奇談北国巡杖記(きだんほっこくじゅんじょうき)

1806年(文化3年)鳥翠台北茎によって書かれたものです。

現在京大の谷村文庫などで、版本を所蔵しています。谷村文庫の版本は 故谷村一太郎氏の集書9200冊を、嗣子順三氏によっ て昭和17年に寄贈されたものです。
(京大付属図書館のHPで一部 観閲 することが出来ます。こちらのHPへの画像の 使用は許可されませんでした。残念・・・。)
国書総目によると富山大メルヘン文庫でも所蔵しているようです(未確認)

原本ではありませんが、吉川弘文館から出ている「日本随筆大成/ 日本随筆大成編輯部編」(1974年刊)の第2期18巻に所収されています。 こちらは日本随筆大成刊行会昭和4年刊の復刊だそうです。(京大付属図書館の 浜口さん、いろいろ教えて下さってありがとうございました)

「奇談北国巡杖記」の中に「人形山の雨」、「神楽踊筑子唄譜」という ところがあります。以下書き出してみましょう

人形山の雨

人形山は同國となみのこをり。五箇山のうち田向村のうへにあり。 雪この山につもりて。人の形相に身ゆるゆゑにかく号け侍るとぞ。 いにしへより此ところは。四時ともに雪ふりて。例年梅雨に入日より。 明る日まで雪ふらず雨ふるとなんゆゑに薪をもて此寒を防なれば。 毎春家ごとに薪を撫なり。一家に一丈四方の積を。十余這山のごとく 貯といへり。食物わさびをとりて食ふとあり。都て北山の寒苦いはん かたなし。予も此の山にのほりて。雪の積れるを見からうじて下りける。

神楽踊筑子唄譜

越中五ヶ山に邑数七十二郷あり。ここにいにしえより神楽をどり こきりこ唄とて囃しものあり。女は常にも白絹のかづらひもを頭にかけ。 うしろへ結たれ白絹の石帯をかけて。人にまみへ踊るときもかくのごとし。 平家の類葉落居して村民となり。今に子孫あまたある事にて官名を名乗るされば。 毎仲秋のころこきりこ踊りといへるを催すに。笛太鼓鍬金にてこれをはやす。 筑子の竹のうちやう七五三五五三うちはやす女竹の長さ五寸五歩丸竹二本なり。 是をこきりこのふたつの竹といへり。いと鄙(ひな)めきて古雅なれば 左に志るし侍る。

筑 子 唄

思ひと恋と笹舟に乗せりゃ おもひは沈むて恋はうく
波のやしまを遁れ来て薪樵るてふ深山辺に
烏帽子狩りぎぬ脱ぎ棄てて 今は越路の杣がたな
むかひの山に啼く鵯の鳴いてはさがり鳴いてはあがり 朝草刈の目をさます
向ひの山をかづことすれば 荷縄がきれてかづかれぬかづかれぬ
をどりたか踊れ泣く子をおこせささらは窓のもとにある
向ひの山に光るものなんじゃ 星か蛍かこがねのむしか
今来る嫁のたいまつならば さしあげて燃せやせをとこ

現在の「こきりこ」の歌詞の一部がほとんど同じ内容で、 約200年前の古文書に残されているのです。・・ 「こきりこ」ってすごいと思います

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