◆越中五箇山物語◆vol.32

※文章は五箇山在住の方から頂いたものをエッセイ式に掲載しております

奥が深いぞ、「アズキのおつけ」。


 五箇山に、「小豆」の入った「お味噌汁」なるものがある。
 このあたりでは一般的に「アズキオツケ」といわれるものであるが、報恩講の御膳に供され、特徴付けるものとして名高い一品でもある。
 「おつけ」(=「おみおつけ」に由来する)は、あずきが開祖親鸞聖人の好物であったことから、遺徳に報いるこの行事の料理として門徒衆に広く伝わったとされる。
 よく似た料理で「いとこ煮」というものがあるが、これも聖人の「遺徳」にちなんだものという説もある。
 「あずき」は、一般的には「甘物」の食材として使うので、大変珍しい料理かといえばそうでもなく、全国的には「いとこ煮」ともいうそうで、五箇山でも、それはもうその家々、地区で様々である。
 ただ、全国に分布する「いとこ煮」の内容・意味は種々様々。
 材料や味付けが全く違うのに、なぜか同じ呼び名なのである。
 根菜や豆類をたっぷりと入れる地方では「具」を「追々」(=甥甥)と煮る(=似る)から「いとこ煮」だとか、あるいは味噌を味付けに遣う地域では大豆(兄)と小豆(弟)でできた料理の素材を使うからとも。
 どれが正しいとか間違いとか、家庭料理の範囲なのであんまり「これ」という定義のないのが本当なのである。
 今回、2月17日に開催された「こきりこ味まつり」では、初めて単品として「あずきおつけ」をご紹介してみた。
 お客様の感想は・・・。
 これが、概ね好評なのだ。
 ・始めて食べてみたが、案外美味しかった。
 ・デザート感覚で、美味しかった。
 ・懐かしい味がして美味しかった。
 
 ま新しくて美味しい、というご意見と、懐かしくて美味しい(昔、食べた事がある)というご意見、大きく2種理あるということだろうか。
  私は、というと実は「ホンコサマがどうの」とか何とかピイピイ騒ぐ割には、苦手なのである。
 小豆が、第一得意ではない。できればおはぎも、ぼたもちも(あ、一緒か。時期によって呼び名が違うということさえ最近知った)赤飯も、アズキ無しでお願いしたいくらいである。(それって、意味ないじゃん)
 「私ら世代の五箇山ふるさとの味第1号」に認定したい「羽馬のアンパン」の、たまに小豆餡の中に固い小豆粒に遭遇することがあり、悲しくなる。
  何故、そんな私がそこまでホンコサマだの、アズキオツケだのって世に広めたいのかというと、これが「五箇山の郷土料理」の言わば「基本」で、しかも「現在進行形」で守り伝えられている事、それが稀有な事だからである。
 今でも、各家々で伝え、作ってお客様に振舞う事を、補助金事業に「村おこし」がてら、「ほりおこし」てみました、とかではなく、今、現にやっていることだからである。
  ホンコサマの御膳、民謡にしても、たとえば獅子舞にしても、普段の生活にはさほど関係のない事なのであるが、理屈も何も、こういう料理を作るのが、謡うのが、踊るのが、決まりなんだから、と上から下の世代に伝えて、今もいられる土壌が五箇山にはあるのだということに他ならない。
 
 ヨイモンは、全部「ホンコサマ」に使うがジャ。
 
 それが、当たり前だから、昔からそうしてきたから。
 アズキオツケをひとつの媒体として、紹介したかったのだ。
 

 材料・レシピは概ね以下の通り。
 
 材料 (約5人分)
 あずき (カップ1/2)
 里芋 小さいの、4〜5個
 干しズイキ 何gって程でもないので 4・5スジ
 豆腐 1丁(出来れば五箇山豆腐)
 味噌 適宜 昆布(出汁用)
 
 小豆は水につけ、一晩もどす。柔らかく炊いておく。
 その際に、小豆の粒を水面から出さない。(固い部分が出る事がある)
 
 干しズイキは、洗って水につけもどしておく。
 充分に戻ったら、少し絞り2センチ程度の長さに切る。
 
 里芋を2・3等分に切って、水煮にしておく
 昆布で出汁を取り里芋を入れ、煮立たせる。
 味噌を加え味噌汁を作る。
 味噌汁に、ズイキを刻んだもの、煮た小豆を加えひと煮立ちさせる。
 豆腐を1.5センチ角程度に切って加える。
 
 少し熱を加え、出来上がり。


美味しそうでしょ?
 
 食材は、至って健康的かつ簡素に。
 豆類・・・ 味噌・アズキ・豆腐
 根菜類・・・里芋・ズイキ
 いとこ煮といわれる所以も、すこしは伺えるかも。
 
 (って、えらそうに「作ってます」って言ってますけど・・・でも・・・やっぱり得意じゃないのです・・・。)

文章:@ゆっけ 2008.2

※写真はイメージです

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