書き忘れるところだった。 トリオのベースは
ボブ・クランショウ、ドラムズはミッキー・ロッカーと、
  堅実なプレイのミュージシャン達である。  



                

     12月14日   


     5つ星                 

     「UPOJENIE] ANNA MARIA JOPEK&Friends with PAT METHENY  
 
  意外に思われるかもしれないが、このCD、ポーランド生まれの女性ボーカルのCDなのだ。

  
パット・メスィーニ(この表記が原音により近い)の全面的な協力という事実に引かれ、
 購入を決めたのだが、これが大正解。

  聴いたあと、久しぶりに新鮮な気分になることができ、私はやはり、ボーカルは
 ヒキガエルのような野太いものでなく、彼女のような可憐、しかも音程の正確なものが好きなのだ
 ということを再確認した。(日本やアジア系の女性歌手に、おおげさな表現がジャズだとの間違った
 考えの人が、多すぎる。)

  もちろんパットの曲における彼のギターのソロも十分に楽しめるし、とにかく
 パットの数々の名曲をポーランド語で歌うと言うこと自体、興味深く、とても楽しめた。

  パットのファンはマスト・アイテムだし、ポーランド・ジャズの奥深さも十分に感じ取れる。


 p.s. 念のため、その後2枚、彼女のCDを買って聴いてみたが、ギターやピアノやサックスの
    ジャジーなソロも聴け、悪くなかった。


               

     12月10日

   4つ星半       2003年 5月30、31日 NYC、SMOKE
            
          「SOUL MANIFESTO LIVE!」 (RODNEY JONES) SAVANT
 

  ”LET’S GET READY TO RUMBLE〜〜〜!” さあ、理性と本能の戦いだ。

  
ロドニー・ジョーンズ(g)のファンク一発のライヴ、ぜひ、乗りのいいやつを求めている人に
 お薦めしたい。 ’56年生まれのこのギタリスト、とうとうファンク野郎の本性を現しました。

  ウエス、グリーン、ベンソン等の影響からなかなか抜け出せず、いいCDを出しながら
 メジャーにあと一歩というところでしたが、2001年1月録音のブルーノート「ソウル・
 マニフェスト」のCDで、ようやく吹っ切れたようで、今度のライヴでとうとうやってくれました。

  ケンウッド・デナード(前作のアイドリス・ムハマッドもファンク・リズムの名人で大好きですが)
 の16ビートのファンク・リズムに乗ってのプレイ、体が自然に揺れてきます。ソロの中身も
 ライヴの割には、乗り一発でなく、構成もよく考えられていて、アウトとインの使い分けも
 うまく、奥の深さを感じさせるものになっています。

  ファンキーな16ビートの曲以外にも、ボサノバや4ビートの曲もやっていて、変化もあり
 大いに楽しめるCDだと思います。

              

      12月6日

      4つ星半          1994年7月7日、フランス、ライヴ録音

              「DREYFUS NIGHT IN PARIS」  DREYFUS JAZZ


  注文して、なかなか届かず、今日やっと全部聴くことができました。マーカス・ミラー、ミシェル・
 
ペトルチアーニ、ケニー・ギャレット、ビレリ・ラグレーン、レニー・ホワイトとメンバーも超豪華で、
 期待して、耳を傾けました。
  結論としては、4つ星半という評価にしましたが、何と言っても3曲目の「LOOKING UP」という
 ペトルチアーニ作のこの曲、曲がいい。
  メンバーのソロも1、2曲目に比べて、乗りもよくなり、聴いていると鳥肌が立つくらい(久しぶりの現象)
 素晴らしく、哀愁を帯びたサンバ調のこの曲は、彼の代表作として、後世に残る名曲だと、
 私が断言します。

  肉体的ハンディを乗り越える、するどいピアノ・タッチで、いい演奏を我々に残し、突然去った、
 故ペトルチアーニですが、彼の名は、この曲と共に永遠にジャズの歴史の中に輝きをとどめる
 に違いありません。


              
                

   12月1日    とうとう出ました、チェコ出身ギタリスト ルディ・リンカの傑作


          5つ星

  「EVERY MOMENT」 (RUDY LINKA)(g,)  ACOUSTIC MUSIC RECORDS

 チェコ出身のジャズ・ギタリスト、ルディ・リンカ’94年と’98年NYC録音の新譜?です。
今まで、ジョン・アバークロンビー(g)の協力を得て、何枚かのいいCDをリリースしてきた
リンカの、最高作と、ジャズ・ギター・フリークの私が断言します。

アコースティック・ギター中心の、ギター、ベース、ピアノとそれぞれ数曲ずつ録音したデュオ
アルバムで、ジョン・アバのECM録音を想起させる幻想的、かつロマンティックな、
聴き終えて、心が豊かになるいいCDだと思います。 ジャケットもご覧のように、ヨーロッパ
盤には珍しく、SFタッチの素晴らしいイラストを使ったデジ・パックで、センスのよさも特筆
すべきもの。 数曲のスタンダードも交え、オリジナル曲でもスィング感あふれる、アドリブを
聴かせてくれます。 エンジニアは先進的なジャズ・ギタリスト御用達のジェイムズ・ファーバー氏で
美しく、かつ力感をたたえたいい音を聴かせます。 パーソネルは次のとおり。
 (ギター) 
ジョン・アバークロンビー
 (ベース) 
マイク・フォーマネック、ジョージ・ムラーツ
 (ピアノ) 
ギル・ゴールドスタイン



  2003年 11月29日  セロニアス・モンク(p)の新譜、「MONK IN PARIS
 
LIVE AT THE OLYMPIA」   THELONIOUS RECORDS です。
 

                     1965年3月7日 パリ、
                               オリンピア劇場での未発表ライヴの
             
4つ星半             CDと、ボーナスとして、1966年4月15日
                               ノルウェーのオスロでのライヴDVDの2枚組
 
  この(CD+DVD)は、モンクの息子T・S・モンクが発売にからんだ、未発表音源ライヴCDとオスロの
 コンサートでの三曲入りのDVD をボーナスとした、お買い得なCDです。

  CDはまあまあ音もいいし、特に
チャーリー・ラウズ(ts)ベン・ライリー(ds)が元気のいいプレイを
 しています。 ボーナスDVDは以前バップから「セロニアス・モンク・ライヴ・イン・オスロ’66」の題の
 レーザーディスク として’93年に、収録曲、33分の演奏の長さも同じものが発売されています。

  モンクの演奏姿を見たいけれど、レーザーディスクを持っていない人には見逃せないものですよ。
 値段は、インターネットのサイトで購入する場合、会社によってずいぶん差があるので、よく調べて
 買ってください。


 これでおしまいです。 今後もアップしますので、よかったら「お気に入り」に追加
 してください。 では。


                                                   
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