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3人は連日の疲労を癒す為、その日は一日休息を取る事になった。
翌日の朝、身支度を整えたジルが大広間へ向かうと、そこにはアラン、
カインの他にレガレス、ジェイル、デコーズ、マチルダ、エレンが居た。
「アラン、気をつけて。必ず無事に帰って来て頂戴ね」
マチルダは心配そうな表情を浮かべながら、息子アランをぎゅっと抱きしめた。
「任せたぞ。だが、お前はこの国の王であるという事を、決して忘れるな」
「はい、父上」
レガレスはアランの両肩に手を乗せると、父親のその顔で微笑んだ。
「カイン、お前はどうなっても別に構わんが、陛下だけは死んでも守り通してこい」
「分かってるよ、親父」
「《マスター》の名にかけて負けんじゃないわよ!
ワイズを救出したら、後は屋敷ごと吹っ飛ばしてやんなさい」
「・・・母さん」
クラーク夫妻は微笑みながら、ぎゅっと息子の手を握った。
「ジェラルディン・・・君が無事に戻って来れるよう、ずっと祈っている。
一緒に行けたら良いのだが、私では君達の足手まといになって
しまうからね・・・」
デコーズはそう言うと、ジルの手の甲にそっと口付けた。
「ありがとう・・・ございます」
ジルは、これ程までに自分を大切に思ってくれるデコーズの言葉が、今は素直に嬉しかった。
「では行くぞ、カイン、ジル」
「はい」
3人は見送る者達を背に、入り口へと向かって歩いて行った。
大広間を出るとそこには、近衛一隊隊長であるジタン以下30名が、廊下に一列に
並んでいた。アランは驚いた顔で彼らを見渡す。そして、カインと目を合わせると、
フッと微笑を浮かべた。
「行って来る」
アランが短くそう言うと、彼らは一斉に頭を垂れた。
グレイシス家の屋敷の門には、5人の門番が立っていた。そして、屋敷を外側から覆うように
目には見えない魔術の結界が施されている。この結界は、
触れるもの全てをを弾き飛ばすようになっており、外側からの侵入は絶対に不可能となっている。
これだけの広範囲にこれ程の結界を張った者は、紛れもなく
相当の実力を持つ魔術師であろう。
アラン達3人は、少し離れた場所で様子を伺っていた。
「結界は俺が破ります。門番はジル、お前が倒してくれ」
「はい、カインさん」
カインの言葉にジルが頷いた。
「いや、その必要はない」
そう言うとアランは、1人門の方に向かって歩き始めた。カインとジルは
慌ててその後を追いかける。
門に近づく者に気づき、門番達は一斉に3人の方を向いた。
「何者だ!グレイシス様からは誰も通すなと言われている」
門番の1人がアランを睨み付けた。
「無礼者が!余はアルハント国王、アンドリュー・グリンフィードである。今すぐ
この結界を解いて門を開ける様、主に伝えろ」
目の前のその人物の威圧感に、門番の5人は結界の中であるにも関わらず、思わず後ずさる。
そして、国王という言葉に
真っ青な顔になると、門番の1人が屋敷の中へと走って行った。
「さすがはアランだな・・・」
後ろに立っていたカインとジルが顔を見合わた。
しばらくすると、屋敷を包み込んでいた結界がスッと消えていく。
それに気づいた門番達は、恐る恐る門を開いた。
屋敷の中に入ると、さすがにアルハント有数の貴族である。
見事な装飾のなされたその豪華なホールに、ジルは思わず息を飲んだ。
見ると、目の前に1人の少女が立っていた。この屋敷の使用人だろう。
「主がお待ちしております。どうぞこちらへ」
少女は無表情にそう言うと、廊下の奥へと歩き始めた。
「失礼します」
その少女が扉を開くと、広い応接間の中にはワーレル・グレイシス、そしてヒューズ・
ラングレーが
腰掛けていた。彼らはスッとソファーから立ち上がり、入り口のアランへと一礼する。
「わがグレイシス家の屋敷へようこそ、アンドリュー陛下」
「この屋敷の主はワイズであろう」
アランのその言葉に、ワーレルは口を歪ませて笑った。
「陛下に立ち話をさせる訳にはいきません。どうぞ、こちらにお座りください」
3人は警戒を強めながらも、勧めに従って部屋の中へと進んで行く。
「今日は一体どういったご用件でしょうか。一国の王ともあろう御方が、
供の者を2人しか連れずに一貴族の屋敷に訪れるなどと」
「単刀直入に言おう。先日の戴冠式の宴の席に、わが命を狙って刺客が送り込まれた。
幸いこの隣に座っている二人が未然に防いでくれたから良かったものの、
もし彼らが宴の席に乱入していたならば、大切な客人の方々に危うく怪我を
させるところであったろう」
アランのその言葉に、ラングレーがびくりと顔を強張らせた。
ワーレルの方の表情は全く変わらない。
「そんな出来事があったのですか、存じ上げませんでした」
「ほお、それではお隣にいるラングレー殿はどうだ」
カインが言うと、ラングレーの顔がさっと青ざめていく。
「いっいや、私も知りません。何かの間違えではないでしょうか」
彼らの返答に、カインがフンと鼻を鳴らした。
アランはポケットの中から鎖のついた銀時計を取り出すと、それを
テーブルの上に置いた。それを見たワーレルが一瞬顔をしかめる。
「これは、叔父上の物だと思うのだが」
「ええ、確かに父の物ですが・・・一体どこでこれを?」
ワーレルの言葉に、わずかに動揺が混じっているのが分かる。
「少し前にこの屋敷に忍び込んだ者達が、叔父上から直接預かったと言っている」
「ほぉ・・・」
「今すぐ叔父上にお会いしたいのだが、ここに呼んで貰えんかな」
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