加茂 為男(四代蕃山)
                加茂家と井波彫刻の流れ    

井波彫刻芸術は220余年の歴史を有し、井波彫刻の名門である加茂家でも、
初代辰蔵は社寺中心であった彫刻を一般住宅に取り入れ、井波欄間の開拓普及にあたり、
今日では井波欄間の開祖として広く世に知られています。
1904年に開催された米国セントルイス万国博覧会に於いて、名誉賞を受賞いたしました。
残存する作品の中には、井波瑞泉寺太子堂内の井波彫刻の真髄を見せる手挟彫刻(四本うち
本堂より一番手前の「桐に鳳凰」)を制作しており、井波彫刻の代表作となっております。

二代目辰蔵もまた、内外博覧会、展覧会に入賞、入選の栄を数多く得ました。

三代目辰蔵(蕃山)は、色漆の層を井波彫刻のノミの技法で彫る彫漆を手がけ、日展入選16回
をはじめ各展の多くの審査員を務めました。昭和50年には国の伝統工芸産業功労賞に輝き、
通産大臣表彰を受け、同時に国指定の伝統工芸氏として認定を受けました。
昭和53年には技能日本一(現代の名工)として、卓越技能賞を労働大臣より授与されました。
NHKの「新日本紀行」「日本の美」「朝のロータリー」「趣味の手帳」等テレビ、ラジオに
数多く出演しました。作品の中には総理大臣官邸や、赤坂迎賓館にも展示されております。
また、井波瑞泉寺本堂の太子堂側から見える大屋根下側面の大蟇股彫刻(牡丹に唐獅子)も
制作しております。

私四代目蕃山(為男)は伝統の井波彫刻を引き継ぐと共に、現代彫刻を手がけ日展入選21回を
はじめ、平成元年第21回日展に於いて「記念樹」が特選に輝き、平成4年第24回日展に於いても、
「爽秋」が再び特選受賞いたし、審査員、日展会員となりました。作品「連作潮」は郵政省内に展示
されています。平成10年に日本テレビ「おもいっきりテレビ」に出演いたしております。
石川県加賀市に建立されました日本一の大観音(加賀観音)高さ73メートルの顔原型
(幅8メートル・高さ10メートル)も制作いたしております。
尚、初代からの師弟関係で作られてます井波彫刻界の大会派「かもめ会」があり、三代目からの
「蕃山会」を合わせ井波彫刻協同組合員の約半数を占め、「かもめ会」と「蕃山会」の会長を務めて
おります。又現在、井波彫刻協同組合の相談役(前理事長)として組合の運営にあたっております。